風邪の時勉強してもいい?脳の働きと休むか続けるかの目安

風邪の時勉強してもいい?脳の働きと休むか続けるかの目安

「テストが近いのに風邪をひいてしまった」「風邪の時勉強しても大丈夫?」と迷っていませんか。風邪の時の勉強は、症状の重さによって「軽めに続ける」か「しっかり休む」かを決めるのが基本です。この記事では、休むか続けるかの目安、風邪のとき脳の働きがどう変わるのか、負担の少ない勉強の進め方、治った後の立て直し方をまとめます。

風邪の時勉強してもいい?答えは症状の重さで変わる

風邪をひいたら必ず勉強を休むべき、というわけではありません。熱がなく頭もはっきりしているなら、量を減らして続けることはできます。一方で、熱が高いときや体がつらいときは、休むことが回復へのいちばんの近道です。

軽めに続けてもよい状態

次のような状態なら、いつもより量を減らして勉強してもかまいません。

  • 熱がない、または平熱より少し高い程度である。
  • 鼻水やのどの違和感はあるが、頭ははっきりしている。
  • 座って教科書を読んでも、つらさが増さない。

体温の目安として、厚生労働省の感染症法に基づく届出基準では、37.5℃以上を「発熱」、38.0℃以上を「高熱」と定めています。これは医師が届け出るための基準ですが、自分の体温を見るときの参考になります。

続けてよい状態でも、「今日はいつもの半分」のように先に量を決めておくと、無理をしすぎずに済みます。同じ行を何度も読んでいる、内容が頭に入ってこないと気づいたら、その日はそこで切り上げましょう。

勉強をやめて休んだほうがよい状態

次のような状態のときは、勉強よりも休むことを優先してください。

  • 38℃以上の熱がある。
  • 頭痛やめまいで、文字を目で追うのがつらい。
  • 体がだるく、起きて座っているのもしんどい。
  • 吐き気や腹痛がある。

こうした状態で机に向かっても、内容はほとんど頭に残りません。熱が出たときの過ごし方は、熱があるときに勉強してもよいかをまとめた記事で詳しく紹介しています。

早めに医療機関に相談したいサイン

熱が何日も下がらない、息苦しい、水分がとれないといった場合は、早めに医療機関に相談してください。周りでインフルエンザや新型コロナウイルス感染症がはやっているときも、自己判断で登校せず、保護者の方と一緒に受診を考えましょう。

風邪のとき脳はどうなっている?頭に入りにくい理由

風邪のときに勉強がはかどらないのは、気合いが足りないからではありません。体がウイルスと戦っているあいだは、脳の働きにも影響が出ることが研究で分かっています。

免疫の働きがだるさや眠気を引き起こす

ウイルスが体に入ると、免疫細胞は「炎症性サイトカイン」と呼ばれる物質を出して体を守ろうとします。この物質は脳にも働きかけ、だるさや眠気、やる気の低下といった変化を引き起こします。

この仕組みは、米イリノイ大学のダンツァー氏らが2008年に発表した総説で整理されています。学術誌「Nature Reviews Neuroscience」に載ったこの総説では、こうした変化を「シックネス・ビヘイビア」と呼んでいます。何もしたくない感じは体の中で起きている変化によるものなので、自分を責める必要はありません。

風邪をひくと反応や覚えるスピードが落ちる

英カーディフ大学のアンドリュー・スミス氏は、2012年に風邪と作業成績の関係を調べた研究を発表しました。18〜30歳の参加者に、健康なときと風邪をひいたときの両方で、同じテストを受けてもらいました。

風邪をひいた48人は、健康なままだった人たちと比べて、頭がすっきりしない感覚が強く、反応も遅くなっていました。新しい情報を覚え込むスピードや、言葉の意味を判断するスピードも落ちていたと報告されています。

注目したいのは、こうした成績の低下が症状の重さとは関係していなかった点です。鼻水くらいだから大丈夫と思っていても、頭の回転はふだんより落ちているかもしれません。対象は中高生ではありませんが、風邪のときは新しいことを覚えにくいと考えておくと、勉強の内容を選びやすくなります。

風邪でも勉強するなら負担の少ない方法を選ぶ

症状が軽く、どうしても勉強したい日は、内容・時間・環境の3つをいつもより軽くするのがコツです。

新しい単元より復習と暗記を選ぶ

先ほどの研究のとおり、風邪のときは新しい情報を取り込むスピードが落ちています。難しい新単元や初めて解く応用問題は、治ってからに回しましょう。代わりに、次のような軽めの勉強が向いています。

  • 授業ノートや教科書を読み返して、すでに習ったところを復習する。
  • 英単語や漢字、年号などを、単語カードや音読で確認する。
  • 一度解いた問題を見直して、解き方を思い出す。
  • 動画授業や音声教材を、横になったまま聞く。

15〜25分ずつ区切って休憩をはさむ

体調が悪いときは集中が続きにくいので、短く区切ったほうが進めやすくなります。25分勉強して5分休む「ポモドーロ・テクニック」を、15分ずつに縮めて使うのも一つの方法です。

また、夜ふかしをして遅れを取り戻そうとするのはやめましょう。眠る時間を削ると、体が回復するための休息が足りなくなってしまいます。

楽な姿勢と水分補給で体の負担を減らす

勉強する環境を少し整えるだけでも、体への負担は軽くなります。

  • 背もたれやクッションを使い、楽な姿勢で取り組む。
  • 部屋が寒すぎたり暑すぎたりしないように調整する。
  • 水やお茶、温かい飲み物を手の届くところに置き、こまめに飲む。
  • 画面を長く見続けず、紙の教材も使って目の疲れを減らす。

風邪で学校を休むか迷ったときの考え方

熱のない風邪で学校を休むかどうかは、本人の体調を見て家庭で判断することになります。ただし、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症のように、休む期間の基準が決められている感染症もあります。

インフルエンザと新型コロナは出席停止の基準がある

学校保健安全法施行規則の第19条では、出席停止の期間の基準が感染症ごとに決められています。インフルエンザは「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日を経過するまで」です。

新型コロナウイルス感染症は「発症した後5日を経過し、かつ、症状が軽快した後1日を経過するまで」とされています。どの病気にかかっているか、いつから登校してよいかは、医師や学校の指示に従ってください。

熱がなくても休んだほうがよい日

せきがひどくて授業に集中できない日や、夜ほとんど眠れなかった日は、1日休んで回復に充てるのも一つの選択です。無理に登校して長引かせるより、早く戻れることがあります。

休む日数が内申や受験にどう関わるかが気になる中学生は、中学の欠席日数が高校受験に与える影響も確認しておくと安心です。

テスト前や受験前こそ回復を優先したい理由

テストが近いと「休んでいる場合じゃない」と焦りますが、こういうときこそ早く治すことを優先しましょう。

風邪のときは新しい内容を覚えるスピードが落ちているため、無理に詰め込んでも元気なときほどは進みません。さらに、無理をして風邪が長引けば、テスト当日まで体調が戻らないおそれもあります。

しっかり休んで体調を戻してから集中して取り組むほうが、トータルで使える時間は多くなりやすいのです。定期テスト直前の動き方は、定期テスト前に体調を崩したときの対処法で紹介しています。

受験生の場合は、受験生が体調不良になったときの判断基準と回復法もあわせて読んでみてください。

治った後の勉強計画の立て直し方

風邪が治ったら、遅れを一気に取り戻そうとせず、数日かけて少しずつペースを戻しましょう。病み上がりに詰め込みすぎると、また体調を崩すきっかけになります。

遅れを取り戻す4つのステップ

  1. 休んだ日数と、遅れている科目や範囲を紙に書き出します。やることが見えるだけで、焦りはかなり小さくなります。
  2. 「テストや提出物までに必ずやること」と「余裕があればやること」に分けます。締め切りが近いものから手をつけましょう。
  3. 治ってすぐの数日は、いつもより少ない量から始めます。体が慣れてきたら、元の量に戻していきます。
  4. 休んだ日の授業内容は、友達にノートを見せてもらったり先生に質問したりして、早めに埋めておきます。

すべてを完璧に取り戻そうとしなくても大丈夫です。優先度の低いものは思い切って後回しにして、今できることに集中しましょう。

睡眠を削らないことが次の風邪を防ぐ

遅れを取り戻そうとして睡眠を削るのは逆効果です。米カリフォルニア大学サンフランシスコ校などの研究チームは、2015年に学術誌「Sleep」で睡眠と風邪のひきやすさの関係を発表しました。

この研究では、18〜55歳の164人の睡眠時間を1週間測ったあと、風邪のウイルスを含む液を鼻に入れて発症するかを調べています。その結果、睡眠が1晩6時間未満の人は、7時間を超える人に比べて、風邪の発症しやすさ(オッズ比)が4倍を超えていました。

対象は大人ですが、睡眠をしっかりとることは、勉強のペースを保つうえでも大切です。受験期の睡眠時間の考え方は、受験生に必要な睡眠時間と睡眠のとり方で解説しています。

まとめ

風邪の時の勉強で大切なポイントを振り返ります。

  • 熱がなく頭がはっきりしていれば、量を減らして復習や暗記を中心に続けてよい。
  • 38℃以上の熱や強いだるさがあるときは、勉強より休むことを優先する。
  • 風邪のときは脳の働きも落ちやすいので、新しい単元は治ってから取り組む。
  • 治った後は、優先順位をつけて少しずつペースを戻す。

休むことはサボることではありません。体を先に治すことが、結果的にいちばん早く勉強に戻る方法です。