「高校の英語や数学の授業がほとんど分からない」「どこから手をつければいいのかも分からない」。そんな状態から大学受験を目指す人は、決して少なくありません。この記事では、大学受験で中学からやり直すときの科目の優先順位と、英語・数学の具体的な進め方を解説します。使いやすい参考書と、高校の内容へ移るタイミングもあわせて紹介します。
大学受験で中学からやり直すのは遠回り?
結論から言うと、つまずきの原因が中学の内容にあるなら、中学からやり直すほうが結果的に近道です。
大学入試の英語や数学は難しく見えますが、土台には中学で学んだ単語や文法、計算があります。たとえば高校英語の長文は、中学で学ぶ時制や関係代名詞が分かっていないと正確に読めません。数学でも、高校の数学Ⅰで学ぶ二次関数は、中3で学ぶ因数分解や「関数y=ax²」の理解が前提になります。
中学の内容を飛ばして高校の参考書に進むと、解説の言葉そのものが分からず、丸暗記に頼るしかなくなります。分からない原因が中学にあるなら、そこまで戻るのがいちばん確実です。
中学の範囲に戻ることを、恥ずかしいと感じる必要はありません。分かったふりのまま先へ進むより、ずっと効率のよい選択です。低い偏差値から巻き返すときの全体の考え方は、偏差値が低いところから逆転合格するための方法でも紹介しています。
中学の復習が必要かを確かめる方法
中学の復習が必要かどうかは、中学の基本問題を実際に解いてみると分かります。次のような状態に当てはまる場合は、中学の範囲から始めるのがおすすめです。
- 現在完了や関係代名詞などの文法用語を、例文を使って説明できない。
- 中学レベルの英文でも、主語と動詞がどれか分からないことがある。
- 正負の数や分数を含む計算、一次方程式でミスが多い。
- 因数分解や平方根の計算の手順があやふやになっている。
反対に、中学の問題集の基本問題がほぼ解けるなら、苦手な単元だけを確認して高校の範囲に進んで構いません。
やり直す科目は英語と数学を優先する
中学からやり直す科目は、まず英語と数学の2つに絞りましょう。どちらも前の単元の理解を前提に次の単元が進む「積み上げ型」の科目です。中学の内容が抜けていると、高校の内容になかなか進めません。
英語と数学を先にやる理由
英語は、文系・理系を問わず多くの大学で入試科目になっています。数学は理系の学部に加えて、国公立大学を目指す文系の受験生にも必要になることがあります。
また、この2科目は学び直しに時間がかかるため、早く手をつけるほど後の計画に余裕が生まれます。志望校が決まっている場合は、募集要項で入試科目を確認し、数学が必要かどうかを先に確かめておきましょう。
理科・社会・国語はどうする?
理科や社会は、英語や数学に比べると、高校の範囲から学び始めても理解しやすい単元が多い科目です。まずは英語と数学の中学範囲を固め、そのあとに受験で使う科目を高校の教材で進めるとよいでしょう。
ただし、物理や化学の計算問題では、中学数学の計算力や比例の考え方を使います。数学の復習は、理系科目の土台づくりにもなると考えておきましょう。国語は中学に戻るよりも、高校の問題集で漢字・語彙と文章の読み方を並行して進めるほうが現実的です。
英語を中学からやり直す手順と教材
英語は、単語と文法を同時に進めるのが基本です。単語だけ、文法だけでは英文が読めるようにならないため、毎日両方に少しずつ触れるようにしましょう。
中学英単語を先に固める
中学で学ぶ英単語は、思っているより多いかもしれません。文部科学省の中学校学習指導要領解説 外国語編では、小学校で学ぶ600〜700語に加え、中学校で1,600〜1,800語程度を扱うとしています。中学卒業までに、合わせて2,200〜2,500語ほどに触れる計算です。
大学受験用の単語帳に進む前に中学レベルの単語を固めておくと、例文の意味が取りやすくなります。教材は、中学3年分の単語をまとめた単語帳を1冊選びましょう。たとえば駿台文庫の「中学版 システム英単語〈改訂版〉」は、大学受験向けの「システム英単語」シリーズの中学版です。
覚えるときは、1日に進む範囲を決めて何度も繰り返します。1回で完璧に覚えようとせず、見た瞬間に意味が分かる状態を目指して何周も回すのがコツです。
中学英文法を1冊で通して復習する
単語と並行して、中学英文法を1冊の参考書で最初から最後まで通して復習します。学研の「ひとつひとつわかりやすく。」シリーズには、中1〜中3の英語を1冊で学び直すための「中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。改訂版」があります。苦手な学年がはっきりしている場合は、同じシリーズの学年別の本を選ぶ方法もあります。
文法はルールを覚えるだけでなく、例文を声に出して読み、自分でも英文を書いてみるところまで進めましょう。例文を見て、なぜこの形になるのかを説明できれば理解できている証拠です。
英語のやり直しにかかる期間の目安
かかる期間は、1日に使える時間と、どの学年からつまずいているかで大きく変わります。教育ラボでは、まず1か月程度をひとつの区切りとして計画を立てることをおすすめします。
1か月たっても基本問題で迷う単元が多い場合は、その単元だけもう1周してから高校の範囲に進みましょう。反対に、早く終わりそうなら前倒しで次に進んで構いません。
数学を中学からやり直す手順と教材
数学は、計算、方程式、関数、図形の順に中学の単元を積み上げ直すのが効率的です。特に中3の単元は、高校の数学Ⅰに直接つながります。
まずは計算力を取り戻す
数学のやり直しは、正負の数、文字式、一次方程式といった中1の計算から始めます。ここがあいまいなままだと、どの単元でも計算ミスが続きます。考え方が合っていても、正解までたどり着けません。
計算練習は、1日10〜15分でもよいので毎日続けることが大切です。間違えた問題には印をつけ、翌日にもう一度解き直しましょう。
高校数学につながる中3の単元を重点的に
文部科学省の中学校学習指導要領解説の数学編によると、中3では平方根、式の展開と因数分解、二次方程式を学びます。あわせて、関数y=ax²、図形の相似、三平方の定理も中3の内容です。
これらは、高校の数学Ⅰで学ぶ二次関数や三角比の前提になる単元です。中2の一次関数とあわせて、グラフの形と式の関係を説明できるようにしておきましょう。
なお、中学で扱う「2乗に比例する関数」はy=ax²の形だけです。y=ax²+bx+cのような一般の二次関数は、高校で初めて学びます。
数学のやり直しに使える参考書
教材は、解説を読んで自分で理解できるレベルのものを選びます。同じく学研の「中学数学の解き方をひとつひとつわかりやすく。改訂版」は、中学数学の問題の解き方を基礎から確認できる1冊です。
苦手な学年が分かっている場合は、「中1数学をひとつひとつわかりやすく。改訂版」のような学年別の本から始める方法もあります。分からない単元をじっくり調べたいときは、網羅型の参考書を辞書代わりに手元に置くと便利です。学研の「パーフェクトコース わかるをつくる 中学数学 新装版」などがその例です。
数学のやり直しにかかる期間の目安
数学も英語と同じく、1か月程度をひとつの区切りにして計画を立てるとよいでしょう。全単元に同じ時間をかける必要はありません。すでに解ける単元は数問解いて確認するだけにし、つまずいた単元に時間を回しましょう。
中学からやり直すときの参考書一覧
ここまでに紹介した参考書を一覧にまとめます。定価は2026年9月時点で各出版社の公式サイトに掲載されている税込価格で、改訂などで変わることがあります。
| 科目 | 参考書(出版社) | 定価 | 使い方 |
|---|---|---|---|
| 英語 | 中学版 システム英単語〈改訂版〉(駿台文庫) | 1,760円 | 中学3年分の単語を覚え直す。 |
| 英語 | 中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。改訂版(学研) | 2,750円 | 中学英文法を1冊で通して復習する。 |
| 数学 | 中学数学の解き方をひとつひとつわかりやすく。改訂版(学研) | 1,375円 | 基本問題の解き方を確認する。 |
| 数学 | 中1〜中3数学をひとつひとつわかりやすく。改訂版(学研) | 各1,210円 | 苦手な学年だけを復習する。 |
参考書は、書店で数ページ読んでみて、解説が自分に合うかを確かめてから選ぶのが確実です。何冊も買い集めるより、1冊を繰り返し使い切るほうが力がつきます。中学の復習が終わったあとに使う教材は、大学受験の参考書を科目別・レベル別にまとめた記事で紹介しています。
高校の内容に移るタイミングと続けるコツ
中学の参考書を1〜2周し、基本問題をほぼ迷わず解けるようになったら、高校の範囲に進みましょう。中学の復習に時間をかけすぎると、高校の範囲や過去問に使う時間が足りなくなります。
「完璧」より「基本問題で迷わない」を目安に
中学の範囲を完璧にしてから進もうとすると、いつまでも高校の内容に入れません。多少の抜けがあっても、高校の範囲で分からない点が出てきたら、その都度中学の参考書に戻れば大丈夫です。
高校の範囲に進んでからの教材の順番は、参考書ルートの考え方と科目別の例を参考にすると決めやすくなります。高校範囲も含めた基礎固め全体の進め方は、受験勉強の基礎固めの方法と時期で詳しく解説しています。
模試や学校の課題で理解度を確かめる
中学の復習がひと通り終わったら、模試や学校の課題テストで今の実力を確かめましょう。点数そのものより、どの単元で失点したかを見ることが大切です。
失点の原因が中学の内容にあれば、その単元だけを中学の参考書で確認し直します。戻って確認する習慣があると、同じつまずきを繰り返しにくくなります。
毎日の習慣にして、必要なら人の力も借りる
やり直しの勉強は、たまに長時間やるより、短い時間でも毎日続けるほうが身につきやすくなります。「英単語を毎日50語」「計算問題を毎日10問」のように、量と期限を具体的に決めておくと続けやすいでしょう。
どこが分からないのかも分からないときは、独学だけで抱え込まないことも大切です。学校の先生に質問したり、個別指導塾で弱点を確認してもらったりすると、復習する範囲を絞り込めます。独学で進めるか迷っている人は、塾なしで大学受験に合格するための勉強法も参考にしてください。
まとめ
大学受験で中学からやり直すときのポイントを振り返ります。
- 分からない原因が中学にあるなら、中学からやり直すのが近道になる。
- 科目は英語と数学を優先し、英語は単語と文法を並行して進める。
- 数学は計算から始め、高校につながる中3の単元を重点的に復習する。
- 1か月程度を区切りにし、基本問題で迷わなくなったら高校の範囲へ進む。
中学の内容に戻ることは、遠回りではなく土台を固め直す作業です。まずは今日、1冊の参考書を開くところから始めてみましょう。