「内申点って、どうやって計算するの?」「テストの点数だけじゃないって本当?」と疑問を持っている中学生や保護者の方は多いのではないでしょうか。
内申点は、高校受験の合否を左右する重要な要素のひとつです。しかし、その計算方法や仕組みを正しく理解している人は意外と少ないのが現状です。この記事では、内申点の出し方・計算方法をわかりやすく解説するとともに、都道府県ごとの違い、内申点を上げるための具体的な方法まで丁寧にお伝えします。
内申点とは何か
内申点とは、中学校での学習状況を数値化したものです。高校受験において、入試当日の学力検査の点数と並ぶ、非常に重要な評価基準となっています。内申点を早いうちから正しく理解しておくことが、志望校合格への第一歩です。
内申点と通知表の違い
内申点と通知表の評定は、どちらも5段階評価を使っているため混同されやすいのですが、その役割は異なります。
通知表は学校から生徒・保護者に渡される成績表で、日々の学習状況を報告するためのものです。一方、内申点(調査書点)は、中学校が高校に提出する内申書(調査書)に記載される数値で、高校側が入試の合否判定に使用します。
通知表に記載される5段階の評定がそのまま内申書に転記されるケースが一般的ですが、都道府県や高校の入試形式によって、その数値をもとにさまざまな換算が行われます。
内申書(調査書)に記載される内容
内申書には、9教科の成績(評定)だけでなく、生徒会活動・部活動・委員会活動といった学校生活全般の記録も含まれています。ただし、高校入試の合否判定において主に使われるのは9教科の成績評定であることがほとんどです。
なお、内申書と調査書は同じものを指す言葉で、地域や学校によって呼び方が異なります。
内申点の出し方と計算方法
内申点の基本的な出し方は、9教科の5段階評定を合計することです。ただし、都道府県によって計算方法が異なるため、まずは基本の仕組みを押さえておきましょう。
9教科それぞれの評定の決まり方
内申点の対象となる9教科は以下のとおりです。
主要5教科:国語・数学・社会・理科・英語 実技4教科:音楽・美術・保健体育・技術家庭
それぞれの教科で、1〜5の5段階評価がつけられます。この評定は、定期テストの点数だけで決まるわけではなく、授業態度・提出物・実技の取り組みなども含めた、複数の観点から総合的に判断されます。
現在の中学校では、評価は以下の3つの観点に基づいて行われています。
「知識・技能」は定期テストや実技テスト、作品制作などで評価されます。「思考力・判断力・表現力等」は定期テストや授業中の発言・課題などを通じて評価されます。「主体的に学習に取り組む態度」は提出物の提出状況やノートの書き方、授業への参加姿勢などが評価の対象です。
内申点の合計点の計算方法
内申点の最も基本的な計算方法(素内申点)は次のとおりです。
素内申点 = 9教科の5段階評定をすべて足した合計
たとえば、9教科すべての評定が「3」(いわゆるオール3)であれば、3×9=27点となります。これを「素内申点」と呼びます。
一方、都道府県の公立高校の一般入試では、実技教科に重みをつけた「換算内申点」が使われることが多くなっています。
内申点の満点は何点か
素内申点の満点は、5段階×9教科=45点満点です。
ただし、都道府県によって換算方法が異なるため、実際に入試で使われる内申点の満点は都道府県ごとに変わります。たとえば東京都の一般入試では換算内申点の満点は65点となり、さらに300点満点に換算されて調査書点として使われます。
内申点に影響する要素
内申点は「テストの点数さえ良ければ上がる」と思われがちですが、実際にはそれだけではありません。複数の要素が組み合わさって最終的な評定が決まります。
定期テストの点数との関係
定期テストの点数は、「知識・技能」や「思考力・判断力・表現力等」の観点に直結するため、内申点に大きな影響を与えます。特に主要5教科では、定期テストの結果が評定を左右する割合が高い傾向にあります。
テスト対策をしっかり行い、安定して高い点数を維持することが、内申点向上の土台となります。
授業態度・提出物・実技の影響
定期テストと同様に重要なのが、日常の学習態度や提出物の状況です。「主体的に学習に取り組む態度」の観点では、ノートの丁寧さや自由記述欄の記入量、授業への積極的な参加姿勢などが評価されます。
提出物は期限を守ることが最低条件です。さらに自由記述はスペースをしっかり使って丁寧に書く、授業中に積極的に発言する、わからないことを先生に質問するといった行動が、評定アップにつながります。
実技教科(音楽・美術・体育・技術家庭)は、試験だけでなく実技そのものの評価も含まれます。苦手な実技があっても、授業に真剣に取り組む姿勢を見せることが大切です。
観点別評価の仕組み
現在の中学校では、前述した3つの観点(知識・技能/思考・判断・表現/主体的に学習に取り組む態度)それぞれがA・B・Cで評価され、それが5段階の評定に反映されます。
たとえば3つの観点がすべてAであれば「5」、すべてCに近い状態であれば「1」や「2」になりやすい仕組みです。テストの点数が高くても、提出物を出さなかったり授業態度が悪かったりすると、観点別評価が下がって評定が「4」止まりになることもあります。3つの観点をバランスよく高めることが、内申点アップの鍵です。
都道府県によって異なる内申点の扱い
内申点の計算方法は、都道府県によって大きく異なります。自分が受験する地域のルールをしっかり把握しておくことが重要です。
東京都・神奈川県・埼玉県などの換算方式
東京都(都立高校・一般入試)の換算内申点は、主要5教科の評定をそのまま合計し、実技4教科の評定は合計を2倍して加算します。満点は65点です。たとえば9教科すべてオール3の場合、5教科:3×5=15点、実技4教科:3×4×2=24点、合計39点となります。
神奈川県(公立高校・一般入試)は、中学2年生の9教科合計(45点満点)と、中学3年生の9教科合計×2倍(90点満点)を足した合計135点満点が基本となります。
埼玉県(公立高校・一般入試)は、中1・中2・中3の9教科の内申点をすべて使用します。各学年45点満点で、多くの高校が中3の得点を2倍または3倍にしているのが特徴です。
大阪府では、中1・中2・中3の成績がすべて反映され、中3の比率がとりわけ高く設定されています。
このように地域差が大きいため、志望する都道府県の計算方式をあらかじめ確認しておくことが不可欠です。
中1〜中3のどの学年が反映されるか
内申点に反映される学年も、都道府県によって異なります。
中3の成績のみを使う地域(愛知県など)、中2と中3の成績を使う地域(神奈川県など)、中1から中3の3年間すべてを使う地域(埼玉県・千葉県・大阪府など)と、さまざまです。
中3の成績のみが対象の地域でも、中1・中2から学習習慣をしっかりつけておくことが、中3での高い評定獲得につながります。また、東京都の場合は中学3年生の2学期(3学期制)または後期の中間テストまでの成績が内申点として使われるため、中3の前半から本気で取り組む必要があります。
内申点を上げる方法
内申点は、正しいアプローチで取り組めば着実に上げることができます。今すぐ実践できる方法を具体的に紹介します。
定期テストで点数を取るための勉強法
定期テストは内申点に直結するため、計画的な対策が欠かせません。まず、テスト範囲が発表されたら早めに学習計画を立て、余裕をもって準備を進めましょう。
特に実技4教科の定期テストは見逃せません。 東京都など実技教科が2倍計算される地域では、実技の評定を1上げると換算内申点が2点上がります。実技が苦手でも、ペーパーテストで高得点を取ることで評定をカバーできるケースがあります。
苦手教科はワークや問題集を繰り返し解き、理解が曖昧な部分は先生に積極的に質問することが効果的です。
提出物と授業態度を改善するポイント
提出物は必ず期限内に出すことが最低条件です。さらに一歩進めて、ノートや自由記述欄を丁寧に書いたり、自分なりの気づきやまとめを加えたりするだけで、評価が上がりやすくなります。
授業中は積極的に発言し、わからないことがあれば積極的に先生に質問するようにしましょう。こうした姿勢が「主体的に学習に取り組む態度」の観点で高く評価されます。
また、生徒会活動・委員会活動・部活動といった学校行事への前向きな参加も、内申書に記載される重要な記録となります。
実技教科で評価を上げるコツ
体育・音楽・美術・技術家庭といった実技教科は、テストと実技の両面から評価されます。実技が苦手であっても、真剣に取り組む姿勢と授業への積極参加が評定に反映されます。
たとえば体育が苦手な場合、ルールや技術的な知識が問われる定期テストで高得点を目指すことで評定の底上げができます。美術や技術家庭では、提出作品を丁寧に仕上げることが高評価につながります。
副教科だからといって手を抜かず、主要5教科と同様に取り組む意識が大切です。
内申点と偏差値の関係
高校受験では「内申点」と「偏差値」という2つの指標がよく使われます。それぞれの意味と関係を正しく理解しておきましょう。
内申点と偏差値はどちらが大事か
内申点と偏差値は、役割が異なります。内申点は中学校での日常の学習状況を数値化したもので、調査書(内申書)を通じて入試の合否に影響します。一方、偏差値は模試などの学力テストにおける相対的な学力位置を示す指標です。
どちらが大事かという問いへの答えは、受験する都道府県や高校によって異なります。内申点の比重が大きい高校では日常の成績が合否を左右しますし、学力検査重視の高校では当日の得点が大きな意味を持ちます。
たとえば東京都立高校の一般入試では、学力検査と内申点の比率は原則として7対3です。内申点だけが高くても、学力検査の点数が足りなければ合格は難しくなります。
内申点を偏差値に換算する考え方
内申点と偏差値を直接換算することはできません。ただし、おおまかな目安として、内申点のレベルと目指せる高校の偏差値帯には相関関係があります。
東京都の例でいえば、換算内申点が55以上あると偏差値60以上の進学重点校が視野に入ってくるとされています。一方、換算内申点がオール3相当の39点であれば、偏差値50前後の高校が目安となります。
ただし、当日の学力検査の点数で逆転合格も十分に可能です。内申点が多少足りなくても、入試本番に向けてしっかり学力を伸ばすことで、志望校合格のチャンスは開けます。
志望校選びにおける内申点の目安
志望校を選ぶ際には、その高校が求める内申点の目安をあらかじめ把握しておくことが大切です。
内申点の目安は高校・地域によって大きく異なりますが、一般的に偏差値の高い高校ほど高い内申点が求められる傾向にあります。東京都では上位の進学校を目指す場合、換算内申点55〜65点が目安といわれています。
受験する都道府県の教育委員会や各高校の入試要項、塾の資料などを活用して、志望校の内申点目安を早めに確認しておきましょう。そのうえで、今の自分の内申点との差を把握し、何をどれだけ改善すれば届くかを逆算して取り組むことが、合格への最短ルートです。
内申点対策は、受験直前ではなく今日から始めることが何より大切です。日々の積み重ねが、志望校合格という大きな結果につながっていきます。