「あと1時間勉強したい」と思うと、つい睡眠を削りたくなりますよね。ただ、睡眠は覚えた内容を定着させる時間でもあり、削りすぎると翌日の集中力まで落ちてしまいます。この記事では、受験生の睡眠時間の目安と、試験の時間から逆算した寝る時刻・起きる時刻の決め方、睡眠を削らずに勉強時間をつくる工夫をまとめます。
受験生の睡眠時間は何時間必要?
中学生・高校生の睡眠時間は、1日8〜10時間が目安です。受験生も例外ではなく、まずは8時間を基本の目標にしましょう。
厚生労働省とCDCが示す目安
厚生労働省の健康づくりのための睡眠ガイド2023は、「中学・高校生は8〜10時間を参考に睡眠時間を確保する」としています。アメリカ疾病予防管理センター(CDC)も、米国睡眠医学会の推奨をもとに、13〜17歳の目安を8〜10時間としています。
同じガイドでは、朝に太陽の光を浴びること、朝食をしっかりとること、日中に体を動かすこと、夜ふかしを習慣にしないことも勧めています。受験期でも、この基本は変わりません。
「最低何時間」より、毎日確保することが大切
「最低何時間寝れば大丈夫なのか」と気になる人も多いと思います。ただ、公的な目安として示されているのは8〜10時間という幅です。「ここまでなら削ってよい」という最低ラインが示されているわけではありません。
部活や塾で帰りが遅くなり、8時間に届かない日があるのは仕方のないことです。大切なのは、睡眠を削る日を当たり前にしないことです。短い日があったら、次の日は早めに布団に入るようにしましょう。
「90分の倍数」にこだわらなくてよい
「睡眠は90分単位なので、6時間か7時間半がよい」という話を聞いたことがあるかもしれません。しかし、厚生労働省のガイドが示しているのは8〜10時間という時間数で、90分の倍数に合わせるようには書かれていません。
6時間を「ちょうどいい睡眠」と考えてしまうと、目安を大きく下回ります。時間を細かく計算するより、起きる時刻を毎日そろえるほうが、生活リズムは整いやすくなります。
睡眠を削ると成績に響くのはなぜ?
睡眠を削って勉強時間を増やしても、覚えた内容が定着しにくくなり、翌日の集中力も落ちます。その結果、かけた時間ほどの成果が出にくくなります。
眠っている間に、覚えたことが整理される
厚生労働省の睡眠ガイドには、睡眠が「学習した内容を強固にする役割」を果たすと書かれています。英単語や歴史の用語を覚えた日の夜にしっかり眠ることも、勉強の一部と考えてよいでしょう。
成績や気持ちの安定にも影響する
同じガイドのこども版では、睡眠不足によって学業成績が低下することや、抑うつ傾向が強くなることが挙げられています。受験期は、不安や緊張が大きくなりやすい時期です。睡眠を守ることは、気持ちを安定させる土台にもなります。
徹夜の詰め込みは逆効果になりやすい
徹夜で覚えた内容は、その場では頭に入ったように感じても、眠らないままでは整理される機会を逃してしまいます。さらに翌日は眠気で頭が働きにくく、覚えたはずのことを本番で思い出せないこともあります。試験前こそ、いつも通りの時刻に寝るほうが得策です。
勉強中の強い眠気に悩んでいる場合は、勉強中に眠くなる原因と今すぐできる眠気対策もあわせて読んでみてください。
何時に寝る?試験の時間から逆算しよう
寝る時刻は、先に起きる時刻を決めてから逆算すると決めやすくなります。受験本番は朝から始まるので、試験当日と同じ時刻に起きる習慣を早めにつくっておきましょう。
共通テストは両日とも9時30分に始まる
令和9年度の大学入学共通テストは、2027年1月16日(土)・17日(日)に行われます。実施要項の時間割では、初日の地理歴史・公民、2日目の理科とも、2科目を受ける人は9時30分に試験が始まります。会場までの移動や朝食の時間も考えて、当日の起床時刻を決めておきましょう。
高校受験の場合、入試の開始時刻は都道府県や学校によって違います。志望校の募集要項で集合時刻を確かめ、そこから起きる時刻を決めておくと安心です。
起きる時刻から寝る時刻を決める例
8時間眠ることを目標にすると、就寝時刻の目安は次のようになります。
- 6時に起きるなら、22時に寝ると8時間眠れます。
- 6時30分に起きるなら、22時30分が就寝の目安です。
- 7時に起きるなら、23時までに寝れば8時間を確保できます。
布団に入ってから眠るまでには少し時間がかかります。就寝時刻より少し前に布団に入れるよう、夜の予定を組んでおきましょう。
夜型になっている人は少しずつ戻す
厚生労働省のガイドによると、思春期に入るころから睡眠のリズムは後ろにずれやすくなります。そのため、夜は寝る時刻が遅くなり、朝は起きにくくなる傾向があります。夜型になってしまうのは、本人の意志が弱いからとは限りません。
とはいえ、急に2時間早く寝ようとしても、なかなか寝つけないものです。まずは起きる時刻を固定し、就寝時刻を数日ごとに15分ほど早めるなど、少しずつ調整しましょう。朝起きたらカーテンを開けて部屋を明るくすることも、リズムを整える助けになります。
睡眠の質を上げる5つの生活習慣
同じ時間眠っても、寝る前の過ごし方によって寝つきやすさは変わります。今日から取り入れやすい習慣を5つ紹介します。
スマホは寝室に持ち込まない
厚生労働省のガイドは、デジタル機器を寝室に持ち込まず、電源を切って別の部屋に置くことを勧めています。寝そべってスマホを見ると画面が目に近くなり、ブルーライトを浴びやすくなるためです。
寝る前にSNSを開くと、気づけば30分たっていたということもよくあります。受験生のスマホ管理の方法とルールを家族で決めておくと、夜の使いすぎを防ぎやすくなります。
お風呂はぬるめのお湯にする
厚生労働省の健康づくりのための睡眠指針2014は、入浴の湯温にも触れています。就寝直前に42℃以上の熱いお風呂に入ると、体温が上がりすぎて寝つきが悪くなることがあるとしています。お湯の温度は40℃程度を目安にし、ゆっくりつかるとよいでしょう。
夕方以降のカフェインは控える
コーヒーや緑茶、エナジードリンクなどに含まれるカフェインには、目を覚ます働きがあります。同じ指針では、就寝前3〜4時間以内のカフェインは、寝つきを妨げたり眠りを浅くしたりする可能性があるとしています。夜の勉強のお供には、カフェインを含まない飲み物を選ぶと安心です。
休日も起きる時刻を大きくずらさない
平日の睡眠不足を休日の朝寝坊で取り戻そうとすると、かえってリズムが崩れます。睡眠指針2014によると、起床時刻を3時間遅らせた生活を2日続けると、高校生では体内時計が45分ほど遅れることが分かっています。
休日の朝も、平日と近い時刻に起きるようにしましょう。足りない分は、前の晩に早めに寝て補うのがおすすめです。
昼寝は午後の早い時間に短く
日中どうしても眠いときは、短い昼寝が役に立ちます。睡眠指針2014では、午後の早い時刻に30分以内の短い昼寝をすることが、眠気による作業効率の低下を防ぐのに効果的だとしています。夕方以降に長く眠ると、夜に寝つきにくくなるので気をつけましょう。
睡眠を削らずに勉強時間をつくる工夫
勉強時間が足りないと感じたら、睡眠を削る前に1日の時間の使い方を見直してみましょう。睡眠以外にも、勉強に回せる時間は意外と見つかります。
1日の予定を書き出してすき間時間を探す
まず、起床から就寝までの予定を30分単位で書き出してみてください。通学時間や食事前の10分、なんとなくスマホを見ている時間など、勉強に使える時間が見えてきます。
1日の組み立て方は、受験直前でも無理なく続く1日の勉強スケジュールの作り方が参考になります。高校受験を控えた中学生は、中学生の受験生の勉強時間の目安と平均も確認しておくと、無理のない計画を立てやすくなります。
寝る前は暗記の見直しにあてる
寝る前の時間は、新しい問題に取り組むより、その日に覚えた英単語や用語を見直す時間にするのがおすすめです。睡眠には学習した内容を強固にする役割があるため、復習してから眠ることで定着を後押しできます。
このとき、スマホのアプリではなく紙の単語帳やノートを使えば、寝る直前に画面を見ずに済みます。
朝は前日の復習から始める
起きてすぐの時間を、短い復習にあてるのも一つの方法です。前の晩に覚えた単語を確認したり、計算問題を数問解いたりすると、勉強のリズムに入りやすくなります。試験当日の朝も同じ流れで過ごせば、本番でいつものペースをつかみやすくなります。
試験前日や直前期に眠れないときは?
緊張で寝つきが悪くなるのは、珍しいことではありません。「眠れなかったらどうしよう」と焦るほど目がさえてしまうので、いつも通りの時刻に布団に入り、目を閉じて体を休めることを意識しましょう。
直前期ほど、いつものリズムを守る
試験が近づくと、夜遅くまで追い込みたくなるものです。ただ、直前に生活リズムが崩れると、本番の朝に頭が働きにくくなります。遅くとも試験の2週間ほど前からは、本番と同じ時刻に起きる生活を続けておくと安心です。
保護者の方ができるサポート
夜遅くまで机に向かうお子さんを見ると、応援したくなるものです。そんなときは「もっと頑張って」より「そろそろ寝ようか」と声をかけてあげてください。夜はリビングのテレビの音や照明を控えめにするなど、家族で眠りやすい環境をつくることも支えになります。
眠れない日が続くときは相談を
寝つけない日が何日も続く、日中の強い眠気や気分の落ち込みが続くといった場合は、一人で抱え込まないでください。保護者の方と話し、学校の保健室やスクールカウンセラー、かかりつけの医療機関に相談しましょう。
体調を崩したときの考え方は、受験生が体調不良になったときの判断基準と回復法で詳しく紹介しています。
まとめ
- 中学生・高校生の睡眠時間は8〜10時間が目安で、受験生もまずは8時間を目標にします。
- 睡眠は覚えた内容を定着させる時間で、削るほど勉強の効率は落ちやすくなります。
- 試験の時間に合わせて起きる時刻を先に決め、そこから寝る時刻を逆算します。
- スマホは寝室に持ち込まず、休日も起きる時刻を大きくずらさないようにします。
睡眠時間を守ることは、勉強をさぼることではありません。まずは今夜、明日の起きる時刻を決めるところから始めてみてください。