受験生のスマホ管理ルール|勉強と両立させる決め方と親の関わり方

受験生のスマホ管理ルール|勉強と両立させる決め方と親の関わり方

「勉強しようと机に向かったのに、気づくとスマホを触っていた」という経験は、多くの受験生にあるはずです。スマホは連絡や調べものに欠かせない一方で、使い方を決めておかないと勉強時間を少しずつ削ってしまいます。この記事では、受験生のスマホ管理ルールを「時間・場所・使い道」の3つに分けて整理しました。保護者の方がルール作りにどう関わればよいかも紹介します。

受験生のスマホは禁止より「ルールで管理」が現実的

受験生のスマホは、完全に禁止するよりもルールで管理するほうが長続きします。

学校や塾からの連絡、家族との連絡、英単語アプリや映像授業など、受験生活でもスマホが必要な場面は多くあります。そのため、いきなり解約したり取り上げたりすると、かえって不便が増えがちです。一方で、何も決めずに使っていると、勉強や睡眠の時間が知らないうちに削られていきます。禁止か自由かの二択ではなく、使い方のルールを決めることが、両立への近道です。

スマホが気になるのは意志が弱いからではない

勉強中にスマホが気になるのは、あなたの意志が特別に弱いからではありません。SNSの通知や動画のおすすめ表示は、つい次も見たくなるように作られています。「少しだけ」のつもりで開いた動画から、関連動画を次々に見てしまうのはよくあることです。だからこそ、気合いで我慢するより、触らなくて済む仕組みを先に作るほうが確実です。

中高生は1日にどのくらいネットを使っている?

こども家庭庁の令和7年度「青少年のインターネット利用環境実態調査」では、中高生のネット利用時間が報告されています。平日1日あたりの平均は、中学生で約5時間24分、高校生で約6時間44分でした。この時間には勉強や調べものも含まれますが、受験生にとって小さくない時間であることは確かです。

成績との関係を調べた例もあります。仙台市教育委員会と東北大学は、「学習意欲」の科学的研究に関するプロジェクトを共同で進めています。このプロジェクトでは、2014年度の仙台市の学力検査の結果を分析しました。その結果、平日にLINEなどの無料通信アプリを長く使うほど、成績が低い傾向が見られたと発表しています。この傾向は、家庭学習や睡眠の時間に関係なく見られたとされています。スマホだけで成績が決まるわけではありませんが、使い方を見直す理由としては十分でしょう。

管理ルールは「時間・場所・使い道」の3つで決める

スマホのルールは、時間・場所・使い道の3つを決めれば十分です。

ルールを細かくしすぎると、守れなかったときに全部どうでもよくなってしまいます。まずは3つの軸で1つずつ決め、慣れてきたら少しずつ調整しましょう。たとえば、次のような形です。

決めることルールの例
時間平日は夕食後の30分と休憩中だけ使い、22時以降は使わない。
場所勉強中はリビングに置き、夜は寝室に持ち込まない。
使い道勉強中に使ってよいのは、単語アプリと学習記録アプリだけにする。
見直し模試や定期テストが終わるたびに、守れたかを振り返る。

使ってよい時間帯と終わりの時刻を決める

「1日2時間まで」のような合計時間より、使ってよい時間帯を決めるほうが守りやすくなります。「夕食後の30分」「勉強の区切りがついたあとの休憩」のように、生活の流れに組み込むのがコツです。夜は「22時以降は使わない」など、終わりの時刻をはっきりさせておきましょう。

休憩中にスマホを見ると、そのまま勉強に戻れなくなることもあります。休憩はストレッチや軽い散歩など、スマホを使わない過ごし方に替えるのも一つの方法です。具体的なアイデアは、勉強の合間にできる気分転換のテクニックで紹介しています。

勉強中と寝るときの置き場所を決める

3つのルールのうち、もっとも効果が出やすいのが置き場所です。勉強中と寝るときは、手の届かない場所に置くと決めておきましょう。「見える場所にあるけれど触らない」は、想像以上に難しいものです。具体的な遠ざけ方は、次の章で紹介します。

勉強用のアプリと息抜き用のアプリを分ける

スマホで勉強もするなら、勉強用のアプリをホーム画面の1ページ目に集めましょう。SNSや動画のアプリは、別のページやフォルダに移しておきます。勉強のつもりで画面を開いたときに、SNSのアイコンが目に入りにくくなるからです。勉強中に使ってよいアプリを先に決めておけば、「調べもののつもりが動画を見ていた」という流れも防げます。

勉強中はスマホを物理的に遠ざける

勉強中のスマホ対策で一番確実なのは、目に入らない場所に置くことです。

別の部屋に置くか、家族に預ける

自分の部屋で勉強するなら、スマホはリビングなど別の部屋に置きましょう。家族に預けて、勉強が終わったら返してもらう形にするのも効果的です。通知の音や光が届かなくなるので、手を伸ばすきっかけそのものが減ります。

時間が来るまで開かないケースを使う

家族に預けにくいときは、専用の保管ケースを使う方法もあります。「タイムロッキングコンテナ」などの名前で売られている、設定した時間まで開かないケースです。自分では取り出せない状態にしてしまえば、「少しだけ見たい」と迷う時間もなくなります。

図書館や自習室ではかばんの奥にしまう

外で勉強するときは、スマホを机の上に出さず、かばんの奥にしまいましょう。通知をオフにするか、機内モードにしておくとさらに安心です。中学生向けの具体的な集中対策は、勉強中にスマホをやめたい中学生のための集中対策でも詳しくまとめています。

制限機能とアプリでルールを守りやすくする

スマホに最初から入っている制限機能を使えば、決めたルールを守りやすくなります。

iPhoneはスクリーンタイムを使う

iPhoneでは、設定アプリの「スクリーンタイム」から使い方を制限できます。「休止時間」を設定すると、決めた時間帯は許可したアプリと電話以外が使えなくなります。「アプリ使用時間の制限」では、SNSや動画のアプリに1日の上限時間を決められます。スクリーンタイムのパスコードを保護者に設定してもらうと、自分では解除しにくくなります。

AndroidはDigital Wellbeingを使う

Androidでは、設定アプリの「Digital Wellbeing」から同じような制限ができます。「アプリタイマー」を使うと、アプリごとに1日の利用時間の上限を決められます。「フォーカスモード」をオンにすれば、勉強中だけ気が散るアプリを一時停止できます。「おやすみ時間モード」は、寝る時間帯に画面を白黒にしたり、通知を止めたりする機能です。機種によって表示名や場所が違う場合があるので、設定画面で確認してください。

高校受験の時期に絞った制限のかけ方は、高校受験中のスマホとの付き合い方と制限のかけ方で詳しく紹介しています。

集中アプリや学習記録アプリを味方にする

スマホを勉強の味方にするアプリもあります。たとえば「Forest」は、タイマーの間スマホを触らずにいると、画面の中で木が育つ集中用のアプリです。「Studyplus(スタディプラス)」のような学習記録アプリを使えば、教科ごとの勉強時間をグラフで振り返れます。ただし、記録をつけること自体が目的にならないよう、開くのは勉強の前後だけにしましょう。

寝る前のスマホは睡眠と暗記の両方に響く

受験生のスマホ管理で、もう1つ大切なのが寝る前の使い方です。

厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」は、中学・高校生に8〜10時間を参考に睡眠をとるようすすめています。同じガイドのこども版では、寝る前や寝床の中でデジタル機器を使うのを控えるよう呼びかけています。夜ふかしが睡眠不足の大きな原因になるためです。

睡眠は、その日に覚えた内容を記憶として整理するためにも欠かせません。夜遅くまでスマホを見て睡眠が削られると、せっかく覚えた英単語や年号も定着しにくくなります。スマホの充電はリビングでして、寝室には持ち込まないというルールにすると、寝る前のスマホを自然に減らせます。目覚ましにスマホを使っている場合は、目覚まし時計を用意すると持ち込む理由がなくなります。

受験期にどのくらい眠ればよいかは、受験生に必要な睡眠時間と睡眠のとり方で詳しく解説しています。

保護者ができるスマホ管理のサポート

保護者の方は、スマホを取り上げる役よりも、ルールを一緒に決める役に回るのがおすすめです。

一方的に取り上げると逆効果になりやすい

成績が下がったからといって、話し合いなしにスマホを取り上げても、お子さんは納得しにくいものです。隠れて使うようになったり、親子の会話が減ったりすることもあります。友達との連絡が急に途絶えることへの不安も、受験期には小さくありません。まずは、どんな使い方が勉強の妨げになっているのかを、お子さんと一緒に確認しましょう。

ルールは親子で話し合い、紙に書いておく

先ほどのこども家庭庁の調査では、家庭にネット利用のルールがあると答えた高校生は44.3%でした。一方、高校生の保護者では58.3%がルールがあると答えています。親は決めたつもりでも、子どもにはルールとして伝わっていないことがあるわけです。

ルールは口約束で終わらせず、話し合って決めた内容を紙に書き、見える場所に貼っておきましょう。お子さんの意見を取り入れて決めたルールは、「自分で決めたこと」として守りやすくなります。

守れなかったときの対応も先に決めておく

ルールは、最初から完璧に守れるものではありません。守れなかったときの対応を先に決めておくと、感情的な言い合いを避けられます。たとえば「翌日はスマホを預ける時間を30分延ばす」のように、具体的に決めておくのがコツです。模試や定期テストのあとなど、区切りのよいタイミングでルールを見直すのもよいでしょう。声のかけ方に迷ったときは、勉強しない中学生への声かけと関わり方も参考になります。

なお、スマホを手放せずに眠れない日が続くなど、生活に大きな支障が出ている場合は、家庭だけで抱え込まないでください。学校のスクールカウンセラーや、自治体の教育相談窓口に相談してみるのも一つの方法です。

まとめ

受験生のスマホ管理で押さえておきたいポイントは、次の4つです。

  • 完全に禁止するより、時間・場所・使い道のルールで管理する。
  • 勉強中と寝るときは、スマホを別の部屋に置く。
  • スクリーンタイムやDigital Wellbeingで、ルールを守りやすくする。
  • ルールは親子で話し合って決め、区切りごとに見直す。

スマホとの付き合い方が決まれば、勉強に向かう時間は自然と増えていきます。できそうなルールを1つ選んで、今日から試してみてください。