「テストが近いのに、どうしてもやる気が出ない」という日は、誰にでもあります。やる気が出ないのは、意志が弱いからとは限りません。この記事では、やる気が出ない原因を5つのタイプに分け、それぞれに合った対処法を紹介します。テスト前や受験期など場面別の立て直し方と、保護者ができるサポートもまとめました。
勉強のやる気が出ないのは、意志が弱いから?
そうとは限りません。やる気は、始める前よりも始めたあとに出てくることが多いものです。「やる気が出たら始めよう」と待っていると、動けないまま時間だけが過ぎてしまいます。
やる気は動き出したあとについてくる
問題を1問だけ解いてみたら、思ったより続けられたという経験はありませんか。最初の一歩がいちばん重く、動き出してしまえば続けやすくなる人は多いです。だからこそ、やる気がないままでもほんの少しだけ手を動かしてみることに意味があります。
自分を責めるより、原因を探したほうが早く動ける
「また今日もできなかった」と自分を責めると、気持ちが沈んで、さらに机から遠ざかりがちです。やる気が出ない背景には、疲れや目標のぼやけ、内容の難しさなど、何かしらの理由があることがほとんどです。責める代わりに「今日はなぜ動けないのか」を考えると、打つ手が見えてきます。
やる気が出ない原因は?5つのタイプ別の対処法
やる気が出ない原因は、大きく分けると次の5つです。自分に当てはまるものを探し、その原因に合った対処法から試してみましょう。
| 原因 | よくあるサイン | まず試したいこと |
|---|---|---|
| 疲れ・寝不足 | 机に向かっても眠く、頭に入らない。 | 短く休んでから、軽い作業で始める。 |
| 目標が遠い | 何から手をつければいいか分からない。 | 今日やることを1つに絞って書き出す。 |
| 内容が難しい | 問題を見ただけで手が止まる。 | 1つ前の基礎や、解ける問題まで戻る。 |
| 誘惑が近い | 気づくとスマホを触っている。 | 勉強中はスマホを別の部屋に置く。 |
| 完璧主義 | 「やるなら全部」と考えて始められない。 | 60点の出来でいいと決めて始める。 |
疲れ・寝不足なら、まず体を回復させる
部活や学校で疲れている日、寝不足の日にやる気が出ないのは自然なことです。体が疲れたまま無理に机に向かっても、内容はなかなか頭に入りません。
こういう日は、少し休んでから、単語の見直しなど軽い作業で始めるのがおすすめです。厚生労働省の健康づくりのための睡眠ガイド2023では、中学・高校生は8〜10時間の睡眠を参考にするよう示されています。長い昼寝は夜の睡眠を妨げるともされているので、仮眠をとるなら短めにしましょう。疲れている日の勉強の進め方は、疲れて勉強できないときに無理なく続ける勉強法でも紹介しています。
目標が遠いなら、今日やることを1つに絞る
「志望校に合格する」「数学を得意にする」といった目標は大切です。ただ、それだけでは今日何をすればいいのかが見えず、始める前から気が重くなります。
「数学を勉強する」ではなく、「問題集の12ページの問3を解く」くらいまで具体的にしてみましょう。次にやることが1つに決まっていれば、迷う時間が減ります。やることを紙に書き出して、終わったら線を引いて消していくのも効果的です。
内容が難しいなら、解ける問題まで戻る
今の実力と教材のレベルが合っていないと、問題を見ただけで手が止まってしまいます。分からない状態が続くと、苦手意識もどんどん強くなります。
そんなときは、1つ前の単元や教科書の例題など、自分で解けるレベルまで戻るのが近道です。「分かる」「解ける」という手応えが積み重なると、前に進む気持ちが少しずつ戻ってきます。
誘惑が近いなら、スマホを目に入らない場所へ
スマホや漫画が手の届く場所にあると、通知や続きが気になって集中が途切れがちです。我慢しようとするほど、そのこと自体に気力を使ってしまいます。
誘惑に勝とうとするより、最初から目に入らない環境を作るほうが確実です。勉強中はスマホを別の部屋に置き、机の上には使う教材だけを出しておきましょう。家ではどうしても気が散る日は、図書館や学校の自習スペースなどへ場所を変えてみるのも一つの方法です。
完璧主義なら、60点でいいと決めて始める
「ノートをきれいにまとめてから」「1章を全部終わらせないと」と考えるほど、始めるハードルは上がります。真面目な人ほど、このタイプで動けなくなりがちです。
まずは「今日は60点の出来でいい」と決めてしまいましょう。途中のページから始めても、字が多少雑でもかまいません。完璧さよりも、少しでも進めたことを大事にするほうが、結果的に長く続きます。
原因を問わず使える、今すぐ机に向かうための3つのコツ
どの原因にも共通して効くのは、始めるハードルを思い切り下げることです。ここでは、今日からすぐに使える3つのコツを紹介します。
「5分だけ」と決めて、最初の作業を小さくする
「1時間勉強しよう」と思うと重く感じても、「5分だけ」ならできそうに思えます。英単語を3つ書く、教科書を開くなど、最初の作業はできるだけ小さくしましょう。5分たってやめたくなったら、やめてもかまいません。始めてみると、そのまま続けられることも多いはずです。
25分集中して、短い休憩をはさむ
終わりが見えない勉強はつらいものですが、「25分だけ」と区切りがあると集中しやすくなります。これは、フランチェスコ・シリロ氏が1980年代に考案したポモドーロ・テクニックという時間管理の方法です。25分集中したら5分ほど休む、という流れをくり返します。タイマーを使えば、残り時間が目に見えて取り組みやすくなります。
「〇〇したら勉強する」と先に決めておく
「夕食を食べ終わったら、机に座って単語帳を開く」のように、きっかけと行動をセットで決めておく方法です。心理学では「if-thenプランニング(実行意図)」と呼ばれています。
心理学者のゴルヴィツァーとシーランは、2006年に94件の研究結果をまとめて分析しました。その結果、こうした計画を立てると、目標を立てるだけの場合より目標を達成しやすいことが示されています。毎回「今から始めるかどうか」を迷わずに済むのが、この方法の利点です。やる気に頼らず勉強を続ける仕組みは、やる気に頼らず勉強したくなる方法で詳しく紹介しています。
テスト前や受験期にやる気が出ないときは?場面別の立て直し方
同じ「やる気が出ない」でも、場面によって効きやすい対処法は少しずつ違います。よくある3つの場面に分けて見ていきましょう。
テスト直前で、焦って手がつかないとき
範囲が広く感じて焦るときは、「全部やる」のをやめて範囲を絞りましょう。授業で先生が強調したところや、ワークの基本問題など、点につながりやすいところから1つずつ片づけます。やることが減るだけで、気持ちはかなり落ち着きます。時間が足りないときの進め方は、テスト勉強が間に合わないときの最低限の対策を参考にしてください。
受験勉強が長く続いて中だるみしたとき
受験勉強は何か月も続くので、途中で気持ちがゆるむのは珍しいことではありません。志望校のパンフレットを見返したり、オープンキャンパスや学校説明会に参加したりして、目標をもう一度はっきりさせてみましょう。長い期間やる気を保つための工夫は、勉強のモチベーションを上げる方法で詳しくまとめています。
苦手科目にどうしても手が伸びないとき
苦手科目は、得意科目で勢いをつけたあとに、短い時間だけ取り組むと始めやすくなります。最初は簡単な問題を選び、「解けた」という手応えから入りましょう。1日10分でも続けていれば、少しずつ抵抗感は薄れていきます。
やる気が出ない日が続くときは、休むことと相談することも考えて
どうしてもやる気が出ない日は、思い切って休むのも大切な選択です。ただし、つらい状態が長く続くときは、一人で抱え込まずに誰かに相談してください。
「今日は休む」と決めて、しっかり休む
手が動かない日は、中途半端に座り続けるより、休むと決めて気持ちを切り替えたほうが翌日につながります。軽い散歩やストレッチ、早めの就寝など、体を休めることを優先しましょう。休んだことを責める必要はありません。
気持ちの落ち込みが続くなら、周りの大人に相談を
次のような状態が続くときは、やる気だけの問題ではないかもしれません。
- 夜なかなか眠れない、または朝起きられない日が続いている。
- 食欲がない、体のだるさが抜けない。
- 好きだったことも楽しめなくなっている。
- 理由もなく涙が出たり、強い不安を感じたりする。
こうしたときは、保護者や担任の先生、スクールカウンセラーに話してみてください。体の不調が続く場合は、医療機関に相談することも考えましょう。身近な人に話しにくいときは、文部科学省の子供のSOSの相談窓口が参考になります。24時間つながる「24時間子供SOSダイヤル」(0120-0-78310)なども案内されています。
保護者の方へ:やる気が出ないお子さんにできること
いちばんのサポートは、指示や叱責よりも、お子さんが始めやすい環境を一緒に整えることです。
「勉強しなさい」より「何時から始める?」
「勉強しなさい」と言われると、やろうと思っていた気持ちがしぼんでしまうことがあります。「今日は何時から始める予定?」と聞いて、お子さん自身に決めてもらうほうが動きやすくなります。
結果より、取り組んだ過程をほめる
テストの点数だけをほめると、結果が出なかったときに自信をなくしやすくなります。「毎日少しずつ続けているね」など、取り組んだ過程を具体的に言葉にしてあげましょう。
同じ時間に、保護者も読書や作業をする
お子さんの勉強中に、保護者も同じ部屋で読書や仕事をすると、家の中に落ち着いて取り組む雰囲気が生まれます。声のかけ方に迷うときは、勉強しない中学生への親の声かけと関わり方も参考にしてください。元気のない様子が続くときは、担任の先生やスクールカウンセラーに早めに相談しましょう。
まとめ:原因に合った小さな一歩から始めよう
勉強のやる気が出ないときは、自分を責めるより、原因を見つけて小さく動き出すことが大切です。
- やる気は、始めたあとについてくることが多い。
- 疲れ・目標・難しさ・誘惑・完璧主義のどれが原因かを考え、合った対処法を選ぶ。
- 「5分だけ」「25分集中」「〇〇したら勉強する」で、始めるハードルを下げる。
- つらい状態が続くときは、休むことと相談することを優先する。
まずは今日、5分だけ教科書を開くところから始めてみてください。