「模試の偏差値をもう少し上げたい」「偏差値を10上げるには、どれくらいかかるの?」と悩んでいる中高生や保護者の方は多いと思います。
偏差値は、勉強時間を増やすだけでは思うように上がらないことがあります。この記事では、偏差値の仕組みと上げるのにかかる時間の考え方、点数につながる勉強の順番と計画の立て方を順に説明します。
偏差値アップの前に知っておきたい仕組み
偏差値は、同じテストを受けた人の中で自分がどの位置にいるかを表す数字です。平均点をとった人がちょうど50になり、平均より上なら50を超え、下なら50を下回ります。
偏差値の計算式
偏差値は「(自分の得点-平均点)÷標準偏差×10+50」で計算します。標準偏差は、受験者の点数がどれだけ散らばっているかを表す値です。
総務省統計局の学習サイト「なるほど統計学園」でも、偏差値は平均が50、標準偏差が10になるように変換した値だと説明されています。
たとえば平均点が60点、標準偏差が15点のテストで75点をとると、偏差値は60です。同じ75点でも、平均点や点数の散らばりが違うテストでは偏差値も変わります。
点数の分布が左右対称の山型(正規分布)に近い場合、偏差値と上位からの割合はおおよそ次のとおりです。
| 偏差値 | 上位からの割合 |
|---|---|
| 70 | 約2.3% |
| 65 | 約6.7% |
| 60 | 約15.9% |
| 55 | 約30.9% |
| 50 | 50% |
偏差値はほかの受験者との比較で決まる
偏差値は相対評価です。自分の点数が上がっても、周りも同じだけ伸びていれば偏差値は変わりません。受験が近づくと多くの受験生が勉強量を増やすため、これまでと同じ勉強のままだと偏差値が下がることもあります。
また、模試によって受験者の顔ぶれが違うため、別の模試の偏差値をそのまま比べることはできません。伸びを確かめるときは、同じ種類の模試の結果を並べて見るようにしましょう。偏差値50がどのくらいの位置なのかは、偏差値50のレベルと高校の選び方の記事で詳しく説明しています。
偏差値を上げるのにかかる時間はどれくらい?
結論から言うと、「偏差値を1上げるには何時間」という決まった数字はありません。偏差値はほかの受験者との比較で決まり、今の位置や試験範囲、勉強の中身によって必要な時間が大きく変わるからです。
偏差値1上げるのにかかる時間が決まらない理由
計算式から考えると、偏差値を1上げるには、平均点との差を標準偏差の10分の1だけ広げる必要があります。標準偏差が20点のテストなら2点、10点のテストなら1点分です。
ただし、その数点を取るのにかかる時間は人によって違います。まだ手をつけていない単元が多い人は、基本問題を覚えるだけで点数が伸びます。一方、基本が固まっている人は難しい問題で差をつける必要があるため、同じ1点に時間がかかります。
インターネット上で見かける「偏差値1につき○時間」といった数字も、決まった換算式があるわけではありません。あくまで一つの目安として受け止めておきましょう。
1か月で偏差値10上げることはできる?
1か月で偏差値が10上がる人もいますが、誰にでも起きることではありません。偏差値50から60に上がるということは、分布が正規分布に近ければ、真ん中あたりから上位約16%に入ることを意味します。
1,000人が受ける模試なら、500位前後から160位前後へと、およそ340人を追い抜く計算です。短期間で大きく伸びやすいのは、次のような場合です。
- 基本問題の取りこぼしが多く、覚えれば取れる問題が残っている。
- 試験範囲が決まっていて、範囲内の対策が間に合う。
- 前回の模試で、時間切れやケアレスミスによって大きく点を落としていた。
反対に、すでに偏差値60を超えている人がさらに10上げるには、上位層の中で差をつける必要があり、1か月では難しいのが一般的です。また、模試の偏差値は1回ごとにぶれるので、1回の結果で判断せず、数回分の推移を見ましょう。
偏差値60を目指す場合の考え方
偏差値60は上位約16%にあたり、多くの受験生が目標にするラインです。50前後から目指す場合は、基礎の完成と応用問題への対応の両方が必要になります。
そのため、1か月で届かせようとするより、数か月単位の計画で考えた方が焦らずに済みます。偏差値60の高校のレベルや必要な勉強量は、偏差値60の高校のレベルと必要な勉強時間の記事も参考にしてください。
偏差値アップにつながる勉強の進め方
偏差値を効率よく上げるには、失点の原因を知り、基礎の抜けを埋め、解き直しで定着させるという順番が近道です。問題集をやみくもに増やすより、この流れを繰り返す方が点数につながります。
模試の結果から失点の原因を分ける
まず、直近の模試やテストで間違えた問題を見直します。失点の原因は、主に次の4つに分けられます。
- 知らなかった(覚えていない、習っていない)。
- 知っていたのに、本番で思い出せなかった。
- 解き方は分かっていたが、計算ミスや読み間違いをした。
- 時間が足りず、最後まで解けなかった。
原因によって対策は変わります。知らなかった問題は覚え直し、ミスが多いなら見直しの手順を決めます。時間切れが多いなら、解く順番や時間配分を練習しましょう。
基礎の抜けを先に埋める
偏差値が50を下回っているときは、応用問題よりも基礎の抜けを埋める方が点数に直結します。模試でも、教科書の基本を理解していれば解ける問題が一定数出題されるからです。
覚えるときは答えを丸暗記するのではなく、「なぜそうなるのか」を自分の言葉で説明できるかを確かめましょう。基礎固めの具体的な方法や始める時期は、受験勉強の基礎固めの進め方で詳しく紹介しています。
解き直しと復習のサイクルを回す
問題を解いたら、丸つけで終わらせずに、間違えた問題を解き直すところまでを1セットにします。翌日や1週間後など間隔をあけてもう一度解き、何も見ずに正解できたら「できた」と判断しましょう。
間違えた問題を1冊のノートに集めておくと、テスト前に見直す範囲がひと目で分かります。まとめ方は過去問ノートの作り方と解き直しの方法の記事が参考になります。
科目別に見る偏差値アップのポイント
科目によって伸ばし方は違います。ここでは英語・数学・国語の3科目について、優先したいポイントを整理します。
英語は単語と文法から長文へ
英語は、単語と文法の基礎がないと長文が読めず、点数が伸びません。模試や入試では長文を読んで答える問題の割合が大きいことが多いので、単語と文法を固めてから長文の量を増やしましょう。
単語は毎日少しずつ、声に出したり書いたりしながら繰り返し覚えます。文法は例文ごと理解しておくと、長文の中でも使える知識になります。長文では、分からない単語を前後の流れから推測する練習も取り入れてみてください。
数学は典型問題の解き方と計算の正確さ
数学は、公式を覚えるだけでなく、どの問題でどの解き方を使うかを身につけることが大切です。教科書や問題集の典型問題を、解説を見ずに解けるまで繰り返しましょう。
計算ミスで落とす点数も意外と大きいものです。途中式を省かずに書き、見直す時間を残して解く習慣をつけると、取れるはずの点を落としにくくなります。
国語は本文から根拠を探して答える
国語はセンスで決まると思われがちですが、解き方を身につければ点数は安定します。現代文では、答えの根拠を本文から探してから選択肢を選ぶ習慣をつけましょう。
古文は、古文単語と助動詞などの文法を覚えると、文章の大まかな内容がつかめるようになります。記述問題は、模範解答と自分の答えを比べて、足りなかった要素を確認すると上達が早くなります。
1か月・2か月で偏差値を上げたいときの計画
短い期間で結果を出したいときほど、何に時間を使うかを最初に決めることが大切です。次の模試の日から逆算して、週ごとにやることを割り振りましょう。
1か月で取り組む場合
1か月しかない場合は、範囲を広げすぎず、失点の多い単元にしぼります。たとえば次のような配分が考えられます。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 1週目 | 模試やテストを見直し、失点の原因と優先する単元を決める。 |
| 2〜3週目 | 優先する単元の基本問題を、解説を見ずに解けるまで繰り返す。 |
| 4週目 | 過去の模試や問題集を時間を計って解き、解き直しをする。 |
勉強時間は、学校がある日とない日で分けて、無理なく続けられる量を決めましょう。睡眠を削って時間を作ると集中力が落ち、かえって効率が悪くなります。
2か月で取り組む場合
2か月ある場合は、前半を基礎固めと弱点の補強、後半を演習と仕上げに分けるのが基本です。前半の終わりに問題集や過去の模試で理解度を確かめ、後半の計画を調整します。
計画は「月の目標→週の目標→1日のやること」の順に細かくすると、進み具合を管理しやすくなります。使う問題集とページ数まで書き出しておけば、毎日迷わずに取りかかれます。
偏差値が上がらないときに見直したいこと
毎日勉強しているのに偏差値が上がらないときは、勉強のやり方か生活のリズムを見直してみましょう。焦って勉強量だけを増やす前に、次の点を確認してください。
時間の割に点数につながりにくい勉強
- きれいなまとめノートづくりに時間をかけ、問題を解く時間が少ない。
- 教科書や参考書を読むだけで、覚えたかどうかを確かめていない。
- 問題集を次々に買い替え、1冊を最後まで仕上げていない。
どれも勉強した気分にはなりやすいものの、解ける問題はあまり増えません。読んだりまとめたりした後は、必ず問題を解いて確認する時間をとりましょう。
勉強量に対して成績が横ばいになる時期は、誰にでも起こりえます。原因と抜け出し方は、成績が伸び悩むプラトー状態の抜け出し方で詳しく説明しています。
睡眠と気持ちの面も整える
勉強時間を増やしたいときほど、睡眠は削らないようにしましょう。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、中学・高校生は8〜10時間を参考に睡眠時間を確保することが推奨されています。
成績が伸び悩むと、焦りや不安が出てくるのは自然なことです。「昨日間違えた問題が今日は解けた」といった小さな前進を記録すると、勉強を続けやすくなります。
眠れない日が続く、気持ちのつらさが強いといったときは、一人で抱え込まないでください。保護者や学校の先生、スクールカウンセラーに相談しましょう。
まとめ
偏差値アップのポイントを整理します。
- 偏差値はほかの受験者との比較で決まるため、1上げるのにかかる時間に決まった数字はない。
- 失点の原因を分け、基礎の抜けを埋めてから解き直しを繰り返す。
- 1か月・2か月で取り組むなら、優先する単元をしぼり、模試の日から逆算して計画する。
- 睡眠を削らず、結果は数回分の模試の推移で判断する。
今の自分の位置を確かめたうえで、できることから一つずつ積み重ねていきましょう。