高校受験や大学受験を控えているのに、「調査書って何?」「内申書と同じもの?」「どこでもらえるの?」と疑問を持っている方は少なくありません。調査書は受験に必要な重要書類のひとつですが、詳しく知らないまま当日になって慌ててしまうケースもあります。
この記事では、調査書の意味・記載内容・入試での役割・取得方法まで、受験生と保護者の方がおさえておきたい情報をまるごと解説します。2025年度入試から変更された新様式についても触れているので、ぜひ最後まで読んでみてください。
調査書とはどんな書類か
調査書とは、受験生が高校でどのような学習を行い、どのような学校生活を送ってきたかをまとめた公式書類です。在籍中または卒業した学校の担任が記入し、校長印を押して発行されます。
調査書は文部科学省が定めた様式をもとに全国統一で作成されるため、大学側が受験生を比較・評価しやすいという特徴があります。高校受験・大学受験の双方で広く活用されており、大学入試においては選抜方式を問わずほぼすべての大学への提出が義務づけられています。
調査書と内申書の違い
「調査書」と「内申書」は同じものを指すと思われがちですが、厳密には使われる文脈が異なります。
「調査書」は公式な書類名で、文部科学省が定める正式な名称です。一方、「内申書」は学習成績を点数化した「内申点(評定)」が記載されていることから生まれた俗称です。内申書という呼び方は主に高校受験の場面でよく使われます。
また、高校受験で使われる書類は中学校が作成するもの、大学受験で使われるのは高校が作成するもの、と発行する学校段階も異なります。どちらも意味する内容はほぼ同じですが、受験の種類によって書類を作成する学校が変わる点は覚えておきましょう。
調査書に記載されている内容
調査書には、受験生の学校生活に関するさまざまな情報が記載されています。主な記載内容は以下のとおりです。
- 氏名・生年月日・現住所・在学中の高校名などの個人情報
- 各教科・科目の学習の記録(学年別・科目ごとの5段階評定と修得単位数)
- 各教科の学習成績の状況(評定平均値)
- 学習成績概評(高校3年間の成績をA〜Eの5段階で表したもの)
- 総合的な探究の時間の記録
- 特別活動の記録(ホームルーム活動・生徒会活動・学校行事)
- 指導上参考となる諸事項(部活動の成績・取得資格・表彰・ボランティアなど)
- 備考
- 出欠の記録
それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。
教科の学習成績
調査書の中でも特に重視されるのが、教科・科目の学習成績です。高校1年から3年の1学期(出願時期により異なる場合あり)までの全教科・科目について、5段階評定と修得単位数が記載されます。
全教科の成績を平均した数値が「評定平均」であり、学校推薦型選抜などでは出願条件として一定の評定平均が求められることが多いです。学習成績概評はこの評定平均をもとにA〜Eの5段階で分類され、AはA(5.0〜4.3)、Bは4.2〜3.5、Cは3.4〜2.7、Dは2.6〜1.9、Eは1.8以下と定められています。
評定平均は高1・高2の成績から積み上げていくものなので、高校1年生のうちから意識して学習に取り組むことが大切です。
出欠の記録
調査書には、各学年の出席日数・欠席日数・遅刻回数・早退回数なども記載されます。高い出席率は、受験生の学習への意欲や責任感を示すものとして評価されます。一方、欠席が多い場合でも、病気など適切な理由がある場合は減点対象にならないケースもあります。特に理系大学や女子大学では出欠記録を重視する傾向があると言われています。
特別活動・指導上参考となる諸事項
ホームルーム活動・生徒会活動・学校行事などの特別活動の記録も調査書に記載されます。さらに「指導上参考となる諸事項」には、部活動の成績・取得資格や検定・表彰・ボランティア活動・留学経験など、成績以外のさまざまな活動実績がまとめられます。
2025年度入試からは、この特別活動の記録に「ホームルーム活動」「生徒会活動」「学校行事」の3項目が追加され、3つの観点(知識・技能/思考・判断・表現力/主体的に学習に取り組む態度)に基づいた評価が記載される様式に変更されました。日直や掃除、行事の係活動など、日々の小さな関わりも評価の対象になり得るため、学校全体の活動に積極的に参加する姿勢が求められるようになっています。
2025年度入試からの様式変更について
2025年度入試から、調査書の書式が大きく見直されました。これまでは枚数制限なく詳しく記載できていましたが、A4の裏表1枚にまとめるスリムな書式に変更されています。これは担任教員の業務負担を軽減するための改革の一環です。
「総合的な探究の時間の記録」については、2024年度までは探究活動の内容のみの記載でしたが、2025年度からは知識・技能・思考力・主体性の3観点で評価する形式になりました。また、部活動の実績や取得資格などの詳細は調査書本体ではなく別紙の活動報告書に記載される形に移行しています。
高校受験で調査書が果たす役割
高校受験における調査書(内申書)は、合否判定の重要な資料のひとつです。公立高校の一般入試・推薦入試、私立高校入試のいずれでも出願時に必要となります。
内申点は各教科の評定をもとに都道府県ごとの計算方法で点数化されたもので、入試の合否判定では学力検査の点数とあわせて評価されるのが一般的です。都道府県や高校によって内申点の比重は異なりますが、推薦入試では特に大きな影響を持ちます。
また、内申点の算出に中学1・2年の成績を含める都道府県も多いため、中学入学直後から意識して学習・学校生活に取り組むことが重要です。
大学受験で調査書が必要なケース
大学受験では、総合型選抜・学校推薦型選抜・一般選抜のいずれの入試方式でも、調査書の提出が原則として必要です。ただし、入試方式によって調査書の重要度は大きく異なります。
総合型選抜(AO入試)での使われ方
総合型選抜では、学力試験よりも書類審査・面接・小論文などを通じて、受験生の人柄・成長性・主体性が評価されます。調査書はこの審査において受験生の高校生活全体を示す重要な資料となります。単位取得状況や出席日数の確認にも活用されます。
出願できるのは原則として卒業見込みの現役生であるため、高校生活を通じた継続的な取り組みが調査書に反映されやすい選抜方式といえます。
学校推薦型選抜での使われ方
学校推薦型選抜(公募推薦・指定校推薦)では、調査書が合否判定の主要な材料となります。特に指定校推薦では、一定以上の評定平均や出席率が出願の前提条件として設定されているため、調査書の内容が合否を大きく左右します。
評定平均が出願条件を満たしていれば安心というわけではなく、条件を0.2〜0.3程度上回る余裕のある評定平均で挑むことが理想とされています。
一般選抜で調査書が必要な大学もある
一般選抜では基本的に学力試験の点数が評価の中心ですが、調査書の提出は多くの大学で必須です。一般選抜においては成績面での直接的な影響は限定的な場合が多いものの、大学によっては特定教科の評定を参考にするケースもあります。
2025年度からの様式変更により、一般選抜では「特記事項なし」と記載されるケースが増える可能性があるとも指摘されており、引き続き注目が必要です。
調査書の取得方法と手続きの流れ
調査書は自分で書けるものではなく、学校の担任が作成します。受験生は学校に申請して発行してもらう必要があります。
在学中の場合
現役の高校生は、在籍校の進路指導部または担任に「調査書発行願」などの申請書を提出します。申請書には保護者の署名・捺印が必要な場合もあります。発行までに1〜2週間程度かかることも多いため、出願日から逆算して余裕を持って申請することが大切です。
学校によっては一度に申請できる通数に制限がある場合もあるため、何通必要かを事前にしっかり確認してから申請しましょう。
卒業後に必要になった場合
浪人生や既卒生は、卒業した高校に直接連絡して申請する方法が一般的です。申請時には氏名・卒業年度・申請理由・必要枚数を伝えておくとスムーズです。近年は電話やインターネットでの申請に対応している高校も増えており、郵送で受け取ることもできます。
郵送申請の場合は、切手を貼った返送用封筒・手数料分の郵便小為替・身分証明書のコピーが必要になる場合があります。事前に卒業校に確認してから手続きを進めましょう。
調査書を取得するときの注意点
調査書を申請・取得する際には、いくつか重要な注意点があります。
発行に時間がかかることをまず意識してください。申請から発行まで1〜2週間程度を見込んでおき、総合型選抜や学校推薦型選抜など出願時期が早い入試形式では特に早めの準備が必要です。
また、出願先の大学・学部ごとに1通ずつ調査書が必要です。調査書は原則として原本のみ提出可能でコピーは認められていません。同じ大学に異なる入試方式で再出願する場合も、その都度新たな調査書が必要になります。複数の大学に出願する予定がある場合は、必要な通数を事前に洗い出しておきましょう。
さらに、調査書は厳封(封筒に封をした状態)で渡されます。自分で開封してしまうと無効になるため、受け取った後は開封せずそのまま出願書類と一緒に提出してください。
調査書の成績を上げるためにできること
調査書の評価を高めるために、高校生活全般でできることをまとめます。
定期テストに継続的に取り組むことは成績の基本です。評定平均は高1・高2から積み上げていくものなので、早い段階から意識して学習を続けることが重要です。
また、授業態度や提出物も評定に影響します。テストの点数だけでなく、授業中の発言・レポートの完成度・提出物の期限厳守なども評価の対象となっています。
特別活動については、生徒会活動・委員会・学校行事への積極的な参加が調査書に反映されます。2025年度の様式変更によって日々の小さな活動も記録されるようになっているため、目立つ活動でなくても誠実に取り組む姿勢が大切です。
部活動や資格・検定の取得も「指導上参考となる諸事項」として調査書に記載されます。英語検定・漢字検定・数学検定などに挑戦しておくと、調査書の内容が充実します。
評価のために打算的に動くよりも、高校生活を充実させることを目的として日々前向きに取り組むことが、結果として調査書の評価にもつながっていきます。