机に向かったはずなのに、気づけばスマホを見ていて30分たっていた。そんな経験がある中学生は少なくありません。
この記事では、勉強中のスマホをやめたい人に向けて、つい触ってしまう理由と、意志の強さに頼らずに集中できる環境の作り方を紹介します。スマホの設定や休憩のとり方、保護者と一緒にルールを決めるときのポイントもまとめました。
なぜ勉強中のスマホはやめにくいの?
勉強中にスマホに手が伸びるのは、あなたの意志が特別に弱いからではありません。通知が気になることと、手の届く場所にあることが重なると、誰でも触りたくなります。
通知や「いいね」が気になるのは自然なこと
LINEの返信やSNSの新しい投稿は、いつ届くか分かりません。「何か来ているかも」と思うと、確かめたくなるのは自然な反応です。
難しい問題で手が止まったときや、単語の暗記に飽きてきたときは、特にスマホに逃げたくなります。勉強のつらさから一時的に離れられるので、気づかないうちに癖になっていることも多いものです。
机の上にあるだけで気が散りやすい
画面を伏せて置いていても、手を伸ばせば届く場所にあると「少しだけ」の誘惑に何度も向き合うことになります。通知の音や振動が鳴れば、そこで集中はいったん途切れます。
つまり、我慢する回数そのものを減らすことがスマホ対策の基本です。具体的な方法は、このあと順番に紹介します。
スマホの使いすぎは勉強にどう影響する?
スマホを長く使う生徒ほど、家での勉強時間を増やしても成績が伸びにくいという調査結果があります。夜遅くまで使うと、睡眠時間が削られる点も見逃せません。
長く使うと勉強の効果が出にくい
仙台市教育委員会と東北大学加齢医学研究所は、「学習意欲」の科学的研究に関するプロジェクトを続けています。
2018年度の調査では、仙台市の小学5年生から中学3年生の約4万人を分析しました。平日にスマホを1日1時間以上使う子どもは、家での勉強時間が長くても成績が伸びにくい傾向がありました。
このプロジェクトは、勉強しながらスマホを使う「ながらスマホ」にも注意を呼びかけています。勉強とスマホを行き来すると、そのたびに頭を切り替えることになり、目の前の問題に集中しにくくなります。
これは生活習慣と成績の関係を調べたもので、成績のすべてがスマホで決まるわけではありません。それでも、使う時間を見直すきっかけにはなるはずです。
夜のスマホは睡眠時間を削る
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」は、中学生・高校生の睡眠時間の目安を8〜10時間としています。
同じガイドでは、デジタル機器を寝室に持ち込まず、電源を切って別の部屋に置くようすすめています。寝そべって画面を近くで見ると、寝つきや睡眠の質が悪くなりやすいとも説明されています。
寝不足の日は授業中に眠くなり、家での勉強もはかどりません。睡眠と勉強の両立については、受験生に必要な睡眠時間と睡眠のとり方で詳しく紹介しています。寝つけない日が長く続くときは、保健室の先生やかかりつけの医師に相談してください。
いちばん確実なのはスマホと距離を置くこと
意志の力だけで我慢するのは、大人でも難しいことです。だからこそ、勉強中はスマホが手の届かない場所にある状態を先に作ってしまいましょう。
別の部屋に置くか、家族に預ける
効果が分かりやすいのは、勉強する部屋にスマホを持ち込まないことです。リビングの決まった場所に置くか、「2時間たったら返してね」と家族に預けます。
引き出しにしまうだけでは、取り出すのは一瞬です。部屋を出ないと取りに行けない、という手間がブレーキになります。最初は落ち着かないかもしれませんが、まずは1回の勉強時間だけ試してみてください。
タイマー付きの保管ボックスを使う
家族に預けるのに抵抗があるなら、タイマー付きの保管ボックスという方法もあります。スマホを入れてタイマーをセットすると、設定した時間が過ぎるまでフタが開かない仕組みの箱です。
通販サイトなどで「タイムロッキングコンテナ」といった名前で売られています。値段や作りは商品によって違うため、スマホが入るサイズか、急な連絡が必要なときにどうするかを確かめてから選びましょう。
手元に置くなら視界から外す
調べものなどでスマホを近くに置く日は、せめて目に入らない場所にしまいます。
机の上は勉強道具だけにして、スマホは通知を切ってからカバンの中や背中側の棚に入れます。立ち上がらないと取れない場所なら、「少しだけ」を防ぎやすくなります。
設定やアプリでスマホを勉強の味方にする
スマホを手放せない日は、スマホ自体の設定で誘惑を減らせます。アプリやカメラも、使い方しだいで勉強を後押しする道具になります。
iPhoneとAndroidの使用制限機能
iPhoneにはスクリーンタイムという機能があります。
「休止時間」でスマホを使えない時間帯を決めたり、「App使用時間の制限」でSNSやゲームに1日の上限を付けたりできます。通知だけを止めたいときは「集中モード」が便利です。
Androidでは、設定アプリの「Digital Wellbeing」を開きます。1日の利用時間を区切る「アプリタイマー」や、選んだアプリを一時的に止める「フォーカスモード」が使えます。機種によってメニューの名前や場所が違うことがあります。
つい自分で設定を解除してしまうなら、解除に必要なパスコードを家族に決めてもらう方法もあります。iPhoneでは「スクリーンタイム・パスコード」、Androidでは「アプリの制限の PIN」がこれに当たります。
集中アプリや勉強記録アプリを使う
「Forest」は、スマホを触らずにいた時間だけ画面の中で木が育つアプリです。途中でアプリを離れると木が枯れてしまうので、ゲーム感覚で続けられます。基本機能は無料で、追加機能の有料プランもあります(2026年9月時点・公式サイトより)。
「Studyplus(スタディプラス)」のような勉強記録アプリでは、教科ごとの勉強時間を記録してグラフで振り返れます。記録をつけるついでにSNSを開いてしまう人は、勉強が終わってからまとめて入力しましょう。
タイムラプス勉強のメリットとデメリット
タイムラプス勉強は、勉強中の手元をカメラで早送り動画として撮る方法です。
多くの機種では、撮影中に別のアプリを開くと録画が止まるため、スマホを触りにくくなります。「撮っている」という意識が、だらけ防止になるのも良い点です。
一方で、デメリットもあります。撮影や編集、SNSへの投稿そのものが目的になると、勉強の時間がかえって減ります。撮影中に通知が画面に出れば気が散りますし、長時間の撮影は電池や保存容量も使います。
取り入れるなら、通知を切ってから撮影を始め、動画は勉強が終わってから見返すと決めておくと安心です。
勉強動画やBGMは流すだけにする
YouTubeには、誰かが黙々と勉強する様子を流す「Study with me」という動画があります。
一緒に勉強している感覚を持てる反面、画面を触るたびにおすすめの動画が目に入ります。再生を始めたら画面を伏せ、途中で操作しないのがコツです。音楽を流しながら勉強したい人は、勉強に合うBGMの選び方も参考にしてください。
集中が続く勉強と休憩のリズムを作る
だらだらと長く座り続けるより、時間を区切って休むほうが勉強にメリハリがつきます。ポイントは、休憩中もスマホを見ないことです。
25分勉強して5分休むポモドーロ・テクニック
ポモドーロ・テクニックは、1980年代にフランチェスコ・シリロ氏が考えた時間管理の方法です。
よく知られているのは、25分集中して5分ほど休む、というサイクルをくり返すやり方です。タイマーはスマホではなくキッチンタイマーなどを使うと、スマホを手に取らずに済みます。
25分が長く感じるなら、15分から始めても構いません。大切なのは、始める時間と休む時間を先に決めておくことです。
休憩中はスマホ以外で頭を休める
休憩中にSNSやショート動画を見ると、5分のつもりが30分になりがちです。次々と新しい情報が入ってくるので、頭を休める時間にもなりにくいです。
休憩には、立ち上がって体を伸ばす、水を飲む、窓を開けて外の空気を吸うといった、画面を見ない過ごし方がおすすめです。目を閉じてゆっくり深呼吸するだけでも、気分を切り替えられます。
親子でスマホのルールを決めるときのポイント
ルールは保護者が一方的に決めるより、お子さんと話し合って決めるのがおすすめです。本人が納得していると、守ろうという気持ちも持ちやすくなります。
いきなり取り上げる前に話し合う
成績が下がったからといって、スマホを急に取り上げたり解約したりするのは慎重に考えたいところです。
中学生にとってスマホは、友達との連絡手段でもあります。一方的に取り上げると反発を招き、隠れて使うようになることもあります。まずは勉強中に何が困っているのかを、お子さんと一緒に確かめるところから始めましょう。
勉強しない様子が気になるときの接し方は、勉強しない中学生への声かけと関わり方で紹介しています。
話し合いで決めておきたい3つのこと
次の3つを決めておくと、ルールが具体的になります。
- 勉強中のスマホの置き場所(リビングの充電場所など)。
- 夜は何時以降使わないか、寝室に持ち込むかどうか。
- ルールを守れなかったときにどうするか。
守れなかったときの対応も先に決めておけば、その場で感情的な言い合いになるのを防げます。
テスト前や受験期はルールを見直す
一度決めたルールも、学年や部活の忙しさに合わせて見直しましょう。たとえば定期テストの2週間前だけは、勉強中のスマホを家族が預かるといった期間限定のルールも使えます。
受験期の付き合い方は、高校受験中のスマホとの付き合い方で詳しく紹介しています。管理ルールの例は、勉強とスマホを両立させる管理方法とルールを参考にしてください。
やめようとしてもやめられず、睡眠や学校生活に影響が出ている場合は、家庭だけで抱え込まないでください。学校のスクールカウンセラーや、自治体の教育相談窓口に相談できます。
まとめ
勉強中のスマホは、意志の力よりも環境と仕組みで遠ざけるのが近道です。
- 勉強中はスマホを別の部屋に置くか、家族に預ける。
- 手元に置く日は、スクリーンタイムなどの設定で通知と使用時間を制限する。
- 25分ほど集中したら、画面を見ずに休憩する。
- ルールは親子で話し合って決め、時期に合わせて見直す。
全部を一度に始める必要はありません。今日の勉強で、できそうなものを1つだけ試してみてください。