「部活から帰ると疲れきっていて、机に向かう気力が残っていない」。そんな毎日が続くと、勉強だけが遅れていくようで焦りますよね。
疲れて勉強できないのは、意志が弱いからではありません。この記事では、疲れている日でも続けられる勉強の始め方と、睡眠やスケジュールの整え方を、中学生と保護者の方に向けて紹介します。
部活で疲れて勉強できないのは、意志が弱いからではない
部活のある日に疲れて勉強できないのは、ごく自然なことです。大切なのは自分を責めることではなく、疲れている前提で勉強のやり方を組み立て直すことです。
部活のある日は、それだけで体力を大きく使っている
文部科学省は2025年12月、部活動に関する新しいガイドラインを示しました。そこでは活動時間の目安を「平日は長くとも1日2時間程度、休日は1日3時間程度」としています。あわせて、週2日以上の休養日を設けることも求めています。
授業を受けたあとに2時間近く練習し、そこから帰宅するのですから、疲れているのは当然です。帰ってすぐ眠ってしまう日があっても、体が休みを必要としているサインだと受け止めましょう。
まず、何が原因で勉強できないのかを見分ける
同じ「疲れて勉強できない」でも、原因によって効く対策は違います。自分がどれに近いかを考えてみてください。
| 状態 | よくあるサイン | 対策の方向 |
|---|---|---|
| 眠気が強い | 座ると数分でまぶたが重くなる。 | 睡眠時間を見直し、短い仮眠をとる。 |
| 体が疲れている | 体が重く、机に座るのもつらい。 | 机を使わない軽い勉強に切り替える。 |
| 気持ちが疲れている | 部活の人間関係などで頭がいっぱい。 | まず気持ちを休める。 |
| 始め方が重すぎる | 「2時間やらなきゃ」と思うと手が止まる。 | 目標を5分に下げる。 |
気持ちの面の疲れが大きいときは、部活で精神的に疲れたときの対処法も参考にしてください。
疲れた日は「5分だけ」から始めて、完璧を目指さない
疲れている日は、勉強のハードルを思いきり下げるのが続けるコツです。完璧な計画よりも、毎日少しでも教科書に触れることを優先しましょう。
目標は「教科書を開く」くらい小さくする
「帰ったら2時間勉強する」という目標は、疲れた日にはなかなか達成できません。できない日が続くと自信をなくし、勉強そのものが嫌になりがちです。
そこで、「5分だけ教科書を開く」「英単語を3つだけ見る」といった、失敗しようがないほど小さな目標を立てます。やり始めると意外と手が進み、もう少し続けられる日もあります。5分でやめても、その日は目標達成です。
長く座るより、15〜20分の勉強を区切って重ねる
疲れているときに1時間以上続けて座っても、内容はなかなか頭に入りません。タイマーを15〜20分にセットし、終わったら少し休むという区切り方のほうが、集中を保ちやすくなります。
1回15分でも、2回やれば30分です。短い時間を積み重ねる方法なら、疲れた日でも取り組めます。
できない日があっても、翌日に再開すればいい
体調や練習の内容によっては、どうしても勉強できない日もあります。そんな日は無理をせず早めに寝て、翌日に再開しましょう。
大事なのは、1日休んだことを理由にやめてしまわないことです。何度でも戻ってこられれば、それが続ける力になります。
体力が残っていない日の省エネ勉強法
机に向かう体力がない日は、頭や体をあまり使わない勉強に切り替えましょう。疲れ具合に合わせてメニューを決めておくと、迷わずに始められます。
| 疲れ具合 | 勉強メニューの例 |
|---|---|
| 元気が残っている日 | 数学の問題演習や英語の長文など、考える勉強を30分以上。 |
| 少し疲れている日 | 教科書の音読や、ノートの見直しを15〜20分。 |
| かなり疲れている日 | 単語帳を5分見る、授業の解説動画を1本見る。 |
机に向かえない日は、解説動画を見るだけでもいい
ノートをまとめる元気がない日は、授業の解説動画を見るだけでも復習になります。リビングのソファなどで、10分程度の短いものを選ぶと負担が軽く済みます。
ただし、ベッドの中でスマホやタブレットを見るのは避けましょう。厚生労働省の睡眠ガイドでも、寝る前や寝床でのデジタル機器の使用は、夜ふかしや睡眠不足につながるとされています。動画を見るのは寝る時間より前にして、寝床には持ち込まないのがおすすめです。
暗記はスキマ時間に回し、家では考える勉強をする
英単語や漢字、社会の用語などの暗記は、登校前や休み時間の5分でも進められます。電車やバスで通学している人は、その時間も使えます。
外で暗記を済ませておけば、家での時間を問題演習に回せます。数学の文章題のように頭を使う勉強は、疲れた夜よりも、元気が残っている日や休養日に回すのが効率的です。
得意な教科や簡単な作業から手をつける
疲れているときに苦手教科から始めると、最初の一歩が重くなります。まずは得意な教科や、答え合わせ・音読のような簡単な作業から手をつけましょう。手が動き始めてから苦手な課題に移ると、切り替えがスムーズです。
疲れを翌日に残さない睡眠と生活習慣
疲れて勉強できない状態を根本から変えるには、睡眠を削らないことが一番の近道です。勉強時間をつくるために夜ふかしをすると、翌日さらに疲れる悪循環に入ってしまいます。
中学生の睡眠時間は8〜10時間が目安
厚生労働省の健康づくりのための睡眠ガイド2023では、中学・高校生は8〜10時間を参考に睡眠時間を確保するよう勧めています。朝6時半に起きるなら、夜10時半ごろまでには寝る計算です。
同じガイドでは、十分な睡眠が集中力を高め、学習した内容の定着にも役立つと説明されています。睡眠時間の考え方は、受験生に必要な睡眠時間を解説した記事でも詳しく紹介しています。
帰宅後に眠いときは、アラームをかけて短く仮眠する
帰ってすぐに強い眠気がある日は、15〜20分でアラームをかけて短い仮眠をとるのも一つの方法です。長く寝てしまうと、起きたあとに頭がぼんやりしたり、夜に寝つけなくなったりしやすくなります。
毎日のように強い眠気が続くなら、夜の睡眠が足りていないのかもしれません。勉強中に眠くなる原因と眠気対策もあわせて確認してみてください。眠気や朝起きられない状態が長く続くときは、かかりつけの医療機関に相談しましょう。
お風呂は寝る1〜2時間前にすませる
睡眠ガイドでは、寝る1〜2時間ほど前に入浴して体を温めておくと、寝つきやすくなるとされています。帰宅後に先にお風呂をすませ、そのあと勉強して寝る流れにすると、無理なく眠りに入れます。
一方で、熱すぎるお湯はかえって寝つきを悪くする可能性があるとも書かれています。ぬるめのお湯でゆっくり温まるのがよいでしょう。
朝ごはんを食べ、夜はスマホを寝室に持ち込まない
睡眠ガイドのこども向けの推奨では、朝に太陽の光を浴びて朝食をしっかりとることが挙げられています。あわせて、スマホやタブレットは寝室に持ち込まないことも勧められています。
朝ごはんを抜かず、夜はスマホをリビングで充電するようにすると、生活リズムが整いやすくなります。
部活と勉強を両立するスケジュールの立て方
両立のコツは、部活が休みの日と疲れにくい時間帯を、勉強の中心にすることです。毎日同じ量をこなそうとせず、曜日ごとにメリハリをつけましょう。
部活の休養日を「しっかり勉強する日」にする
先ほどのガイドラインでは、部活動に週2日以上の休養日を設けることが示されています。休養日は体力が残っている貴重な日なので、問題演習など頭を使う勉強をまとめて進める日にしましょう。
ガイドラインには、定期試験の前後などに学校全体で休養日を設ける例も挙げられています。休養日の曜日や期間は学校や地域によって違うので、部活の予定表を見ながら計画を立てておくと安心です。
朝の15分を使って、夜の負担を減らす
夜に疲れてしまう人は、朝の時間を少しだけ使う方法もあります。登校前の15分で単語を確認したり、前日の復習をしたりするだけでも、夜にやることが減ります。
ただし、早起きのために睡眠時間を削っては逆効果です。夜に早く寝ることとセットで取り入れましょう。無理なく起きるコツは学生向けの早起きする方法で紹介しています。
テスト前に詰め込まず、ふだんの復習を少しずつ進める
部活で疲れている中学生にとって、テスト直前の一夜漬けは体力的な負担が大きい方法です。授業があった日に、その日のノートを5分見直す習慣をつけておくと、テスト前にやることがぐっと減ります。
塾や家庭学習のやり方が今の生活に合っているか見直す
塾までの移動時間や、帰宅時間の遅さが疲れの原因になっていることもあります。通う曜日を部活の休養日に合わせる、オンラインの学習サービスを使うなど、今の生活に合う形を家族で話し合ってみてください。
疲れて帰ってきたお子さんに、保護者ができること
疲れて帰ってきたお子さんには、まず休むことを認めてあげてください。勉強の話は、食事やお風呂で一息ついてからのほうが、お子さんも受け止めやすくなります。
「勉強しなさい」より先に、ねぎらいの言葉をかける
帰宅した直後に「早く勉強しなさい」と言われると、お子さんは責められているように感じやすいものです。まずは「おかえり、お疲れさま」と声をかけ、ほっとできる時間をつくってあげましょう。
声かけの具体例は、勉強しない中学生への親の声かけと関わり方でも紹介しています。
家を安心して休める場所にする
家が安心して休める場所であることは、疲れを回復させるうえで大切です。リビングで勉強するほうが落ち着くお子さんもいれば、自分の部屋のほうが集中できるお子さんもいます。本人に合う場所を一緒に考えてみてください。
夜のスマホを寝室に持ち込まないルールも、家族みんなで同じ場所で充電するようにすると、お子さんが受け入れやすくなります。
小さな変化を見つけて一緒に喜ぶ
ほかの子やきょうだいと比べるのではなく、以前のお子さんと比べて変化を見つけてあげましょう。「今日は単語を少し覚えたね」といった小さな前進を認める言葉が、続ける励みになります。
疲れやだるさが長く続く、朝起きられない日が増えた、気分の落ち込みが見られるといった場合は、無理をさせないでください。かかりつけの医療機関やスクールカウンセラーに相談しましょう。
まとめ
部活で疲れて勉強できない日があるのは、それだけ部活に一生懸命取り組んでいるからでもあります。この記事のポイントを振り返っておきましょう。
- 疲れた日は「5分だけ」の小さな目標から始める。
- 疲れ具合に合わせて、勉強のメニューを軽くする。
- 中学・高校生の睡眠時間は8〜10時間が目安で、睡眠は削らない。
- 部活の休養日と朝の時間を、勉強の中心にする。
完璧を目指さず、今の自分にできるバランスを少しずつ見つけていきましょう。