受験が近づくと、「1日12時間は勉強しないと間に合わないのでは」と焦る人は少なくありません。ただ、12時間という数字だけを追いかけると、睡眠を削って体調を崩したり、数日で続かなくなったりしがちです。この記事では、睡眠をきちんと確保したうえで組める12時間勉強スケジュールの例と、自分に合った時間割の作り方、続けるためのコツを紹介します。
1日12時間勉強は本当にできる?時間の内訳から考える
結論から言うと、休日や長期休暇なら組めますが、上限に近い数字です。学校がある平日に毎日12時間を続けるのは、現実的ではありません。
睡眠8時間を引くと、残りは16時間
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」は、中学・高校生に8〜10時間の睡眠を勧めています。いちばん短い8時間眠るとしても、起きている時間は16時間です。ここから12時間を勉強に使うと、食事や入浴、身支度、休憩に使えるのは4時間ほどしか残りません。
学校がある日は、授業と通学、部活動で日中の大半が埋まります。そこに12時間の自習を足そうとすると、睡眠を削るしかなくなります。つまり12時間勉強は、休日や長期休暇に、睡眠を削らずに組める上限に近い目標と考えるのが現実的です。
12時間を目指しやすい時期と人
12時間勉強が生きるのは、夏休みや冬休み、受験直前の休日のように、1日を丸ごと自分で使える日です。取り組む問題集や過去問が決まっていて、量をこなす段階に入っている人ほど、長い時間を生かしやすくなります。
反対に、何から手をつけるかが決まっていない段階では、時間だけ延ばしても成果につながりにくいでしょう。中学生は、学年や時期ごとの目安を知ったうえで無理のない目標を立てるのがおすすめです。目安の考え方は中学生の受験期の勉強時間の目安と平均で紹介しています。
いきなり12時間にせず、段階的に延ばす
ふだんの勉強時間が短い人が、ある日突然12時間に挑戦するのはおすすめできません。初日は気力で乗り切れても、翌日に疲れが残り、かえって勉強時間が減ることがよくあります。
まずは休日に6〜8時間を目標にし、それが苦にならなくなったら10時間、次に12時間と、1〜2週間ごとに少しずつ延ばしていきましょう。長い時間座って集中する力は、体力と同じように少しずつしかつきません。
1日12時間勉強スケジュールの例
ここでは、睡眠8時間を確保した休日の時間割の例と、講習がある日や学校がある日の考え方を紹介します。そのまま真似するのではなく、自分の生活に合わせて時刻を調整してください。
休日の時間割の例(朝型)
朝6時30分に起きて、夜22時30分に寝る場合の例です。2時間の勉強ブロックを6つ並べると、合計で12時間になります。
| 時間 | やること |
|---|---|
| 6:30〜7:15 | 起床、朝食、身支度。 |
| 7:15〜9:15 | 勉強1 数学や理科の演習。 |
| 9:15〜9:25 | 休憩。 |
| 9:25〜11:25 | 勉強2 英語の長文読解。 |
| 11:25〜12:10 | 昼食、休憩。 |
| 12:10〜14:10 | 勉強3 時間を計って過去問を解く。 |
| 14:10〜14:25 | 休憩。 |
| 14:25〜16:25 | 勉強4 過去問の答え合わせと解き直し。 |
| 16:25〜16:40 | 休憩。 |
| 16:40〜18:40 | 勉強5 国語や社会。 |
| 18:40〜19:40 | 夕食、入浴。 |
| 19:40〜21:40 | 勉強6 暗記ものと1日の復習。 |
| 21:40〜22:30 | 自由時間、寝る準備。 |
2時間のブロックの中でも、50分ほどたったら立ち上がって体を伸ばすなど、短い休みを入れてかまいません。その分、正味の勉強時間は11時間前後になりますが、集中した11時間のほうが、ぼんやり座り続けた12時間より身につきます。
この例では、睡眠を推奨の下限である8時間で計算しています。朝起きるのがつらい日や、日中に強い眠気が続くときは、寝る時刻を早めて勉強時間のほうを減らしてください。
夜型の人は本番に向けて朝型へ移す
夜のほうが集中できる人もいますが、試験は朝から始まります。たとえば令和9年1月16日・17日に行われる大学入学共通テストは、両日とも最も早い科目が9時30分に始まります。日程と時間割は、大学入試センターの令和9年度 受験案内で確認できます。
高校入試の時間割は都道府県や学校によって違うため、募集要項で開始時刻を確かめておきましょう。夜型から朝型へは、起きる時刻を数日ごとに30分ずつ早めるなど、少しずつ移すと無理がありません。
講習がある長期休暇の日の組み方
夏休みや冬休みに塾や予備校の講習に通う日は、講習の時間も勉強時間に含めて考えます。たとえば午後に講習がある日なら、午前に予習と前日の復習を、夜にその日の解き直しを入れる組み方ができます。
講習を受けっぱなしにせず、前後に自習の時間をつなげると、授業の内容が身につきやすくなります。中3の夏休みの計画は、中3受験生の夏休みの勉強時間と計画の立て方で詳しく紹介しています。
学校がある日は12時間にこだわらない
平日は、授業に集中してその場で内容を理解することと、帰宅後の自習時間を毎日同じ時刻に確保することを優先しましょう。通学中に単語を覚える、休み時間に小テストを見直すなど、すきま時間も立派な勉強時間です。
授業中に別の教科の勉強をする「内職」は、授業の内容を聞き逃すことになるのでおすすめしません。授業で理解しておけば、家で同じ内容を学び直す時間を減らせます。
自分に合った12時間勉強スケジュールの作り方
例をもとに自分の時間割を作るときは、次の4つの順番で考えると組み立てやすくなります。
起きる時刻と寝る時刻を最初に決める
最初に決めるのは、勉強時間ではなく睡眠時間です。前述の睡眠ガイドでも、早起きの習慣を保ったうえで、推奨される睡眠時間から逆算して寝る時刻を決めることが勧められています。休日も起きる時刻を平日と大きく変えないようにすると、生活リズムが崩れにくくなります。
1日を午前・午後・夜の3つに分ける
12時間をひとまとまりで考えると、朝から気が重くなります。午前・午後・夜の3つに分けて「各ブロックで4時間」と考えると、目の前の目標に集中しやすくなります。午前が思うように進まなかった日も、午後と夜で取り返せると考えれば、1日をあきらめずに済みます。
時間帯に合わせて科目を割り振る
頭を使う演習や過去問は、疲れがたまる前の午前から午後の早い時間に置くと進めやすくなります。英単語や用語の暗記、その日の復習は、夜の最後のブロックに回しましょう。
睡眠ガイドでは、睡眠には学習した内容を定着させる役割もあると説明されています。寝る前に見直した内容を翌朝に確かめると、覚えたところと忘れたところがはっきりします。同じ科目を長く続けると飽きやすいので、2時間ごとに教科を切り替えるのもおすすめです。
休憩の時間もあらかじめ書き込む
長い時間、同じ集中力を保ち続けるのは誰にとっても難しいものです。休憩は疲れてから取るのではなく、あらかじめ時間割に書き込んでおきましょう。
よく知られた方法に、25分の作業と短い休憩を繰り返す「ポモドーロ・テクニック」があります。フランチェスコ・シリロ氏が1980年代に、大学での勉強に集中するために考えた方法です。休憩中はスマホを眺めるより、立ち上がって体を伸ばしたり水を飲んだりするほうが、気分を切り替えやすくなります。
12時間勉強を挫折せずに続けるコツ
長時間の勉強を続けるには、やる気に頼るより、続けやすい環境と仕組みを先に整えることが大切です。
スマホは別の部屋に置く
スマホが手の届くところにあると、通知のたびに集中が途切れます。勉強する時間は電源を切るか、別の部屋に置いておきましょう。スマホに備わっている利用時間の制限機能を使い、決めた時間帯だけアプリを開けないようにする方法もあります。家族でルールを決めるときは、受験生のスマホ管理の方法とルールも参考にしてください。
勉強する場所を変えて気分を切り替える
一日中同じ部屋にいると、午後から集中が続かなくなることがあります。午前は自宅、午後は図書館や自習室というように場所を変えると、気分を切り替えやすくなります。周りに勉強している人がいる環境は、ほどよい緊張感にもつながります。図書館の学習席は、利用時間や持ち込みのルールが館ごとに違うので、事前に確認しておきましょう。
勉強した時間と内容を記録する
その日に勉強した時間と、進めた問題集のページ数などを手帳やアプリに記録しましょう。積み重ねが目に見えると、次の日も机に向かう後押しになります。記録を見返すと、時間の割に進んでいない科目や、つい後回しにしている科目にも気づけます。
毎日12時間を続けようとしない
12時間の日が何日も続くと、疲れがたまって効率が落ちていきます。1週間のうち1日は8時間ほどの軽めの日にするなど、ゆるめる日を先に決めておくと長く続けられます。目標に届かない日があっても、翌日から立て直せば問題ありません。
12時間勉強で気をつけたい3つのこと
長時間の勉強には、時間を増やすこと自体が目的になってしまう落とし穴があります。次の3点を意識しておきましょう。
時間より「何ができるようになったか」を見る
12時間机に向かっていても、ノートを写すだけ、解説を眺めるだけでは、得点力はなかなか伸びません。ブロックごとに「この2時間で過去問の大問2つを解き直す」のように、終わったときに確かめられる目標を立てましょう。1日の終わりに、できるようになったことと翌日に回すことを書き出すと、次の日の計画も立てやすくなります。
睡眠時間は削らない
勉強時間が足りないと感じても、睡眠を削って埋めるのはやめましょう。前述の睡眠ガイドでも、十分な睡眠をとることで集中力が増し、学習の効率が上がると説明されています。受験期の睡眠の考え方は、受験生に必要な睡眠時間と睡眠の整え方で詳しくまとめています。
十分に寝ているのに日中の強い眠気やだるさが続くときは、無理を続けず、保健室の先生や医療機関に相談してください。
眠いときや集中できないときは早めに区切る
どうしても眠いときは、目覚ましをかけて短い仮眠をとるのも一つの方法です。長い昼寝は夜の寝つきを悪くすることがあるので、起きる時刻を決めてから横になりましょう。
疲れや気持ちの落ち込みで勉強が手につかない日は、思い切って早めに切り上げることも大切です。受験期の疲れとの向き合い方は、受験に疲れたときに気持ちを立て直す方法でまとめています。
まとめ|睡眠を守りながら12時間勉強に近づこう
1日12時間勉強スケジュールを組むときのポイントを振り返ります。
- 中学・高校生には8〜10時間の睡眠が勧められており、12時間勉強は休日や長期休暇に組める上限に近い目標です。
- ふだんの勉強時間から少しずつ延ばし、起きる時刻と寝る時刻を先に決めてから時間割を作ります。
- 2時間ほどのブロックに分け、休憩と科目の切り替えをあらかじめ組み込みます。
- 時間の長さよりも、その日に何ができるようになったかを記録して確かめます。
12時間という数字は、あくまで目安です。自分の体調と相談しながら、本番まで続けられるペースを見つけてください。