「通知表がオール5だったけれど、偏差値でいうとどのくらい?」「どこの高校まで目指せるの?」と気になっている中学生や保護者の方は多いと思います。内申点と偏差値は測り方が違うため、そのまま置き換えることはできません。
この記事では、東京都の評定データと都立入試の計算方法をもとに、オール5の偏差値の目安と行ける高校の考え方を説明します。オール5を合格につなげるための準備も紹介します。
オール5の偏差値はどのくらい?
通知表の評定を偏差値に直す公式の計算式はありません。そのうえで大まかな目安をいうと、5教科オール5なら模試の偏差値で65前後が一つの見当です。
ただし、これはあくまで目安です。同じオール5でも、通っている学校や受ける模試によって偏差値には幅が出ます。
評定の「5」はどんな評価?
評定の意味は、文部科学省の通知で決められています。5は「十分満足できるもののうち、特に程度が高い」状況、4は「十分満足できる」状況、3は「おおむね満足できる」状況です(指導要録に記載する事項等(文部科学省))。
今の評定は、クラスの中の順位で5の人数を決めるものではありません。学習の目標にどこまで達したかで決まるため、基準を満たす生徒が多ければ5の人数も増えます。
評定は「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3つの観点をもとにつけられます。この3観点は、2019年3月の文部科学省の通知で示されたものです。
5をもらえる生徒はどのくらいいる?
東京都教育委員会は、都内の公立中学校3年生の評定の割合を毎年公表しています。2026年3月に発表された評定状況の調査結果(2025年12月31日時点)では、9教科全体で評定5の割合は12.3%でした。
教科別に見ると、5の割合は保健体育の9.5%から外国語(英語)の14.0%までです。どの教科も、5をもらえるのは7〜10人に1人ほどです。
オール5は、すべての教科で5をそろえる必要があります。オール5の人数そのものは公表されていませんが、多くても学年の1割ほどにとどまる計算です。
偏差値65や70はどのくらいの位置?
偏差値は、同じテストを受けた人の中での位置を表す数字です。平均点をとった人が50になり、点数の散らばり方によって上下が決まります。
得点の分布が左右対称の山形に近い場合、偏差値ごとの位置はおおよそ次のようになります。
- 偏差値60以上は、上位およそ16%です。
- 偏差値63以上は、上位およそ10%です。
- 偏差値65以上は、上位およそ7%です。
- 偏差値70以上は、上位およそ2%です。
オール5の人は多くても学年の1割ほどなので、この物差しでは偏差値63より上の層にあたります。そこから、5教科オール5なら偏差値65前後が一つの目安になります。
ほかの成績と比べたいときは、通知表オール4の偏差値と取る方法や、通知表オール3の偏差値と行ける高校も参考にしてください。
同じオール5でも偏差値に幅が出るのはなぜ?
通知表の評定と模試の偏差値は、測っているものも、比べる相手も違うからです。オール5でも、模試の偏差値が思ったほど高くないことは珍しくありません。
評定にはテスト以外の取り組みも入る
評定は3つの観点で決まるため、提出物や授業での取り組み、レポートや作品も反映されます。一方、模試の偏差値は、初めて見る問題を時間内に解く力で決まります。
そのため、提出物や授業での取り組みで評価を積み上げたオール5と、テストが得意なオール5とでは、模試の結果に差が出ることがあります。また、テストの難しさや評価の細かな基準は学校ごとに決めるので、同じ点数でも学校によって評定が変わることがあります。
受ける模試によっても数値は変わる
偏差値は、一緒にテストを受けた集団の中での位置です。上位校を目指す人が多く受ける模試では、同じ実力でも偏差値は低めに出ます。
自分の本当の位置を知りたいときは、志望する地域の受験生が多く受ける模試を受けてみるのが確実です。1回の結果で判断せず、何回かの推移で見るようにしましょう。
5教科オール5と9教科オール5はどう違う?
「オール5」には、主要5教科がすべて5の場合と、実技4教科を含む9教科すべてが5の場合があります。偏差値との関係が深いのは、5教科の評定です。
公立高校の学力検査や模試は、多くの場合、国語・数学・英語・理科・社会の5教科で行われます。9教科オール5なら内申点は満点ですが、偏差値を考えるときは5教科の力を見ることが大切です。
内申点オール5は何点?入試での扱い
9教科オール5の素内申(評定の合計)は45点で、満点です。入試では、これを都道府県ごとの方法で計算し直した点数が使われます。
都立入試では調査書点300点が満点
都立高校の一般入試(第一次募集)では、学力検査を行う5教科の評定は1倍、行わない実技4教科の評定は2倍にして合計します。オール5なら25点と40点を足した65点で、これが満点です。
令和9年度東京都立高等学校入学者選抜実施要綱では、全日制の学力検査と調査書点の比率を原則7:3としています。学力検査700点と調査書点300点の合計1,000点に、英語スピーキングテストの結果(最大20点)を加えて判定します。
オール5なら、調査書点は300点満点です。内申点でほかの受検者に差をつけられることはなく、残りの差は学力検査700点の中でつきます。
なお令和9年度は、7:3と10:0の両方で計算して高いほうを本人の得点とする方式を、新たに2校の普通科で行うと発表されています。こうした高校では、内申点の差がそのまま合否に響くとは限りません。
計算方法は都道府県で違う
中3の成績だけを使う地域もあれば、中1や中2の評定も入試の点数に入れる地域もあります。学力検査との比率を高校ごとに決めている地域もあるため、受験する年度の実施要綱で確認しましょう。
学年ごとの扱いや換算の仕方は、内申点の出し方と都道府県ごとの計算方法でくわしくまとめています。
オール5で行ける高校の目安は?
内申点の面では、地域のトップ校を含め、どの高校にも出願しやすい成績です。実際にどこまで届くかは、当日の試験で点を取れる力しだいです。
公立の上位校は当日点で差がつく
上位校には、オール5やそれに近い内申点の受験生が多く集まります。内申点での差が小さくなるため、合否を分けるのは学力検査の得点です。
東京都では、一部の高校が学力検査の問題を自校で作成しています。どの高校が自校作成の問題を使うかは、実施要綱と同じページで公表されています。
志望校を決めるときは、内申点だけでなく、模試の偏差値や過去問の得点を基準に考えるのが現実的です。
推薦入試は面接や小論文も大切
都立高校の推薦選抜には学力検査がありません。調査書、個人面接、小論文や作文などを総合して合否を決め、学校によっては集団討論も行います。
オール5なら調査書の面では有利ですが、人気校には内申点の高い生徒が集まります。面接や小論文の準備をしながら、一般入試の勉強も並行して進めましょう。
私立高校は推薦や併願優遇の基準を確認
私立高校には、内申点の基準を満たすと出願できる推薦入試や、首都圏などで見られる併願優遇があります。オール5なら、多くの学校でこうした内申の基準には届くでしょう。
ただし、難関の私立高校の中には、推薦や併願優遇を設けず、一般入試の得点で合否を決める学校もあります。基準の数字やどの教科を数えるかも学校ごとに違うので、募集要項や学校説明会で確かめましょう。
併願優遇の流れや単願との違いは、単願と併願の違いと併願優遇の仕組みで説明しています。
オール5を合格につなげるには?
内申点を最後まで保ちながら、当日の試験で点を取る力を伸ばすことが大切です。どちらか一方に偏らないように準備を進めましょう。
3つの観点を意識して評定を保つ
評定は学期ごとにつけ直されます。定期テストだけでなく、提出物の期限と中身、授業の振り返りまで丁寧に続けることが大切です。
提出物は答えを写して終わりにせず、間違えた問題を直して理由を一言書いておくと、取り組んだ跡が伝わります。実技4教科も、作品の仕上げや筆記テストの準備を後回しにしないようにしましょう。
教科ごとに5を取るための具体的なコツは、中学校の通知表で5を取る方法でも紹介しています。
模試と過去問で当日点の力を確かめる
中3の夏から秋にかけて模試を受け、偏差値だけでなく教科ごとの得点と間違えた単元を確認しましょう。評定では見えにくい弱点が分かります。
秋以降は志望校の過去問に取り組み、出題の形と時間配分に慣れておくと安心です。どの大問で点を落としやすいかが分かれば、残りの期間にやるべきことがはっきりします。
保護者ができること
オール5のお子さんは、周りから「できて当たり前」と見られやすく、プレッシャーを感じていることもあります。評定が一つ下がっても責めず、何を直せばよいかを一緒に考える姿勢で見守ってください。
志望校の選抜方法や内申点の扱いは、担任の先生や学校説明会で早めに確認しておくと、受験の計画が立てやすくなります。
まとめ
- オール5の偏差値に公式の換算はなく、5教科オール5なら65前後が一つの目安です。
- 東京都の評定5の割合は9教科全体で12.3%で、オール5は多くても学年の1割ほどです。
- 都立入試ではオール5の調査書点は300点満点で、差がつくのは当日の学力検査です。
- 評定を最後まで保ちながら、模試と過去問で当日点の力を確かめましょう。
オール5は、毎日の授業に丁寧に向き合ってきた成果です。自信を持ちつつ、模試で実力を確かめながら志望校を選んでいきましょう。