「机に向かうとすぐに肩がこる」「気づくと背中が丸まっている」と感じていませんか。長時間の勉強で疲れやすいのは、やる気や根性の問題ではなく、座り方や机まわりが体に合っていないせいかもしれません。この記事では、勉強の正しい姿勢のポイントと、机・椅子・照明の整え方、タブレット学習や休憩のコツをまとめます。
勉強の正しい姿勢は4つのポイントで決まる
結論から言うと、勉強の正しい姿勢とは足裏・骨盤・背中・目の距離の4つが整った状態です。
- 足の裏全体が床についている。
- 椅子に深く座り、骨盤が立っている。
- 背中が自然に伸び、肩の力が抜けている。
- 目とノートや画面が30cm以上離れている。
文部科学省が学校向けにまとめた「児童生徒の健康に留意してICTを活用するためのガイドブック」にも、同じ考え方が示されています。そこでは「背中を伸ばす」「床に両足をつける」「お尻を後ろにして深く腰掛ける」といった座り方が挙げられています。
足の裏を床につけて土台をつくる
姿勢づくりは足元から始めます。足の裏全体が床につくと体の重心が安定し、上半身を支えるための余計な力が要らなくなります。足がぶらぶらしていたり、つま先だけがついていたりすると、体が前に滑りやすく、背中も丸まりがちです。足が床に届かないときは、踏み台や足置きを使って高さを補いましょう。
椅子に深く座って骨盤を立てる
お尻を座面の奥まで入れて座ると、骨盤が立ちやすくなります。浅く腰かけて背もたれに寄りかかると、骨盤が後ろに倒れ、そのぶん背中が丸まってしまいます。座ったときに左右のお尻の骨で座面を押している感覚があれば、骨盤が立っている目安です。
背中は自然に伸ばし、肩の力を抜く
背筋を伸ばすといっても、胸を大きく反らす必要はありません。反りすぎると腰に負担がかかり、かえって長続きしません。頭が肩の真上に乗り、肩が上がっていない状態を目指しましょう。足を組む、片ひじをつくといった座り方は体が左右に傾くので、気づいたときに戻すくらいで十分です。
目とノートは30cm以上離す
集中していると、いつの間にかノートに顔を近づけてしまう人は少なくありません。文部科学省の近視対策の啓発資料でも、本や画面から30cm以上目を離すことが勧められています。顔が近づくと首が前に出るため、首や肩の負担も増えます。書いているうちに顔が近づいてきたら、座り直す合図にしましょう。
姿勢が崩れると勉強にどんな影響がある?
崩れた姿勢が続くと、首・肩・腰や目が疲れやすくなり、集中が途切れる原因になります。姿勢を正すだけで成績が上がるわけではありません。ただ、体の不快感を減らすことは、机に向かう時間を無理なく延ばす助けになります。
首や肩、腰がこりやすくなる
頭は体の中でも重い部分です。背中を丸めて頭が前に出ると、その重さを首や肩の筋肉で支え続けることになります。骨盤が後ろに倒れた座り方では、腰まわりにも負担がかかります。同じ姿勢が長く続くほど筋肉がこわばり、こりや痛みを感じやすくなります。
目が疲れやすくなる
近くの文字を長く見続けると、ピントを合わせる目の筋肉が休まりません。のぞき込むような姿勢では目と紙の距離がさらに縮むため、目の疲れを感じやすくなります。成長期の中高生は、近視対策の面からも距離を意識しておきたいところです。
体の不快感が集中を途切れさせる
肩のこりや腰の重さが気になり始めると、何度も座り直したり、手が止まったりしやすくなります。「集中力が続かない」と感じるとき、原因が気持ちではなく体の疲れにあることもあります。自分を責める前に、まず座り方と環境を見直してみましょう。
机と椅子の高さを体に合わせる方法
基本の順番は、まず椅子の高さを足に合わせ、次に机の高さを肘に合わせることです。中高生は体格が変わりやすいので、学年が上がるときなどに一度見直すと安心です。
椅子は膝がほぼ直角になる高さに
足の裏全体が床につき、膝の角度がおよそ90度になる高さが目安です。座面が高すぎると太ももの裏が押されて足がしびれやすくなります。逆に低すぎると膝が上がり、骨盤が後ろに倒れやすくなります。
机は肘を軽く曲げて腕を置ける高さに
肩の力を抜いて腕を下ろし、肘を曲げたときに前腕が机の上に楽に乗る高さが目安です。机が高すぎると肩が上がって首まわりが疲れ、低すぎると前かがみになります。ノートに書くときに肩がすくんでいないか、ときどき確かめてみてください。
高さが合わないときは足台やクッションで調整
高さを変えられない机や椅子でも、身近な物で調整できます。
- 机が高いときは、椅子を上げて足元に足台を置く。
- 椅子が低いときは、座布団や薄いクッションで座面を上げる。
- 座面の奥行きが深いときは、背中と背もたれの間にクッションを挟む。
厚生労働省の「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」も、足裏全体が床に接した姿勢を基本とし、必要に応じて足台を備えるよう求めています。大人の職場向けの指針ですが、家の勉強机を整えるときにも参考になります。
図書館や自習室など家の外では、椅子の高さを変えられないことがほとんどです。できるだけ深く座り、背中に上着を丸めて挟むなど、できる範囲で工夫しましょう。場所ごとの特徴は近くで勉強できるおすすめの場所でまとめています。
手元の明るさと教材の置き方も見直す
手元が暗かったり、教材を机に平らに置いたままだったりすると、自然と顔が近づいて前かがみになります。明るさと角度を整えると、正しい姿勢を無理なく保ちやすくなります。
デスクライトで手元を明るくする
部屋の照明だけでは、ノートの上に自分の頭や手の影が落ちがちです。デスクライトを使い、右利きなら左側、左利きなら右側から照らすと、書く手の影ができにくくなります。明るさの目安として、先ほどの厚生労働省のガイドラインは、書類やキーボードの上で300ルクス以上としています。
書見台やブックスタンドで教材に角度をつける
参考書を机に平置きすると、視線が下がって頭が前に出やすくなります。書見台やブックスタンドで教材を立てると、のぞき込まずに読めるようになります。書き込むノートは平らなまま、読むだけの教材を立てると使い分けやすいでしょう。
机の上が散らかっていると、教材を置く場所が限られて姿勢も崩れやすくなります。部屋の環境そのものを見直したいときは、家で勉強できない原因と今日からできる対処法もあわせて読んでみてください。
タブレットやスマホで勉強するときの姿勢は?
タブレットやスマホは、画面を机に平置きせず、立てて目から30cm以上離して使うのが基本です。紙の教材より画面をのぞき込みやすいので、意識して距離をとりましょう。
画面を立てて視線とまっすぐ向き合わせる
机に平置きした画面を見ると、首を大きく下に曲げることになります。スタンドやケースで画面を立て、目の高さに近づけましょう。文部科学省のガイドブックでは、視線と画面が直角に近くなるよう角度を調整すると見やすくなるとしています。照明が画面に映り込むときは、照明を消すのではなく画面の角度で調整するのがおすすめです。
30分に1回は画面から目を離す
文部科学省は、30分に1回は20秒以上、画面から目を離して遠くを見ることを勧めています。動画授業や問題演習アプリは区切りがなく続けやすいので、タイマーで休むタイミングを決めておくと安心です。スマホで勉強していると通知やSNSが気になる人は、中学生でもできるスマホの集中対策も参考になります。
長時間座っても疲れにくい休憩の取り方
正しい姿勢でも、同じ姿勢のまま何時間も座り続ければ体はこわばります。1時間を目安に立ち上がり、こまめに体を動かす習慣をつけましょう。
1時間を目安に席を立つ
厚生労働省のガイドラインは、パソコンなどを使う大人の作業について、連続作業を1時間以内にするよう求めています。次の作業までに10〜15分の休止を入れ、作業中にも1〜2回の小休止をとるのが目安です。勉強にそのまま当てはめる必要はありませんが、区切りを決める参考になります。飲み物を取りに行く、少し歩くなど、数分でも体を動かすと気分も切り替わります。
座ったままできる軽いストレッチ
席を立ちにくいときは、座ったまま体を伸ばすだけでも違います。
- 両手を組んで頭の上に伸ばし、体の側面を伸ばす。
- 両手を背中側で組み、胸を開いて肩甲骨を寄せる。
- 首をゆっくり左右に倒し、肩の力を抜く。
痛みが出る動きは無理に続けないでください。首や肩、腰の痛みやしびれが続く、あるいは強くなる場合は、我慢せずに整形外科などの医療機関に相談しましょう。
眠気や疲れが強いときは無理をしない
姿勢が崩れやすいのは、眠気や疲れがたまっているサインでもあります。眠いまま机に向かい続けるより、体を動かしたり短く休んだりしたほうが、結果的に勉強ははかどります。仮眠をとる場合は、夜の睡眠に響かないよう短めにとどめましょう。
眠くなる原因ごとの対処法は勉強中に眠くなる原因と今すぐできる眠気対策で紹介しています。疲れが抜けず机に向かえない日が続くときは、疲れて勉強できないときに無理なく続ける勉強法も参考にしてください。
まとめ
勉強の正しい姿勢は、特別な道具がなくても今日から整えられます。
- 足裏を床につけ、椅子に深く座って骨盤を立てる。
- 椅子は足に、机は肘に合わせて高さを調整する。
- 手元を明るくし、目とノートや画面は30cm以上離す。
- 1時間を目安に立ち上がり、30分に1回は遠くを見る。
まずは勉強を始める前に、足元と座り方を一度チェックするところから始めてみてください。