机に向かったとたんにまぶたが重くなり、気づけば同じ行を何度も読んでいた。そんな経験は、中高生なら誰にでもあるはずです。勉強中の眠気は、やる気の問題ではなく、睡眠や時間帯、部屋の環境などが重なって起こることがほとんどです。
この記事では、眠くなる原因と今すぐできる対策、授業中・テスト中のコツ、眠くなりにくい生活リズムの整え方を順に紹介します。
勉強中に眠くなる主な原因は?
勉強中の眠気で最も多い原因は、睡眠不足です。そこに食後の時間帯、こもった空気や暖かすぎる部屋、単調な勉強といった条件が加わると、眠気はさらに強くなります。
睡眠時間は足りている?
厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、中学・高校生は8〜10時間を参考に睡眠時間を確保するよう勧めています。部活や塾で帰りが遅くなり、夜ふかしが重なると、この目安を下回る日はすぐに増えていきます。
同じガイドでは、十分な睡眠で集中力が増し、学習の効率が上がることにも触れています。睡眠には、学んだ内容を定着させる働きもあるとされています。眠気がつらいときは、まず前の晩に何時間眠れたかを振り返ってみましょう。受験期の睡眠の考え方は、受験生に必要な睡眠時間と睡眠のとり方でも詳しく扱っています。
食後や午後は眠くなりやすい
昼食や夕食のあと、午後の授業中などは、眠気を感じやすいタイミングです。食後の眠気の仕組みにはまだ分かっていない部分もありますが、たくさん食べたあとに特に眠くなると感じる人は多いでしょう。
食べ過ぎを避けるのはもちろん、食後すぐに難しい問題へ取りかかるより、軽い復習や音読から始めると勉強に入りやすくなります。
空気がこもった部屋、暖かすぎる部屋
窓を閉め切った部屋に長くいると、頭がぼんやりしてくることがあります。文部科学省の学校環境衛生基準では、教室の換気の目安を二酸化炭素濃度1,500ppm以下としています。この数値は、空気がきちんと入れ替わっているかを見るための目安です。
同じ基準では、教室の温度は18℃以上、28℃以下が望ましいとされています。家の勉強部屋でも、勉強の区切りごとに窓を開け、暖房が効きすぎていないかを確かめるとよいでしょう。
勉強を始めると眠くなるのはなぜ?
机に向かうと急に眠くなるのは、単調な作業が続いたり、内容が難しすぎて手が止まったりしているときに起こりやすいものです。同じ姿勢で座りっぱなしの時間が長いことも、眠気を覚ましにくくします。
「やる気がないから」「甘えだから」と自分を責める必要はありません。勉強のやり方を少し変えるだけで、眠気が和らぐことはよくあります。
今すぐできる眠気覚ましの方法
眠くなってしまったら、まず体を動かすか、空気を入れ替えるのが手軽です。それでも眠いときは、15分ほどの短い仮眠をとったほうが、結果的に勉強がはかどることも多くあります。
立ち上がって体を動かす
椅子から立ち、肩を回す、背伸びをする、部屋の中を少し歩くといった1〜2分の動きでも、気分が切り替わります。座りっぱなしを防ぐには、勉強の区切りごとに立ち上がると決めておくのがおすすめです。
机と椅子の高さが合っていないと、体がこわばって疲れやすくなります。長時間でも疲れにくい勉強の姿勢と座り方も、あわせて見直してみてください。
窓を開けて換気し、深呼吸する
換気は、部屋にこもった空気を入れ替えるいちばん簡単な方法です。窓を少し開けて外の空気を入れ、ゆっくり息を吐きながら何度か深呼吸をしてみましょう。冬場は数分だけ窓を大きく開けるなど、寒くなりすぎない工夫をすると続けやすくなります。
冷たい水で顔を洗う、ガムを噛む
冷たい水で顔を洗う、歯をみがく、水を飲むといった方法も、気分をリセットするのに役立ちます。ガムを噛んだり、ミントのタブレットを口にしたりするのも手軽です。
ただし、こうした方法は眠気を一時的にしのぐものです。効き方には個人差があるので、自分に合うものをいくつか用意しておくと安心です。
15分ほどの短い仮眠をとる
どうしても眠いときは、無理に起きているより、短い仮眠をとるほうがその後の勉強に集中しやすくなります。厚生労働省のe-ヘルスネット「快眠と生活習慣」では、昼寝は午後の眠気を解消し、15分程度の長さで十分だと紹介されています。
長く寝すぎると、起きたあとにぼんやりしたり、夜に寝つけなくなったりしやすくなります。アラームをかけて短く切り上げましょう。ベッドで横になるより、机に伏せる姿勢のほうが寝すぎを防げます。
手と口を動かす勉強に切り替える
眠気が出てきたら、読むだけの勉強から、問題を解く、音読する、書いて覚えるといった作業に切り替えましょう。暗記が続いたら計算問題に移るなど、科目を入れ替えるのも効果的です。
カフェインやエナジードリンクに頼りすぎない
コーヒーやエナジードリンクで眠気を覚まそうとする人もいますが、中高生は頼りすぎないことが大切です。厚生労働省の睡眠ガイドは、眠気覚ましのカフェインは続けて摂るうちに効きが弱まり、依存も生じると注意しています。
また、こどもは大人より少ない量で睡眠に影響が出やすく、夕方以降のカフェインは控えることが勧められています。勉強中に何を飲むかは、勉強のお供に合う飲み物の選び方を参考にしてください。
眠気覚ましの方法、根拠がはっきりしているのは?
公的な指針ではっきり勧められているのは、十分な睡眠、朝の光を浴びること、短い昼寝です。冷たい水やガムなどは体感として広く使われている方法で、効き方には個人差があります。
| 方法 | 位置づけ | 使い方 |
|---|---|---|
| 睡眠時間の確保 | 厚生労働省の睡眠ガイドで推奨。 | 中高生は8〜10時間が目安。 |
| 朝の光を浴びる | 睡眠ガイドとe-ヘルスネットで推奨。 | 起きたらカーテンを開ける。 |
| 15分程度の昼寝 | e-ヘルスネットで紹介。 | アラームで短く切り上げる。 |
| 換気 | 教室には換気の基準がある。 | 勉強の区切りに窓を開ける。 |
| 冷水、ガム、ストレッチ | 体感として広く使われる方法。 | 一時しのぎと考えて使う。 |
どの方法も、睡眠不足そのものを補うことはできません。眠気覚ましで乗り切る日が続くなら、この後で紹介する生活リズムの見直しを優先しましょう。
授業中・テスト中に眠くならないためのコツ
授業中やテスト中の眠気を防ぐいちばんの近道は、前の晩にしっかり眠ることです。そのうえで、その場でできる小さな工夫を組み合わせましょう。
授業中は手を動かし、休み時間に体を起こす
授業中は、板書を写すだけでなく、大事だと思ったことを自分の言葉でメモしてみましょう。先生の質問に心の中で答えを考えるだけでも、ただ聞いているときより頭が働きやすくなります。
休み時間には立って歩く、水を飲む、顔を洗うなどして、体を一度リセットしておくと次の授業が楽になります。教室の空気がこもっていると感じたら、先生に窓を開けてよいか聞いてみるのも一つの方法です。
テスト前日は睡眠を削らない
テスト中の眠気は、前日の夜ふかしや一夜漬けから来ていることがよくあります。前日は新しい範囲に手を広げず、覚えたことの確認にとどめて、いつもの時間に寝るようにしましょう。
当日の朝はカーテンを開けて光を浴び、朝食をとっておくと、体が目覚めやすくなります。テスト中に眠気を感じたら、背筋を伸ばして深呼吸をする、見直しで式や答えを指でなぞるなど、手を動かすと集中を取り戻しやすくなります。
朝起きるのがつらい人は、学生向けの早起きのコツも試してみてください。
眠くなりにくい生活リズムの整え方
勉強中の眠気を根本から減らすには、毎日の睡眠と生活リズムを整えるのがいちばんです。ポイントは、起きる時間をそろえること、光の浴び方、夜のスマホの扱い方の3つです。
休日も起きる時間をそろえ、朝の光を浴びる
厚生労働省の睡眠ガイドは、休日も普段と同じ時間に起きて日光を浴びるよう勧めています。休日に昼まで寝ると体内時計が後ろにずれやすくなります。夜に寝つけず、週明けの授業で眠くなるという悪循環にもつながります。
同じガイドでは、朝食を抜かないことも、早寝早起きの習慣を保つうえで大切だとしています。
夜は明るい光とスマホを控える
e-ヘルスネットによると、朝に浴びた光は体内時計を早め、夕方から深夜に浴びた光は体内時計を遅らせる働きがあります。スマホやタブレットの画面の光も例外ではありません。睡眠ガイドも、デジタル機器は寝室に持ち込まず、別の部屋に置くよう勧めています。
一方で、勉強中の手元は暗すぎないようにしましょう。学校環境衛生基準では、教室と黒板の照度は500ルクス以上が望ましいとされています。勉強中はしっかり明るく、寝る前は照明を少し落とすなど、時間帯で明るさを使い分けるのがおすすめです。
スマホがつい気になってしまう人は、中学生でもできるスマホの集中対策も参考にしてください。
お風呂と勉強の順番を工夫する
e-ヘルスネットでは、寝つきをよくするための入浴は、就寝の1〜2時間前が最も効果的だとされています。入浴後は体が眠りに向かう流れに入るので、難しい勉強は入浴前に済ませておくのがおすすめです。お風呂のあとは軽い復習にとどめ、早めに布団に入りましょう。
眠気が続くときは相談を
十分に眠っているのに、授業中に眠ってしまう日が続くことはありませんか。朝どうしても起きられない状態が続く場合も、生活習慣だけの問題ではないことがあります。
厚生労働省の睡眠ガイドも、日中の眠気は睡眠障害などが原因の場合があり、改善しなければ医師に相談するよう勧めています。保護者の方は「怠けている」と決めつけず、学校の保健室やかかりつけ医に相談してみてください。
まとめ
勉強中の眠気は、自分を責めるより、原因に合った対策を選ぶほうが早く解決します。
- 眠気のいちばんの原因は睡眠不足で、中高生は8〜10時間が目安です。
- 眠くなったら、体を動かす、換気する、15分ほど仮眠するなどで切り替えます。
- 授業中・テスト中は手を動かし、テスト前日は睡眠を削らないようにします。
- 休日も起きる時間をそろえ、夜はスマホと明るい光を控えます。
今日できることを一つ選んで、明日の勉強から試してみてください。