将来の夢がない高校生の大学選び|文理選択と学部の決め方

将来の夢がない高校生の大学選び|文理選択と学部の決め方

将来の夢がない高校生にとって、大学選びや文理選択は大きな悩みになりやすいものです。周りが志望学部を口にし始めると、自分だけ取り残されたように感じることもあるでしょう。この記事では、夢が決まっていない状態でも納得して文理と学部を選ぶための考え方と、今日からできる準備を順番に紹介します。

将来の夢がない高校生でも大学は選べる

結論から言うと、夢が決まっていなくても大学や学部は選べます。高校生の段階で将来の仕事まで決めている人のほうが、むしろ少ないと考えてよいでしょう。

文理選択に悩む人は半数近くいる

Studyplusトレンド研究所と山田進太郎D&I財団は、2023年6月に文理選択についての調査を行いました。対象は学習アプリ「Studyplus」を使う高校生と大学1〜2年生の3,297人です。

その結果、文理選択を経験した2,740人のうち42.5%が、選択に悩みや迷いを抱えていたと報告されています(スタディプラスによる調査結果の発表)。決められずに迷っているのは、あなただけではありません。

夢がないことや成績のことで自分を責めてしまうときは、「勉強できないと人生終わり」と感じたときの考え方もあわせて読んでみてください。

大学は「やりたいことを探す場所」でもある

大学進学は、夢をかなえる手段であると同時に、やりたいことを探す期間にもなります。1〜2年次に専門以外の科目も幅広く学べる大学は多く、そこで初めて出会う分野もあります。

心理学や社会学、情報科学のように、高校には無い学問に触れて興味の方向が変わる人も珍しくありません。「夢を見つけてから大学を選ぶ」だけでなく、「大学で見つける」という順番もあると考えると、気持ちが少し楽になるはずです。

文理選択で迷ったら得意科目と受験科目で考える

夢が決まっていないなら、文理は「得意・苦手」と「受験で使う科目」を基準に選んで問題ありません。医師や薬剤師など特定の専門職を目指す場合を除けば、文理選択は主に高校で学ぶ科目の選択です。

「苦手だから文系」も立派な理由になる

前述の調査では、文系を選んだ理由の1位は「理系科目が苦手だったから」で49.9%でした。理系を選んだ理由の1位は「理系で学べる内容に興味があるから」で55.6%です。

得意・苦手で選ぶのは逃げではありません。大学受験は得点で合否が決まるため、力を出しやすい科目で受験できるほうが志望校の選択肢は広がります。

一方で、同研究所が2023年8月に公表した続報では、文理選択に後悔があると答えた人が2割程度いました。後悔を減らすために、得意・苦手に加えて次の2点も確かめておくと安心です。

国公立を目指すなら文系でも数学と理科が必要

国公立大学を受ける可能性があるなら、共通テストの科目数を確認しておきましょう。国立大学協会は2022年1月の基本方針で、2025年度入試からの一般選抜について方針を示しています。

その内容は、共通テストで従来の5教科7科目に「情報」を加えた6教科8科目を原則として課すというものです。国立大学志望なら、文系でも数学や理科、理系でも国語や地歴・公民の対策が必要になるのが一般的です。

私立大学は3教科程度で受けられる方式が多く、数学が苦手でも文系の選択肢は残ります。ただし経済・商学系などでは数学を使う方式もあるため、気になる大学の募集要項で科目を確かめてください。

理系から文系への変更は比較的しやすい

高2以降に進路を変えたくなった場合、理系から文系への変更は、その逆より対応しやすいとされています。理系では数学Ⅲや物理・化学など、文系では学ばない科目を積み上げる必要があるためです。

理系科目にも興味があって迷っているなら、ひとまず理系を選ぶという考え方もあります。ただ、苦手な科目が続いて成績が大きく崩れては意味がないので、担任の先生と相談して決めましょう。

文理が決まり、受験勉強をいつ始めるかが気になってきたら、高2から受験勉強を始めるタイミングと進め方も参考になります。

文系でも理系でも仕事の選択肢は広い

「理系は理系の仕事しかできない」「文系は就職先が限られる」と決めつける必要はありません。理系学部の出身者が営業や企画の仕事に就くこともあります。文系学部で学びながら、データ分析やプログラミングを身につける人もいます。

文理で決まるのは主に大学で学ぶ分野です。将来の仕事の範囲まで、高校での選択だけで決まるわけではありません。

夢がないときの学部の絞り方

夢がないときは、「やりたくないこと」と「今の興味」の2方向から学部を絞るのが近道です。資格につながる学部を候補に入れたり、オープンキャンパスで授業を体験したりすると、比べやすくなります。

「やりたくないこと」から消去法で絞る

「何をしたいか」が浮かばなくても、「これは避けたい」なら答えやすいものです。たとえば「細かい実験をずっと続けるのは苦手」「人前で話す機会は少ないほうがいい」などが考えられます。

避けたいことを紙に書き出してから学部の一覧を見ると、候補から外せる分野が見えてきます。残った学部の中から、少しでも気になるものを3つほど選んでみましょう。

今の興味から学部を探す

将来の職業から考えると行き詰まりやすいので、「今、何が気になるか」から学部を探すのも有効です。興味と学部の組み合わせは、たとえば次のようになります。

興味があること学部・学科の例
人の心や行動心理学、教育学、人間科学系の学部・学科。
機械やアプリ、AI情報系、工学系の学部。
ニュースや社会問題法学部、社会学部、政策系の学部。
お金や会社の仕組み経済学部、経営学部、商学部。
外国の言葉や文化外国語学部、国際系の学部、文学部。
生き物や食べ物農学部、生命科学系の学部、栄養系の学科。

同じ名前の学部でも、大学によって学べる内容はかなり違います。候補が見つかったら、大学の公式サイトでカリキュラムや卒業生の進路を確認しましょう。

資格につながる学部も候補に入れる

「夢はないけれど、働くイメージは持っておきたい」という人は、資格に結びつく学部を候補にする方法もあります。看護系の学科なら看護師、6年制の薬学科なら薬剤師の国家試験の受験資格を目指せます。

管理栄養士や社会福祉士のように、所定の課程や科目を修めることで受験資格につながる資格もあります。こうした学部は卒業後の進路が見えやすい一方、学ぶ内容がはっきり決まっています。

その仕事に少しでも興味が持てるかどうかを、オープンキャンパスなどで確かめてから選ぶと安心です。

オープンキャンパスで授業を体験する

パンフレットだけでは分からない雰囲気を知るには、オープンキャンパスが役立ちます。模擬授業や研究室の見学を用意している大学も多くあります。「この話はもっと聞きたい」と感じるかどうかは、学部選びの大事な手がかりです。

在学生と話せるコーナーがあれば、「入学前にやりたいことは決まっていたか」を聞いてみるのもおすすめです。オンラインの説明会を開く大学もあるので、遠くの大学も候補から外さずに調べられます。

夢がないまま入学しても方向は変えられる?

変えられます。大学では授業や課外活動を通じて興味が変わることも多く、学部や学科の変更を認める制度を持つ大学もあります。

授業やゼミ、課外活動で興味は育つ

入学後は、授業やゼミ、サークル、ボランティア、アルバイトなど、経験の幅が高校より一気に広がります。その中で「この分野をもっと知りたい」と思えるテーマに出会えれば、進路の方向は自然と決まっていきます。

学年を問わず参加できる企業説明会や、仕事を体験できるプログラムもあります。働く人の話を直接聞くと、自分に合う仕事と合わない仕事の感覚がつかみやすくなります。

転部・転学科の条件は大学によって違う

入学後に別の分野を学びたくなったときは、同じ大学の別の学部へ移る「転部」や、別の学科へ移る「転学科」という制度があります。ただし、制度があるかどうかも、その条件も大学ごとに異なります。

成績や修得単位の基準、受け入れ先の定員の空き、書類や面接による選考などが条件になることが多いようです。文系から理系への転部は、必要な科目の積み上げがあるため難しい場合が多いとされます。

転部はあくまで保険と考え、入学前に大まかな方向を決めておくのがおすすめです。気になる大学の制度は、公式サイトや学生向けの案内で確認できます。

今日からできる3つの準備

進路が決まっていなくても、今日から始められる準備はあります。自己分析、情報収集、相談の3つを少しずつ進めてみましょう。

自己分析は5つの問いに答えるだけでよい

自己分析といっても、難しく考える必要はありません。次の問いに、思いついたことを短く書き出してみてください。

  • 小学生や中学生のころ、夢中になっていたことは何ですか?
  • 時間を忘れて取り組めることはありますか?
  • 人に褒められたり感謝されたりして、うれしかった経験は何ですか?
  • 「これだけはやりたくない」と思う仕事や状況はありますか?
  • 収入、安定、住む場所など、将来の暮らしで大事にしたいことは何ですか?

完璧な答えを出す必要はありません。目的は将来像を決めることではなく、自分の傾向を知ることです。書き出した内容は、先生や保護者に相談するときの材料にもなります。

大学の情報は公式サイトと大学ポートレートで集める

大学の情報は、まず各大学の公式サイトやパンフレットで確認するのが基本です。複数の大学を比べたいときは、大学改革支援・学位授与機構が運営する大学ポートレートが便利です。

大学ポートレートでは、全国の大学・短期大学の入試、進路、学費、カリキュラムなどの情報を調べられます。専攻分野や取得できる資格から大学を探すこともできます。

大学の難易度や位置づけの全体像を知りたいときは、大学のレベル一覧と学歴序列の解説を読んでおくと、候補を比べやすくなります。

志望校が決まらなくても、英語や数学の基礎はどの進路でも役に立ちます。受験勉強の基礎固めの正しい進め方を参考に、今の学習を積み重ねておきましょう。

先生や保護者には考えた材料を持って相談する

「夢がなくてどうしたらいいか分からない」だけでは、相談された側も答えにくいものです。「得意科目は英語で、実験は苦手。文系と理系で迷っている」のように、今の状況をまとめてから話してみましょう。

進路指導の先生は、多くの卒業生の進路を見てきています。夢が決まらないまま進学した先輩がどのように進路を決めたか、聞いてみるのもよいでしょう。

保護者の方は、答えを急がせるよりも、お子さんが書き出した材料を一緒に眺めるつもりで話を聞いてあげてください。最終的に決めるのは本人ですが、相談を通して選択肢が増えることはよくあります。

まとめ

将来の夢がないまま文理や大学を選ぶのは、珍しいことではありません。この記事のポイントを振り返ります。

  • 文理選択は、得意・苦手と受験で使う科目を基準に決めてよい。
  • 国公立志望なら、共通テストの科目数(原則6教科8科目)も確認する。
  • 学部は「やりたくないこと」と「今の興味」の両方から絞る。
  • 大学に入ってから興味が見つかることも多く、転部などの制度がある大学もある。

焦らなくて大丈夫です。今できる準備を一つずつ進めていけば、自分に合う進路は少しずつ見えてきます。