英検3級の一次試験合格、本当におめでとうございます。合格通知を手にした喜びも束の間、次に待ち受ける「二次試験(スピーキング)」に不安を感じている方も多いのではないでしょうか。特に初めて面接を受ける中学生や小学生にとって、見知らぬ大人と英語で対面するのは非常に緊張するものです。

しかし、安心してください。英検3級の二次試験は、正しく対策を行えば90%以上の受験者が合格できる試験です。2024年度から一次試験の形式がリニューアルされましたが、二次試験の評価基準や基本的な流れに大きな変更はありません。本記事では、プロ講師の視点から最新の傾向を踏まえ、合格を確実にするための具体的なステップと「受かるためのコツ」を詳しく解説します。

面接当日の入室から退室まで

当日の基本ステップ

  1. 入室: ノックをして挨拶。面接カードを渡して着席。
  2. 黙読(20秒): 渡されたカードの英文を心の中で読む。
  3. 音読: はっきりした声で英文を読み上げる。
  4. 質疑応答(5問): パッセージやイラスト、自分自身に関する質問に答える。
  5. 退室: カードを返却し、挨拶をして退出する。

面接室で行われる試験は、わずか5分から7分程度の短いものです。この短い時間をいかにスムーズに乗り切るかが合格の鍵となります。まずは入室の瞬間から意識を研ぎ澄ませましょう。ドアをノックして「May I come in?」と声をかけるところから試験は始まっています。面接委員と目が合ったら、明るい声で「Hello!」と挨拶をしましょう。この第一印象が、後の「アティチュード(態度)」の加点に大きく影響します。

試験が進むと、パッセージ(英文)とイラストが描かれた「問題カード」が手渡されます。まずは20秒間の黙読時間が与えられるので、ここでパッセージの単語の読み方や内容を素早く確認します。その後の音読では、焦る必要はありません。タイトルの読み飛ばしに注意し、ピリオドやカンマで一呼吸置きながら、相手に届くはっきりとした声で読み上げましょう。

質疑応答では、合計5つの質問が出題されます。パッセージの内容を問うものから、イラストの状況説明、およびあなた自身の考えを問うものへと段階的に進みます。すべての回答を終え、面接委員から「This is the end of the test.」と告げられたら、カードを丁寧に返却し、「Thank you. Goodbye!」と笑顔で締めくくりましょう。最後まで丁寧な態度を貫くことが、合格へのラストピースとなります。

2024年度最新版:出題傾向と合格を分ける採点基準

英検3級の面接で最も重視されるのは、完璧な文法よりも「英語でコミュニケーションをとろうとする姿勢」です。配点33点のうち、3点を占める「アティチュード」は、実は合否を分ける非常に重要な項目です。面接官の目を見て話しているか、聞き取りやすい声量か、不自然な沈黙がないかといった基本的な姿勢が、数値以上の印象点となって評価に響きます。

【配点一覧】採点基準の目安(合計33点満点)

  • パッセージの音読(5点): 発音、アクセント、イントネーション、区切りの適切さ。
  • Q&A No.1~No.5(各5点×5=計25点): 質問に対する理解度と、回答の正確さ・情報量。
  • アティチュード(3点): 積極的にコミュニケーションを図ろうとする意欲や態度。

具体的な問題対策として、まずNo.1のパッセージ問題では、本文中の「Because」や「By」を探すテクニックを身につけましょう。質問の意図を正確に捉え、本文の該当箇所を適切に抜き出す練習が効果的です。また、No.2とNo.3のイラスト描写問題では、現在進行形(~ is doing)や場所を表す前置詞(on the table等)を使いこなすことが求められます。複雑な文章を作ろうとせず、「誰が, どこで, 何をしているか」をシンプルに伝える訓練を重ねてください。

後半のNo.4とNo.5では、あなたの趣味や日常生活についての意見が求められます。2024年度以降の傾向として、単に「Yes/No」で答えるだけでなく、その理由や具体的な例を付け加える「論理的な発信力」がより期待されています。「I like playing soccer because it is fun.」のように、常に「理由(Because)」をセットで話す習慣をつけておくと、高得点に繋がりやすくなります。

合格を確実にするための「裏ワザ」と実践的なコツ

緊張のあまり面接官の質問が聞き取れなかったとき、多くの受験生はパニックに陥ってしまいます。しかし、ここで使えるのが「聞き返しの魔法」です。「Pardon?」や「Could you say that again?」と聞き返すことは、決して恥ずかしいことではありません。自然な会話の流れとして1回聞き返す程度であれば、減点の対象にはならないのです。むしろ、分からないまま適当に答えるよりも、正確に聞き直して正解を答える方が評価は高まります。

また、答えを考えている間の「沈黙」を避けることもプロが教える裏ワザの一つです。何も言わずに固まってしまうと、面接官は「理解できていない」と判断し、次の質問へ進んでしまいます。これを防ぐために、「Let me see…」や「Well…」といったフィラー(つなぎ言葉)を使い、考えている時間を稼ぎましょう。これにより、コミュニケーションが継続していると見なされ、リズムを崩さずに回答へ繋げることができます。

さらに、アティチュードを最大化する「3つの原則」を徹底してください。一つ目はアイコンタクト。目を合わせるのが苦手なら、面接官のネクタイの結び目や鼻付近を見るだけでも効果があります。二つ目は口角を上げた笑顔。表情が硬いと声も暗くなります。そして三つ目は、普段の1.2倍のボリュームで話すこと。自信のなさは声の小ささに現れますが、大きな声で話すだけで、不思議と英語も堂々と聞こえるものです。

共通の落とし穴:不合格になりやすい人の特徴

英検3級の二次試験で不合格になってしまう人には、英語力以外の部分で明確な共通点があります。最も注意すべきは「過度な沈黙」です。面接は会話のキャッチボールですから、ボールを止めてしまうのが最大のNG行為となります。たとえ完璧な文章が思い浮かばなくても、知っている単語を絞り出し、ジェスチャーを交えてでも伝えようとする姿勢があれば、採点官は必ずそこを評価してくれます。

次に、回答の「短さ」も減点ポイントになりやすい要素です。質問に対して「Soccer.」や「Yes.」の一言だけで終わらせてしまうと、会話を発展させる能力が不足していると判断されます。主語と動詞を備えた「I like soccer.」という文章の形で答えることを常に意識しましょう。また、服装についても注意が必要です。正装である必要はありませんが、清潔感のある身だしなみ(学生なら制服が最適)は、試験に臨む真摯な姿勢を面接官に印象づけます。

さらに、意外と多いのが「聞き取れていないのに返事をしてしまう」ミスです。質問が理解できていない状態で「Yes」と答えてしまうと、その後の具体的な質問に整合性のない回答をしてしまい、大きく減点される恐れがあります。わからなければ素直に「Pardon?」を使う勇気を持ってください。また、パッセージの音読時に「速く読めば得意に見える」と勘違いし、発音を蔑ろにしてしまうケースも要注意です。音読は速さよりも、一語一語の正確さと、意味の区切りを意識した丁寧さが求められます。最後に、面接官の質問が終わる前に話し始めてしまう「食い気味な回答」も、コミュニケーション能力の欠如と見なされる場合があるため、相手の言葉を最後までしっかり聞く余裕を持ちましょう。

まとめ

英検3級の二次試験は、単に英語のミスを数える場ではなく、あなたがこれまで積み重ねてきた努力を「言葉」として表現する絶好の機会です。面接委員も、あなたの合格を心から願っているサポーターの一人。完璧を目指す必要はありません。大切なのは、あなたの考えを相手に伝えようとする、その前向きな姿勢です。

本番に向けて、まずは一日10分、公式サイトの過去問やアプリを使って「声に出す練習」を取り入れてみてください。流れを体で覚え、自分なりの「得意なフレーズ」をいくつか持っておくだけで、当日の緊張感は自信へと変わります。「明るい挨拶」「はっきりとした声」「最後まで諦めない心」――この3つさえ忘れなければ、道は必ず開けます。

扉を開けるその瞬間、深呼吸をして笑顔を作ってみてください。あなたの挑戦が素晴らしい実を結び、次のステップへと繋がることを心より応援しています!

よくあるご質問

Q. 英検3級の二次試験(スピーキング)の合格率はどのくらいですか?

A. 正しく対策を行えば90%以上の受験者が合格できる試験です。

Q. 面接試験は全部で何分くらいかかりますか?

A. 面接室で行われる試験時間は、わずか5分から7分程度の短いものです。

Q. 面接試験当日の基本ステップを教えてください。

A. 入室、黙読(20秒)、音読、質疑応答(5問)、退室の手順で進みます。入室時のノックや挨拶、退室時の挨拶まで、最後まで丁寧な態度を貫くことが重要です。

Q. 英検3級の二次試験の採点基準と配点を教えてください。

A. 合計33点満点です。パッセージの音読(5点)、質疑応答(各5点×5問で計25点)、アティチュード(3点)で評価されます。

Q. 面接中に質問が聞き取れなかった場合、どうすれば良いですか?

A. パニックにならず、「Pardon?」や「Could you say that again?」と聞き返しましょう。自然な会話の流れとして1回聞き返す程度であれば、減点の対象にはなりません。

Q. 意見を問われる質問(No.4、No.5)で高得点を取るコツはありますか?

A. 単に「Yes/No」で答えるだけでなく、その理由や具体的な例を付け加える論理的な発信力が期待されています。「I like playing soccer because it is fun.」のように、常に「理由(Because)」をセットで話す習慣をつけましょう。

Q. 面接中に答えを考えているとき、沈黙を避けるための裏ワザはありますか?

A. 「Let me see...」や「Well...」といったフィラー(つなぎ言葉)を使い、考えている時間を稼ぎましょう。これにより、コミュニケーションが継続していると見なされます。

Q. 不合格になりやすい人の特徴は何ですか?

A. 最も注意すべきは「過度な沈黙」です。また、質問に対して「Yes.」などの一言で終わらせてしまう回答の短さ、聞き取れていないのに返事をしてしまうミスも減点につながりやすい要素です。