「英検準1級を持っている高校生って、周りにどのくらいいるの?」「進学校に通う生徒の多くが持っているの?」と気になっている方は多いのではないでしょうか。英検準1級は大学受験でも非常に有利に働く資格ですが、実際に取得している高校生の数は思っているよりずっと少ないのが現実です。この記事では、英検準1級の全国的な保有率データから、北野高校をはじめとする進学校での英語力の実態、さらに発達障害のある生徒と英検の関係まで、幅広くお伝えします。

英検準1級を持っている高校生はどのくらいいるのか

英検準1級の保有率を「合格率」だけで判断すると、実態を大きく誤解してしまいます。ここでは、正確な保有率の意味と全国データを確認していきましょう。

英検準1級の保有者数データ

独自試算によると、英検準1級の高校生の保有率はわずか約0.2〜0.3%程度とされており、全国の高校生約330万人のうち年間で合格するのは約6,000人前後という計算になります。これは早稲田大学と慶應義塾大学の合計入学者数(2023年度で約18,900人)を大きく下回る希少な数字です。また、英検協会の公表データによれば、高校生の準1級受験者数は年間12,000人程度で、英検2級受験者(約84,000人)の7分の1にすぎません。高校生の年間合格者を受験者数と合格率から推計すると、1年間に約1万人が準1級を取得するとも言われています。実際のところ、「毎回の試験で合格するすべての高校生の累計」と「現時点で保有している高校生の総数」は異なるため、こうした推計には幅があります。

高校生全体での英検準1級の位置づけ

英検準1級の高校生取得率は公立高校生に限ると約0.14%という調査もあります。つまり、1,000人の高校生のうち1〜2人しか持っていない計算になります。英検2級の合格率が約25%であるのに対し、準1級の合格率は約15%前後で推移しており、見かけ上は「5〜6人に1人が合格する試験」に見えます。しかし大切なのは「受験者の合格率」ではなく「全高校生の中に占める保有者の割合」である保有率です。準1級を受験すること自体が英語上位層に限られているため、合格率の数字を保有率と混同しないよう注意が必要です。

進学校での英検準1級取得率はどのくらいか

全国平均では0.2%程度の保有率も、進学校になると大きく様相が変わります。英語学習に力を入れている学校では、準1級保有者が周囲に複数いるというのが現実です。

北野高校など難関校の英語力の実態

大阪府のトップ進学校として知られる北野高校では、2023年春入試で志願者の約95%が英検などの英語資格を利用しています。大阪府の公立高校入試では、英検準1級の取得者には英語の得点が100%保証される制度があり(英検2級は80%保証)、北野高校や天王寺高校、茨木高校のような最難関校を目指す生徒にとって準1級取得は大きなアドバンテージになります。英語塾の独自調査によると、英検を持たない場合、北野高校の合格者でも当日の英語Cで60点台にとどまるケースがあるといい、準1級による100%保証はそれを遥かに上回る強力なメリットです。なお、北野高校の入試では「在籍生の英検準1級取得率」は公式に公開されていませんが、英語に力を入れている進学校全般では、クラスに数人以上の準1級保有者がいることは珍しくありません。

進学校に通う生徒が英検準1級を目指す理由

進学校の生徒が英検準1級を目指すのは、大学受験や高校入試での優遇措置があるからだけではありません。国際系学部・外国語学部への進学、総合型選抜・学校推薦型選抜での評価、さらに留学準備など、将来を見据えた英語力の証明として機能しているのが大きな理由です。また、難関大学の入試レベルに匹敵する準1級の英語力を身につけることで、受験英語全般への自信にもつながります。進学校では「英検2級は最低条件、準1級を持ってこそ差別化できる」という意識が広まっており、低学年から計画的に準1級を目標に設定する生徒も増えています。

英検準1級の難易度と求められる英語力

英検準1級が「高校生の0.2%しか持っていない」理由は、その難易度の高さにあります。合格に向けて何が求められるのか、具体的に見てみましょう。

英検準1級に合格するために必要な語彙・スコア

英検準1級のレベルは大学中級程度とされており、「社会生活で求められる英語を十分理解し、使用できる」水準と定義されています。合格には約7,500〜9,000語の語彙力が必要で、英検2級(5,000〜6,000語)と比べると2,500〜4,000語もの単語を新たに習得しなければなりません。英検CSEスコアでの合格ラインは2,304点(3,000点満点)とされています。また、国際的な英語力指標であるCEFRではB2レベルに相当し、「自立した言語使用者」として認定されます。難関大学の入試問題に匹敵するレベルと言われており、日常会話レベルを超えた社会的・学術的な語彙や文章読解力が問われます。

英検1級・2級との比較

英検の各級を難易度で整理すると、2級が「高校卒業程度(CEFR B1)」、準1級が「大学中級程度(CEFR B2)」、そして1級が「大学上級程度(CEFR C1)」に相当します。準1級から1級になると、さらに3,000〜4,000語の語彙増強が必要になるため、一段と高いハードルが存在します。1級の受験者数は高校生では年間約1,160人にとどまっており、準1級(約12,000人)と比べると10分の1以下です。これらの数字が示すように、英検2級と準1級の間には「合格者数の壁」が存在し、2級から準1級への道のりは英語学習において特に大きなステップアップを意味しています。

発達障害と英検準1級の関係

「発達障害があるのに英検準1級を取得した」「英語だけは得意」という話を聞いたことはありませんか?これには理由があります。

発達障害があっても英検準1級を取得できるのか

結論から言えば、発達障害があっても英検準1級の取得は十分に可能です。特に自閉スペクトラム症(ASD)の傾向がある方の中には、言語の規則性や構造への強い関心、長期記憶の高さ、繰り返し学習への耐性といった特性が英語学習に有利に働くケースが多く報告されています。ADHDの特性を持つ方も、興味のある分野に対して過集中が起きやすく、英語学習に火がついた場合に爆発的な成長を見せることがあります。また、日本語のコミュニケーションでは「空気を読む」「察する」ことが高いレベルで求められますが、英語はより明示的・論理的な表現が中心であるため、ASD傾向の方が「英語の方が話しやすい」と感じるケースも珍しくありません。もちろん個人差は大きく、発達障害があれば英語が得意になるというわけではありませんが、特性によっては英語力を強みとして伸ばせる可能性があります。

英検の配慮申請制度について

英検では、発達障害や身体障害など特別な事情がある受験者を対象に配慮申請制度が設けられています。具体的には、試験時間の延長、別室受験、問題用紙の拡大印刷、試験官による補助などのサポートを受けることが可能です。配慮の内容は障害の種類や程度によって異なり、申請には医師の診断書などが必要になるケースがあります。準備を整えた上で英検協会の公式サイトから申請手続きを行いましょう。困難があるからこそサポートを活用し、自分の強みを活かして挑戦することが大切です。

英検準1級を高校生が取得するメリット

英検準1級を高校生のうちに取得することで得られる恩恵は、大学受験を大きく超えた範囲に広がっています。具体的にどんなメリットがあるか確認しましょう。

大学受験・推薦入試での活用

英検準1級は、多くの大学の一般入試・推薦入試において評価の対象となっています。英語の試験が免除・加点される制度や、出願資格として認められるケースも増えており、特に総合型選抜(旧AO入試)・学校推薦型選抜では大きなアピールポイントになります。英語外部試験を積極的に活用する大学では、CEFR B2相当の準1級取得者に対して英語得点の上乗せや、英語試験の免除が認められることがあります。また、大阪府のように公立高校入試で英検準1級取得者に英語100%保証という制度を設けている都道府県もあり、中学生が準1級を目指す動機にもなっています。

英検準1級が評価される大学・学部

英検準1級の優遇措置を設けている代表的な学部・系統は、外国語学部、国際系学部、教育学部(英語専攻)などです。早稲田大学・慶應義塾大学・上智大学をはじめ、多くの難関私立大学で英語外部試験のスコアを出願条件や加点材料として活用しています。国公立大学でも共通テストとの組み合わせで外部試験スコアを参照する形式を採っている学校があります。また、英語を活かして進路を考えたい場合、英検準1級の取得は「4技能すべてに対応できる英語力の証明」として、就職活動の場面でも評価されます。在学中に取得すれば、英語を武器に幅広いキャリアを切り開く第一歩になるでしょう。