「何度言っても勉強しない」「声をかけると不機嫌になる」と悩んでいる保護者の方は多いのではないでしょうか。中学生は自分で決めたい気持ちが強くなる時期で、同じ言葉でも小学生の頃とは受け止め方が変わります。この記事では、勉強しない中学生への声かけの言い換え例と、声が届きやすくなる関わり方、親だけでは難しいときの頼り先をまとめます。
なぜ「勉強しなさい」は中学生に届きにくいの?
中学生が「勉強しなさい」に反発しやすいのは、自分のことは自分で決めたいという気持ちが育つ時期だからです。さらに、やり方が分からない、部活で疲れているなど、本人なりの理由が隠れていることもあります。
自分で決めたい時期に指示されると反発しやすい
中学生になると、親に言われたことをそのまま受け入れるより、自分で考えて決めたい気持ちが強くなります。これは自立に向かう自然な成長の一部です。
心理学では、自分で選ぶ自由を狭められたと感じたときに起こる反発を「心理的リアクタンス」と呼びます。「今やろうと思っていたのに」と言い返されるのは、まさにこの状態です。命令の形で伝えるほど、勉強そのものより「言われたこと」への反発が先に立ちやすくなります。
「分からない」「疲れている」など本人なりの理由がある
勉強しない背景には、やる気の問題だけでなく、次のような理由が隠れていることがあります。
- 授業が分からなくなり、何から手をつければいいか分からない。
- テストの結果が続けて悪く、「どうせやっても無駄」と感じている。
- 部活や習い事、友だち関係で疲れていて、家では休みたい。
- 勉強する意味が見えず、目標を持てていない。
中学校では教科ごとに担当の先生が変わり、学習内容も抽象的になります。小学校までは何とかなっていた子でも、つまずきが一気に表に出ることがあります。理由によって合う声かけは変わるので、まずは責めずに様子を見ることから始めましょう。
スマホやゲームは取り上げるより一緒にルールを決める
スマホや動画、ゲームは手軽で楽しく、勉強より優先されやすいのは自然なことです。ただ、友だちとの連絡手段にもなっているため、一方的に取り上げると強い反発を招きがちです。
「勉強中は別の部屋に置く」「夜は何時までにする」など、使い方のルールをお子さんと一緒に決めるほうが守られやすくなります。中学生本人ができるスマホとの距離の取り方は、中学生でもできるスマホの集中対策でも紹介しています。
勉強しない中学生への声かけ例と言い換え
声かけのコツは、命令を質問に、結果への評価を過程への言葉に置き換えることです。よくある場面ごとに、避けたい言い方と言い換えの例をまとめました。
| 場面 | 避けたい言い方 | 言い換えの例 |
|---|---|---|
| 帰宅後ずっとスマホを見ている | 「いつまでスマホ見てるの!」 | 「今日は何時から勉強する予定?」 |
| テストが近いのに勉強しない | 「また悪い点を取っても知らないよ。」 | 「テストまでに一番心配な教科はどれ?」 |
| テストの点数が悪かった | 「なんでこんな点数なの?」 | 「どの問題で迷った?次に変えたいところはある?」 |
| きょうだいや友だちと比べたくなる | 「お姉ちゃんはちゃんとやってたのに。」 | 「前より計算ミスが減ってきたね。」 |
| 少しだけ机に向かった | 「やっとやる気になったの?」 | 「始めたんだね。何か手伝えることはある?」 |
| 勉強する意味を聞かれた | 「いいから勉強しなさい。」 | 「あなたはどう思う?私はこう考えているよ。」 |
命令より「質問」で本人に決めてもらう
「勉強しなさい」を「何時から始める?」に変えるだけで、決めるのはお子さん自身になります。自分で決めたことは、人に言われたことより守りやすいものです。
答えが返ってこなくても、すぐに次の質問を重ねる必要はありません。「決まったら教えてね」と伝えて、一度その場を離れるくらいがちょうどよい距離です。
点数よりも取り組んだ過程を具体的に認める
結果だけを評価されると、点が取れなかったときに「やっても意味がない」と感じやすくなります。「昨日より長く机に向かえたね」「単語を覚える量を増やしたんだね」など、行動を具体的に言葉にしましょう。
認める内容は小さくてかまいません。見てくれている人がいると分かるだけで、次も少しやってみようという気持ちにつながります。
比べる・脅す・性格を決めつける言葉は避ける
「〇〇ちゃんはできるのに」という比較や、「このままだと行ける高校がない」といった脅しは避けましょう。一時的に机に向かっても長続きせず、自信をなくして親に話さなくなるきっかけにもなります。
「だらしない」「怠けている」のように性格を決めつける言葉も避けたいところです。注意したいときは「今日は宿題がまだ終わっていないね」と、行動だけを取り上げて伝えます。
声かけが届きやすくなる親の関わり方
同じ言葉でも、ふだんの関係や家の環境によって届き方は変わります。声かけを生かすために、日常でできる工夫を3つ紹介します。
勉強以外の会話を増やしておく
親との会話が勉強の話ばかりだと、話しかけられるだけで身構えるようになります。部活や友だち、好きな動画の話など、勉強と関係のない会話を意識して増やしましょう。
気軽に話せる関係ができていると、「実は数学が分からない」といった本音も出やすくなります。勉強の話は、そのあとからでも十分に間に合います。
「10分だけ」から始める目標を一緒に決める
勉強しない状態から、いきなり毎日1時間を目指すのは現実的ではありません。まずは「夕食後に10分」「ワークを1ページ」など、確実にできる量から始めます。
目標は親が決めるより、お子さん自身に選んでもらうほうが続きやすくなります。達成できた日は短くても言葉で認め、習慣になってきたら少しずつ量を増やしましょう。定期テストに向けた勉強の進め方は、成績が上がる中学生の勉強方法が参考になります。
勉強を始めやすい環境を整える
テレビの音が聞こえる、スマホの通知が鳴るといった環境では、大人でも集中が続きません。机の上を片づける、勉強中はスマホを別の部屋に置くなど、始めやすい状態をつくるのも親にできるサポートです。
自分の部屋だとつい寝転んでしまう子は、リビングのテーブルで勉強するほうが合う場合もあります。家で勉強に取りかかれない原因と環境づくりは、家で勉強できない原因と対処法で詳しく解説しています。
勉強しない中学生はほっとくべき?
まったく関わらずに放っておくのはおすすめしません。口出しの回数は減らしつつ、様子は見続ける「見守り」の形をとるのが現実的です。
完全に放っておくと起きやすいこと
中学校の勉強は積み重ねなので、分からないまま進むと次の単元でもつまずきやすくなります。また、多くの都道府県の公立高校入試では、中学校の成績(内申点)が合否の判断材料の一つになります。
内申点をどの学年から、どの程度重視するかは都道府県によって異なります。お住まいの地域の仕組みは、都道府県教育委員会が公表している入試の実施要項で確認しておくと安心です。
見守るときに親が続けたいこと
見守りは、何もしないこととは違います。次のような関わりは続けながら、勉強への口出しを減らしていきます。
- 定期テストの日程や提出物の締め切りは、親も把握しておく。
- 勉強についての声かけは1日1回までなど、回数を決めておく。
- 「困ったらいつでも相談してね」と伝え、相談されたら手を止めて聞く。
- 食事や睡眠など、生活の様子に変わりがないか気にかける。
どこまで見守り、どこから介入するかの目安は、勉強しない中学生をほっとくべきかの判断基準でまとめています。
親の声かけだけでは難しいときの頼り先
中学生は、親から勉強を教わるのを嫌がることも少なくありません。親だけで抱え込まず、学校の先生や塾、相談窓口など第三者の力を借りましょう。
学校の先生や塾など親以外の大人を頼る
同じことを言われても、親以外の大人の言葉のほうが素直に聞けることがあります。担任の先生に家での様子を伝え、学校での様子を聞いてみるのも一つの方法です。
勉強のつまずきが大きい場合は、塾や家庭教師で分からないところまで戻って教えてもらうのも選択肢です。通わせる前に、お子さん本人が納得しているかを確かめておきましょう。塾の種類や選ぶときのポイントは、中学生の塾の選び方で解説しています。
心身の不調や登校しぶりがあるときは早めに相談する
勉強しないことに加えて、次のような様子が続く場合は、勉強以外のところに理由があるかもしれません。
- 食欲や睡眠のリズムが大きく変わった。
- 好きだったことにも興味を示さなくなった。
- 学校に行きたがらない日が増えている。
- 友だち関係に悩んでいる様子がある。
こうしたときは勉強の声かけをいったん控え、担任の先生やスクールカウンセラーに相談してください。心や体の不調が続く場合は、かかりつけ医など医療機関への相談も考えましょう。
文部科学省は、夜間や休日も含めて24時間相談できる「24時間こどもSOSダイヤル」(0120-0-78310、通話無料)を案内しています。お子さん本人向けと保護者向けの窓口は、文部科学省の子供のSOSの相談窓口のページで確認できます。
学校に行きづらい状態が続く場合は、自治体の教育支援センター(適応指導教室)や教育相談の窓口も利用できます。都道府県ごとの窓口は、文部科学省の不登校に関する地元の相談窓口にまとめられています。
まとめ
勉強しない中学生への声かけは、言葉を少し変えるだけでも受け止め方が変わります。
- 「勉強しなさい」を「何時から始める?」のような質問に変える。
- 点数ではなく、取り組んだ過程を具体的に認める。
- ほっとくのではなく、口出しを減らして見守る。
- 心身の不調が気になるときは、学校や相談窓口を頼る。
すぐに変化が見えなくても、責めずに関わり続けることがお子さんの安心につながります。できそうな声かけから一つずつ試してみてください。