過去問解き直しノートの作り方|ミスの原因分析と復習のタイミング

過去問解き直しノートの作り方|ミスの原因分析と復習のタイミング

「過去問を解いて丸つけまではしたけれど、そのあと何をすればいいのか分からない」という人は少なくありません。過去問は、解いたあとにミスの原因を確かめ、もう一度解き直すことで得点力につながります。この記事では、過去問の記録と解き直しを1冊にまとめる「過去問解き直しノート」の作り方と、復習への活かし方を紹介します。

過去問解き直しノートとは?作ったほうがよい理由

過去問解き直しノートとは、解いた過去問の得点、間違えた原因、解き直しの結果をまとめて残すノートです。「過去問ノート」「解き直しノート」とも呼ばれます。

目的は、点数を記録することではありません。次に同じミスをしないための対策を、自分の言葉で書き残すことにあります。

作るかどうか迷っている人もいると思います。丁寧に清書する必要はありませんが、間違えた問題の原因と解き直しの記録だけは残しておくことをおすすめします。理由は主に次の3つです。

  • 苦手な分野やミスのくせが、記録として目に見えるようになる。
  • 「なぜ解けなかったのか」を言葉にすることで、同じミスを防ぎやすくなる。
  • 入試の直前に見直せる、自分専用の復習教材になる。

弱点がはっきりすると、残りの時間で何を優先して勉強するかも決めやすくなります。成績を上げるための勉強の進め方全体については、偏差値を上げるための勉強法と期間の目安も参考にしてください。

過去問解き直しノートの作り方(基本の3ステップ)

作り方は「記録する」「原因を書く」「優先順位をつける」の3ステップです。最初から完璧なノートを目指さず、この流れを毎回くり返すことを大切にしましょう。

なお、過去問を解くときは、問題用紙に直接答えを書き込まないのがおすすめです。ノートや解答用紙のコピーに答えを書けば、問題用紙をきれいなまま残せるので、解き直しのときにもう一度使えます。

ステップ1 解いた結果を記録する

採点が終わったら、まず基本の情報を書き残します。記録しておきたい項目は次のとおりです。

  • 解いた日付と、学校名・年度・教科。
  • 得点と、公表されていれば合格最低点や受験者の平均点。
  • 解くのにかかった時間と、時間が足りたかどうか。
  • 解いたときの状態(眠かった、焦ったなど)をひと言。

そのときの状態をひと言添えておくと、あとで点数の上がり下がりを振り返るときの手がかりになります。

毎日の勉強時間や学習内容は、過去問ノートとは別のノートに記録すると、2冊の役割がはっきりします。書き方は勉強記録ノートの書き方と続けるコツで紹介しています。

ステップ2 間違えた原因を自分の言葉で書く

このステップが、解き直しノートの中心です。正しい答えを書き写すだけで終わらせず、「なぜ間違えたのか」を具体的に書きましょう。

原因は、おおまかに次の3種類に分けると対策を考えやすくなります。

ミスの種類例対策の方向
読み違い・うっかり問題文の条件を見落とした、計算を写し間違えた。条件に線を引き、見直しの手順を決める。
知識不足公式や用語をそもそも覚えていなかった。教科書や問題集に戻って覚え直す。
解き方が分からない知識はあるのに、どう使えばよいか思いつかなかった。解説の考え方を書き出し、似た問題を解く。

知識不足によるミスが多い場合は、過去問を先に進めるより、基礎を固め直したほうが近道になることもあります。進め方は受験勉強の基礎固めの方法と時期を参考にしてください。

数学や理科では、正しい解き方の流れを自分で書き出すと理解が深まります。また、正解した問題でも自信がなかったものには印をつけておきましょう。たまたま当たった問題は、本番で同じように解けるとは限らないからです。

ステップ3 解き直す問題に優先順位をつける

すべての問題を同じように復習しようとすると、時間が足りなくなります。解き直す問題は、次の順で優先するのがおすすめです。

  • 何度解いても間違える問題。
  • 理解があいまいなまま正解した問題。
  • 多くの受験生が得点できる、基本から標準レベルの問題。

反対に、ほとんどの受験生が解けないような難問は、後回しにしてかまいません。付箋やマーカーで印をつけておくと、見直すときにすぐ見つけられます。

ノートのレイアウトと書き方のコツ

書き方の基本は、「問題」と「自分の分析」を見開きで分けることです。形式を一度決めておけば、毎回迷わずに書けるので続けやすくなります。

見開きの左に問題、右に分析を書く

左ページには問題のコピーを貼るか、要点を書き写します。右ページには、自分の答え、正しい答え、間違えた原因、解き直しの記録を書きましょう。

解き直すたびに、同じページへ日付と結果を書き足していくのがポイントです。できなかった問題ができるようになるまでの過程が、1ページで分かるようになります。

1ページに書く量は、教科に合わせて調整しましょう。数学や理科の記述問題は1問で見開き1ページ、社会の用語問題は数問で1ページ、という分け方が目安です。国語や英語の長文は、本文をすべて貼ると量が増えるので、間違えた設問と根拠になる部分だけを貼るとよいでしょう。

教科別に分けるか、1冊にまとめるか

迷ったら、教科別に分けるのがおすすめです。1冊にまとめると、見直したい教科のページを探しにくくなり、教科ごとの弱点も見えにくくなります。

ノートが何冊にも増えるのが気になる場合は、ルーズリーフを使い、教科ごとにファイルやインデックスで分ける方法もあります。あとから並べ替えられるので、分野別に整理し直すときにも便利です。

中学受験・高校受験・大学受験での工夫

基本の作り方はどの受験でも同じですが、受験の種類によって工夫したい点が少し変わります。

  • 中学受験では、コピーや貼り付けなどの作業を保護者が手伝い、原因の分析はお子さん自身の言葉で書くと続けやすくなります。
  • 高校受験では、公立高校の入試問題が都道府県ごとに作られ、形式もそれぞれ違います。志望する都道府県の過去問で、出題形式と時間配分に慣れておきましょう。
  • 大学受験では、大学入学共通テストと各大学の個別試験で形式が大きく違うため、ノートやページを分けると整理しやすくなります。

過去問解き直しノートを復習に活かす方法

ノートは作っただけでは効果が出ません。「答えを隠して思い出す」「間隔を空けてくり返す」の2つを意識して使いましょう。

答えを隠して、自力で思い出す

心理学では、読み返すよりも思い出す練習をしたほうが記憶が長く残りやすいことが知られており、「テスト効果」と呼ばれています。

よく知られているのが、学術誌Psychological Scienceに掲載されたRoedigerとKarpickeの研究(2006年)です。文章をくり返し読み直したグループより、思い出すテストをくり返したグループのほうが、2日後や1週間後の成績がよいという結果でした。

この研究では、読み直したグループのほうが「覚えている」という自信は強かったことも報告されています。読み返して分かった気になるだけでは不十分なので、ノートを見返すときは右ページの答えを紙で隠し、まず自分で解き方を思い出してみましょう。

解き直しは間隔を空けてくり返す

一度解き直してできた問題でも、時間がたつと忘れてしまうことがあります。翌日、1週間後、1か月後のように、間隔を少しずつ広げながら解き直すのがおすすめです。

復習の間隔については、同じ学術誌に掲載されたCepedaらの研究(2008年)があります。1,350人以上が参加した実験で、本番のテストまでの期間が長いほど、効果的な復習の間隔も長くなるという結果が示されました。

入試まで数か月あるなら、一度に詰め込まず、何回かに分けて解き直す計画を立てましょう。定期テストに向けた復習のタイミングは、定期テストで高得点をとるための復習のタイミングとやり方でも紹介しています。

次の過去問を解く前にノートを見返す

新しい年度の過去問に取りかかる前に、前回のノートを数分見返すのもおすすめです。「時間配分に注意」「条件に線を引く」など、前回書いた対策を頭に入れてから解くと、同じミスを防ぎやすくなります。

過去問ノートが続かないときの対処法

続かないときは、1回あたりの作業が重くなりすぎていないかを見直しましょう。書く量を減らせば、忙しい時期でも続けやすくなります。

  • 色分けや清書はしない。書くのは「問題番号」「原因」「次の対策」の3つだけでも十分です。
  • 1問あたりの作業時間を10〜15分ほどと決め、時間が来たら次に進む。
  • 問題は書き写さず、コピーを貼るか問題番号だけを書く。
  • すべてを一度に整理しようとせず、「1日1問だけ解き直す」といった小さな目標から始める。

問題を書き写す作業に時間をかけるより、原因を考えることと解き直しに時間を使うほうが、得点にはつながりやすくなります。

それでも手が止まるときは、勉強そのものに疲れているのかもしれません。そんなときは、受験に疲れたときに気持ちを立て直す方法も読んでみてください。

入試直前の過去問ノートの使い方

入試直前は、新しい問題に手を広げるより、これまで間違えた問題を確実に解けるようにすることを優先しましょう。

この時期は、すべてを一から解き直さなくてもかまいません。ノートに書いた原因と対策、解き方の流れを読み返すだけでも、自分が気をつけるべき点を確認できます。

試験当日も、ノートを会場に持っていくと安心です。休み時間に次の教科のノートを開き、自分がよく間違えるポイントだけを確かめましょう。分厚い参考書を見返すより、短い時間で要点を確認できます。

ノートをめくると、これまで取り組んできた量や、できるようになった問題が目に見えます。それが本番前の気持ちの支えにもなるはずです。

まとめ

過去問は、解いたあとの分析と解き直しで力に変わります。ポイントは次の4つです。

  • 得点、かかった時間、解いたときの状態を記録する。
  • 間違えた原因を「読み違い」「知識不足」「解き方」に分けて書く。
  • 答えを隠して思い出し、間隔を空けて解き直す。
  • 続かないときは書く量を減らし、1日1問から始める。

まずは次に解く過去問から、1ページだけでも作ってみてください。