受験勉強の基礎固めとは?やり方・始める時期・教材の選び方

受験勉強の基礎固めとは?やり方・始める時期・教材の選び方

「基礎固めが大事」と言われても、何をどこまでやればいいのか分からず、手が止まっている人は多いのではないでしょうか。基礎固めは、やみくもに問題集を解くことではありません。教科書レベルの内容を、自分の言葉で説明できるまで理解することです。この記事では、主に大学受験を目指す高校生に向けて、基礎固めの意味と始める時期、教科別のやり方、教材の選び方を順に紹介します。

受験勉強の基礎固めとは何をすること?

受験勉強の基礎固めとは、教科書レベルの知識と基本問題を、自分の言葉で説明できる状態にすることです。一度読んで「分かった気がする」段階では、まだ基礎が固まったとは言えません。

「分かった」だけでは足りないのはなぜ?

たとえば英語なら、文法のルールを覚えるだけでなく、なぜその形になるのかを例文で説明できることが目安です。数学なら、公式を覚えたうえで、その公式がどう導かれるかを自分で追えることが目安になります。

大学入試センターは、共通テストの問題作成の方針として、「深い理解を伴った知識の質を問う問題」などを重視すると示しています。丸暗記に頼った勉強では、問われ方が少し変わっただけで手が止まりやすくなります。基礎の段階で理解を深めておくことが、本番で得点できる力につながります。

基礎固めと応用演習はどう違う?

基礎固めは、教科書の例題や標準的な問題を確実に解けるようにする段階です。応用演習は、いくつかの基礎知識を組み合わせたり、見慣れない形の問題で使ったりする段階です。

応用問題で手が止まるとき、原因をたどると基礎のどこかが抜けていることがよくあります。基礎が不十分なまま難しい問題集に進んでも、解説が理解できず時間ばかりかかってしまいます。順番を守って基礎から進めることが、結果的に近道です。

基礎固めはいつから始めて、いつまでに終える?

理想は高1・高2のうちに始めることです。一つの目安として、英語と数学は高2のうちに教科書レベルをひと通り固め、ほかの科目も高3の夏までに基礎を終えておくと、秋以降を演習に使えます。

高1・高2は英語と数学から始める

英語と数学は、前の単元の理解を前提に次の単元へ進む「積み上げ型」の科目です。抜けた単元があると後の内容まで分からなくなるため、早めに手をつけるほど後が楽になります。定期テストの勉強をその場しのぎにせず、単元ごとに理解を固めていくこと自体が、受験の基礎固めになります。

理科・社会は、受験で使う科目を決めたら、学校で習った単元から順に基礎を固めていきましょう。後回しにしすぎると、高3の秋以降に暗記の量が集中してしまいます。高2から受験勉強を始める場合の全体の流れは、高2から受験勉強を始めるときのタイミングと進め方で紹介しています。

高3からでも基礎固めはやり直せる?

高3になってから基礎の抜けに気づいても、やり直すことはできます。ただし、全範囲を最初から復習する時間はないため、優先順位をつけることが欠かせません。

大学入試センターの発表では、令和9年度の共通テストは2027年1月16日と17日に行われる予定です。そこから逆算すると、夏休みまでに主要科目の基礎をひと通り終え、秋からは過去問や実戦的な演習に比重を移すのが一つの流れです。

時間が限られる場合は、模試や過去問で解けなかった単元を洗い出し、その単元だけ基礎の問題集に戻る方法が効率的です。高校の内容以前に、中学の英語や数学からつまずいている場合は、大学受験に向けて中学の範囲からやり直す方法も参考にしてください。

教科別の基礎固めはどう進める?

基礎固めで優先することは、教科によって違います。ここでは5教科それぞれの進め方を紹介します。

英語は単語と文法を並行して進める

英語は、単語と文法を同時に進めるのが基本です。単語が分からなければ英文は読めず、文法が分からなければ単語をつないで意味を取れないからです。

単語帳は1冊に決め、毎日決まった範囲をくり返します。文法は、文の構造や品詞の働きを理解しながら進め、短い英文を正確に読む練習につなげましょう。短い英文が読めるようになったら、少しずつ長い文章へ進みます。

リスニングは短期間では伸びにくい力です。基礎固めの段階から、通学時間などに少しずつ英語を聞く習慣をつけておくと安心です。

数学は教科書の例題を自力で解けるまで

数学の基礎固めのゴールは、公式の意味を理解し、教科書の例題を何も見ずに解けるようになることです。公式がどう導かれるかを一度自分で追っておくと、忘れたときにも思い出しやすくなります。

問題を解くときは、解き方の手順を言葉にしながら進めましょう。間違えた問題は解説を読んで終わりにせず、数日あけてもう一度解き直します。何も見ずに解ければ、その問題は身についたと判断できます。

国語は現代文と古文・漢文で進め方を分ける

現代文は、筆者の主張と、それを支える理由や具体例を区別しながら読む練習が基礎になります。段落ごとに要点を一文でまとめる練習を続けると、長い文章でも全体の流れをつかみやすくなります。

古文は古文単語と助動詞などの文法から、漢文は基本的な句法から覚えるのが出発点です。古文は、当時の生活や習慣といった古典常識を知っておくと、話の筋を追いやすくなります。

理科・社会は用語の意味と流れを押さえる

理科は、用語や公式を覚えるだけでなく、その現象がなぜ起こるのかを説明できるようにしておきましょう。物理や化学の計算問題では、数学の計算力も土台になります。

歴史は、細かい用語を覚える前に、時代の大きな流れをつかむと覚えやすくなります。地理や公民は、用語どうしのつながりや原因と結果の関係を意識して整理するのがコツです。

基礎固めの教材はどう選ぶ?

基礎固めの教材は、説明がていねいで、今の自分が読んで理解できるものを選ぶのが基本です。ここでは定番の教材を紹介しますが、書店で中身を確かめてから選びましょう。

英語の定番教材

英単語帳では、旺文社の「英単語ターゲット1900」と駿台文庫の「システム英単語」が長く使われています。2026年9月時点で、出版社のサイトではそれぞれ6訂版と5訂版が案内されています。システム英単語は、単語を短いフレーズ(ミニマル・フレーズ)で覚える構成が特徴です。

文法は、講義形式で説明をかみくだいた入門書から始め、理解できたら問題集で演習する流れがおすすめです。どちらか一方だけでなく、読んで理解する本と、解いて確かめる本を組み合わせましょう。

数学の定番教材

旺文社の「基礎問題精講」は、教科書から入試への橋渡しを目的とした問題集です。たとえば数学Ⅰ・A 基礎問題精講(六訂版)は、入試に出る基本的な154のテーマを扱っています。各テーマは「基礎問→精講→解答→ポイント→演習問題」の順に解説されています。

数研出版の「チャート式」は、難易度別に白・黄・青などに分かれています。出版社は白チャート(基礎と演習)を基礎固め向けと案内しており、一般に黄チャート、青チャートの順に難しくなります。問題数が多いので、まずは例題だけをくり返すと進めやすくなります。

国語・理科・社会の教材

2026年9月時点の旺文社のサイトでは、基礎問題精講のシリーズに物理・化学・生物の版も案内されています。社会は「一問一答」形式の問題集を1冊持っておくと、すきま時間の確認に便利です。国語は、学校で使っている教科書や副教材の文章を読み直し、要点をまとめる練習から始めても十分です。

どの教科でも、教材を何冊も並行するより、1冊を完全に仕上げるほうが力がつきやすくなります。基礎の教材から入試レベルの教材へどうつなげるかは、参考書ルートの考え方と科目別の組み方を参考にしてください。

基礎固めでよくある失敗と対策は?

基礎固めがうまく進まない原因は、いくつかのパターンに分けられます。当てはまるものがないか確かめてみましょう。

教材を次々に替えてしまう

1冊を終える前に別の教材に移ると、どれも中途半端になり、身についた実感が得られません。「この1冊で足りるのか」と不安になるのは自然なことです。それでも、まずは手元の1冊を仕上げることを優先しましょう。

目安として、同じ教材を3周することを目標にしてみてください。1周目で全体をつかみ、2周目は間違えた問題を中心に理解を深め、3周目で解けるかを確かめます。間違えた問題に印をつけておくと、2周目以降の効率が上がります。復習を入れるタイミングは、成績が上がる復習のタイミングとやり方で詳しく紹介しています。

分かったつもりで先に進んでしまう

解説を読んで「なるほど」と思っても、何も見ずに解けるとは限りません。公式や文法、歴史の用語を意味が分からないまま覚えると、問われ方が変わっただけで答えられなくなります。

理解できているかを確かめるには、人に教えるつもりで説明してみる方法が役立ちます。説明に詰まったところが、まだ理解が浅いところです。そこで教科書や参考書に戻り、あいまいなまま先へ進まないようにしましょう。

完璧を目指して基礎から抜け出せない

反対に、完璧を求めるあまり、いつまでも基礎の教材をくり返してしまう人もいます。教科書の例題と基本問題がおおむね自力で解けるようになったら、演習の段階へ進んで構いません。演習で見つかった弱点は、そのつど基礎に戻って補えば十分です。

基礎固めが終わったら次に何をする?

基礎がひと通り固まったら、標準から応用レベルの問題演習に進み、その後に志望校の過去問に取り組みます。

演習の段階では、複数の知識を組み合わせて解く問題や、見慣れない形の問題に挑戦します。ここで解けなかった問題は、どこかの基礎が抜けているサインでもあります。原因になった単元を確かめ、必要なら基礎の教材に戻りましょう。

過去問は、高3の夏前後に一度解いてみると、志望校の出題傾向と今の実力の差がつかめます。その差を埋める計画を立て、秋以降の勉強に生かしましょう。解いた過去問を得点につなげる方法は、過去問ノートの作り方と解き直しの進め方で紹介しています。

演習の時期に入っても、単語や公式、基本問題の反復は本番まで続けましょう。基礎は使わないと少しずつ抜けていくため、毎日短い時間でも触れておくことが大切です。

まとめ

  • 基礎固めとは、教科書レベルの内容を自分の言葉で説明でき、例題を自力で解ける状態にすること。
  • 英語と数学は高2のうちに、ほかの科目も高3の夏までに基礎をひと通り固めるのが目安。
  • 教材は1冊に絞り、3周を目標にくり返す。
  • 基礎が固まったら演習と過去問へ進み、見つかった弱点はそのつど基礎に戻って補う。

基礎固めは地味に感じるかもしれませんが、ここで積み上げた理解が応用問題や本番の得点を支えます。今の自分に合った1冊を選び、今日の分から始めてみましょう。