受験が近づくほど、「熱っぽいけれど、今日の勉強を休んだら遅れてしまう」と焦るものです。けれども、無理をして長引かせるより、早く治して元のペースに戻るほうが、結果的に勉強時間を確保できます。
この記事では、受験生の体調不良で迷いやすい、勉強を休むか続けるかの判断の目安、症状別の対応、早く回復するための過ごし方をまとめました。共通テストや高校入試の直前に体調を崩したときの、追試験の考え方も紹介します。
体調不良のとき、勉強は休む?続ける?判断の目安
熱がある、横になっていたいほどつらいといった状態なら、勉強は休んで回復を優先しましょう。のどが少し痛い、なんとなくだるい程度なら、頭をあまり使わない軽い勉強に切り替えるのが現実的です。
勉強を休んだほうがいいサイン
次のような状態のときは、机に向かうより体を休めるほうが先です。
- 熱があり、体がだるい。
- 頭痛や吐き気が強く、横になっていたい。
- 立ち上がるのがつらいほど疲れている。
- 文章を読んでも、内容がまったく頭に入ってこない。
この状態で勉強しても内容が残りにくく、回復も遅れがちです。数日の遅れは、治ってからの計画で取り戻せます。熱が出たときの過ごし方は、熱があるときに勉強してもいいかを解説した記事で詳しく紹介しています。
軽い不調なら「頭を使わない勉強」に切り替える
のどが少し痛い、鼻水が出る程度で、起きていても苦にならないなら、短時間の軽い勉強はできます。ポイントは、考える力が必要な問題を避け、見る・聞くだけで進む内容にしぼることです。
- 英単語や古文単語を10語だけ確認する。
- 授業ノートや、前に間違えた問題を10分だけ見直す。
- 社会や理科の用語を、一問一答で確かめる。
- 講義動画や音声教材を、横になったまま聞く。
数学の応用問題や長文読解、過去問を時間を計って解く演習は、体調が戻ってから取り組むほうが力を出せます。「今日はこれだけ」と量を先に決めておき、少しでもつらくなったらやめて休みましょう。風邪をひいたときの勉強の工夫は、風邪のときに勉強してもいいかの判断と対処法も参考にしてください。
症状別に見る、体調不良のときの対応
同じ体調不良でも、症状によって気をつけることが少しずつ違います。どの症状でも、強いときや長引くときは自己判断せず、医療機関に相談してください。
風邪・発熱
熱は、体がウイルスなどと戦っているサインです。熱がある間は勉強より睡眠と水分補給を優先し、部屋を暖かくして休みましょう。熱が下がってもすぐに長時間の勉強に戻らず、1〜2日は早めに寝て様子を見ると、ぶり返しを防ぎやすくなります。
頭痛・めまい
受験期の頭痛は、睡眠不足や目の疲れ、長時間同じ姿勢でいることなどが重なって起こることがあります。軽い頭痛なら、画面や教材から離れて目を閉じ、少し横になるだけで楽になる場合もあります。めまいを伴うとき、頭痛が強いとき、何日も続くときは、早めに医療機関を受診しましょう。
吐き気・腹痛
緊張が続くと、おなかの調子を崩したり、吐き気を感じたりする人は少なくありません。勉強中に吐き気がしたら、いったん手を止めて楽な姿勢で休み、水分を少しずつとりましょう。食事はおかゆやうどんなど消化のよいものにし、脂っこいものや刺激の強いものは控えめにします。吐いたり下痢をしたりして水分がとれないときは、脱水のおそれがあるので早めに受診してください。
眠れない・気持ちが沈む
「布団に入っても考えごとが止まらない」「何もやる気が出ない」といった心の不調も、受験期によくある体調不良です。まずは寝る前のスマホをやめる、起きる時間をそろえるなど、生活リズムを整えることから始めてみてください。家族や先生に気持ちを話すだけで、少し楽になることもあります。つらさが長く続くときは、ひとりで抱えずに相談しましょう。相談先は、このあとの章で紹介します。
早く回復するための過ごし方
体調を崩したら、「早く治すこと」をその日の目標にしましょう。回復の基本は、睡眠・水分・栄養の3つです。
睡眠をいちばんに優先する
回復のためには、まず眠ることが大切です。厚生労働省も、急性呼吸器感染症にかかったときは安静にして、特に睡眠を十分にとるよう呼びかけています。「寝ている時間がもったいない」と感じるかもしれませんが、治ったあとの勉強の効率を考えれば、ここで休むほうが得策です。ふだんの睡眠の整え方は、受験生に必要な睡眠時間の目安をまとめた記事が参考になります。
水分と、食べられるものを少しずつ
熱や下痢があると体の水分が失われやすいので、水やお茶、スープなどでこまめに水分をとりましょう。食欲がないときは、無理に3食をそろえなくてもかまいません。おかゆ、うどん、ゼリー、果物など口に入りやすいものを少しずつ食べ、回復してきたら主食・主菜・野菜のそろった食事に戻していきます。
横になっている間にスマホや動画を見続けると、目が疲れて眠りにくくもなります。休むと決めた時間は、できるだけ画面から離れて過ごしましょう。
医療機関を受診する目安
高熱が続く、呼吸が苦しい、意識の状態がおかしいといったときは、早めに医療機関を受診しましょう。これは、厚生労働省の急性呼吸器感染症(ARI)総合対策に関するQ&Aでも示されている目安です。受験期は、インフルエンザや新型コロナかどうかで、学校を休む期間や受験の扱いが変わることもあります。迷ったら、早めにかかりつけ医に相談しておくと安心です。
保護者の方は、お子さんがインフルエンザと診断されたときの注意点も知っておきましょう。同じQ&Aで厚生労働省は、未成年が自宅で療養する場合、急に走り出すなどの異常行動に備えるよう注意を促しています。治療開始から少なくとも2日間は、お子さんをひとりにしないことが大切です。
受験生の体調不良が続くのはなぜ?崩しやすい理由と相談先
受験期は、睡眠不足、緊張やストレス、冬の乾燥と感染症の流行が重なりやすい時期です。一つひとつは小さくても、重なると体調を崩しやすく、治りにくくもなります。
受験期に重なりやすい4つの要因
- 勉強時間を確保しようとして、睡眠時間を削りがちになる。
- 模試や本番へのプレッシャーで、緊張やストレスが続く。
- 入試の多い冬は空気が乾燥し、インフルエンザなどの感染症も流行しやすい。
- 夜食や欠食で食生活が乱れ、体を動かす機会も減る。
「最近ずっと調子が悪い」と感じるときは、まず睡眠時間と寝る時刻を見直してみてください。勉強の計画に休む時間が入っていないなら、あらかじめ休息を組み込んでおくと、無理が続きにくくなります。
不調が長引くときの相談先
だるさや頭痛、腹痛などが何日も続くときは、原因を確かめるためにも医療機関を受診しましょう。気持ちの落ち込みや不安が強いときは、保健室の先生やスクールカウンセラー、自治体の教育相談窓口に相談できます。夜間や休日に話を聞いてほしいときは、文部科学省の「24時間子供SOSダイヤル」(0120-0-78310)も利用できます。
保護者の方は、お子さんの不調を「気の持ちよう」や「甘え」と決めつけず、まずは話を聞いてあげてください。受験疲れで気持ちが続かないときは、受験に疲れたときの気持ちの立て直し方も読んでみてください。
本番直前・当日に体調を崩したら?
本番の直前や当日に体調を崩しても、無理に受けることだけが選択肢ではありません。共通テストには病気で受けられなかった人のための追試験があり、東京都立高校など公立高校の入試にも追検査を設けているところがあります。
前日は早めに寝て、準備を整える
前日は新しい問題に手を出さず、ふだんより早めに布団に入りましょう。夜遅くまでの詰め込みは睡眠不足につながり、当日の集中力にも響きます。受験票や身分証明書、防寒具、飲み物などは前日のうちにそろえておくと、朝に慌てずにすみます。当日の食事については、試験当日に集中力を保つ食べ物と避けたい習慣で紹介しています。
共通テストは追試験を申請できる
共通テストには、病気やけがで本試験を受けられない人のための追試験があります。大学入試センターの令和9年度試験の案内によると、本試験は2027年1月16日・17日、追試験は1月23日・24日の予定です。対象となる病気には、インフルエンザや新型コロナ、ノロウイルスのほか、風邪も含まれています。
受験案内では、感染症にかかって治っていない場合は受験できないとしています。当日に発熱やせきがあるなど体調が万全でないときも、無理をせず追試験を申請するよう求めています。申請の理由は大学が審査するため、手続きは必ず案内に従いましょう。申請方法は12月上旬に公開される「受験上の注意」に載るので、出願した人は必ず目を通してください。
なお、大学ごとの個別試験で体調を崩したときの扱いは、大学によって違います。志望校の募集要項で、追試験や振替受験の有無を確かめておきましょう。
高校入試の追検査は都道府県ごとに違う
公立高校入試の追検査は、対象や日程、申請方法が都道府県ごとに違います。たとえば東京都の令和9年度都立高校入学者選抜実施要綱では、第一次募集の検査日にインフルエンザなどで受検できなかった人に、追検査を行うと定めています。
東京都の場合、追検査の申請は中学校長を通して行い、1教科でも受検すると対象から外れます。当日の朝に具合が悪いときは、会場に向かう前に中学校へ連絡し、どうするかを相談しましょう。私立高校は学校ごとに対応が違うため、募集要項や学校の案内で事前に確認しておくと安心です。
試験中に具合が悪くなったら
試験の途中で気分が悪くなったら、我慢し続けずに手を挙げて監督者に知らせ、指示に従いましょう。共通テストの受験案内でも、体調不良などでやむを得ず退室したいときは、手を挙げて知らせるよう定めています。おなかの調子が不安な人は、休み時間ごとにトイレを済ませておくと、落ち着いて受けられます。
体調を崩さないために毎日できること
予防の基本は、感染症を持ち込まない工夫と、体の抵抗力を落とさない生活です。厚生労働省は、急性呼吸器感染症の対策として次のような点を挙げています。
- 外出から帰ったら、流水と石けんで手を洗い、うがいをする。
- 加湿器などで、部屋の湿度を50〜60%に保つ。
- ふだんから十分な休養と、バランスのよい食事を心がける。
- 流行している時期は人混みを避け、部屋をこまめに換気する。
インフルエンザの予防接種には、発病をある程度抑え、重症化を防ぐ効果があるとされています。受けるかどうかや時期は、かかりつけ医と相談して決めましょう。
生活面では、毎日できるだけ同じ時刻に起きて寝ることが土台になります。1日10〜15分ほどの散歩やストレッチを取り入れると、気分転換になり、夜も眠りやすくなります。「のどが少しイガイガする」「いつもより疲れやすい」といった小さな変化に気づいたら、その日は早めに寝るなど、早めに手を打ちましょう。
まとめ
受験生の体調不良は、早めに休んで早く治すことが、結果的に勉強時間を守ることにつながります。
- 熱やつらい症状があるときは、勉強より回復を優先する。
- 軽い不調なら、暗記の確認など頭を使わない勉強に切り替える。
- 本番直前に崩したら、追試験(追検査)の条件と申請方法を確かめる。
- 不調が続くときは、医療機関や学校の先生、相談窓口を頼る。
体調を整えることも、受験勉強の一部です。焦りすぎず、自分の体と相談しながら本番に向けて進んでいきましょう。