「赤点を何個取ったら留年になるの?」「休みが増えてきたけれど、進級できる?」と不安になっている高校生や保護者の方もいるでしょう。高校の留年は、赤点の数だけで自動的に決まるものではありません。単位の認定と出席の状況をもとに、学校が判断します。
この記事では、留年が決まる仕組みと「赤点何個で留年か」の考え方、留年を避けるためにできること、決まった後の選択肢を順に説明します。
高校の留年とは?中学校までとの違い
留年は正式には「原級留置(げんきゅうりゅうち)」といい、同じ学年をもう一度学ぶことを指します。
高校は、科目ごとに「単位」を積み上げていく仕組みです。卒業するには74単位以上を修得する必要があり(学校教育法施行規則第96条)、1単位は50分の授業35回分が標準とされています。
単位は、授業に出たうえで、成績で一定の成果が認められてはじめて修得できます。学年ごとの進級も、校長が日ごろの成績を評価して認める決まりです(同規則第104条で準用する第57条)。そのため高校では、出席や成績の状況によって進級できないことが実際に起こります。
留年する高校生はどのくらいいる?
文部科学省の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の令和6年度の結果を見てみましょう。2025年3月末の時点で進級や卒業が認められなかった高校生は、全国で8,741人でした。在籍者に占める割合は約0.3%です。
課程・学科別に見ると、次のようになっています。
- 全日制の普通科は3,108人で、在籍者の約0.1%です。
- 全日制の専門学科は1,196人、総合学科は401人でした。
- 定時制は1,096人で、在籍者の約1.5%です。
- 通信制は2,940人で、在籍者の約1.0%です。
学年制の学校では1年生が2,643人と、2年生(1,776人)や3年生(452人)より多くなっています。割合は小さいものの、入学した年から進級の仕組みを知っておくと安心です。
高校で留年する条件は「単位」と「出席」の2つ
進級できるかどうかは、主に次の2点で決まります。
- 科目ごとの単位が認められたか。
- 出席が学校の基準を満たしているか。
単位を落とすと進級が危うくなる
単位の認定は、先生の日ごろの評価をもとに、最終的に校長が行います。認定の時期は、通常は年度末です。
評価には定期テストの点数だけでなく、提出物や小テスト、授業への取り組みも使われます。学年末の成績が学校の基準に届かないと、その科目の単位は「未修得」になります。
欠課時数が上限を超えると単位を落とす
出席は、学校に来た日数だけで見られるわけではありません。多くの高校では、科目ごとに授業を休んだ時間数(欠課時数)も数えていて、上限を超えるとその科目の単位が認められません。
上限の割合は学校の規程で決まっています。生徒手帳や年度初めに配られる資料で確認しておきましょう。
特に注意したいのは、週に1〜2回しかない科目です。同じ曜日や時間帯に休みが重なると、その科目だけ上限に近づくことがあります。学校によっては、遅刻や早退が重なると欠課として数える決まりもあります。
欠席が増えたときの影響は、高校の出席日数が足りないときの進級・受験への影響で詳しく解説しています。
成績と出席の不安が重なる科目は最優先で対策を
成績が振るわず欠課も多い科目は、単位を落とす可能性が最も高い科目です。こうした科目があれば、ほかの科目より先に手を打ちましょう。
赤点は何個で留年になる?基準は学校ごとに違う
「赤点が◯個で留年」という全国共通の基準はありません。何科目の単位を落とすと進級できないかは、学校ごとの規程で決まっています。
赤点を1回取っただけで留年が決まるわけではない
単位を認めるかどうかは、1回のテストではなく学年末の成績で判断されます。そのため、途中で赤点を取っても、追試や補習、課題で挽回できる場合があります。
文部科学省の高等学校学習指導要領解説(総則編)は、学年制を厳しく運用すると、1科目の未修得でも留年になってしまうと指摘しています。そのうえで、一律に留年とせず、柔軟に運用するよう学校に求めています。
例として挙げられているのは、未修得の単位が一定の範囲内なら、補充指導や追試験で修得することを条件に進級を認める方法です。ただし、実際にどこまで認めるかは学校ごとに違います。
「赤点何個で留年」の基準は学校の規程で決まる
基準の一例として、私立の玉川学園(中学部・高等部)は公式サイトのQ&Aで次のように公表しています。
- 学年評価で「1」または「F」が3科目以上ある場合は進級できない。
- 2科目以内でも、同じ科目で2年続けて「1」または「F」になった場合は進級できない。
進級の判定は単位にもとづくため、気にするべきなのは定期テストの赤点の数より、学年末に単位を落としそうな科目の数です。自分の学校の基準は、生徒手帳や学校の規程で確認できます。分からなければ、担任の先生に聞いてみましょう。
なお、3年生で必要な単位が足りないと、卒業が認められません。その場合は、もう1年3年生として学ぶことになります。
赤点(欠点)の点数も学校が決めている
赤点は「欠点」とも呼ばれ、何点未満を赤点とするかも学校ごとに決まっています。決まった点数で線を引く学校もあれば、平均点をもとに決める学校もあります。
基準の決め方や赤点を取った後の流れは、高校の赤点は何点からかと、取ったときの対処法で詳しくまとめています。
公立と私立で基準は違う?
公立か私立かで、留年の基準が一律に分かれるわけではありません。単位の認定や進級の判定は、法令と学習指導要領をもとに、どちらも最終的には各校の校長が行います。
同じ公立高校どうしでも基準は違います。友だちの学校の話は参考程度にとどめ、自分の学校のルールを確かめましょう。
留年はいつ決まる?事前に出るサイン
成績による留年は、学年末(3月ごろ)の進級判定で正式に決まるのが一般的です。ただし欠課時数が上限を超えた場合は、年度の途中で、その科目の単位が取れないと分かることもあります。
次のような状況があれば、留年の可能性を意識して動き始めましょう。
- 同じ科目で、定期テストの赤点が続いている。
- 追試や補習、課題の提出を求められている。
- 特定の曜日や時間帯の欠席・遅刻が増えている。
- 担任や教科の先生から、成績や出席について個別に話があった。
- 学校から保護者に面談の連絡が来た。
先生から声をかけられた時点で動き始めれば、それだけ使える手段が多く残ります。学年末になってから慌てないよう、早めに状況を確認しておきましょう。
留年を避けるためにできること
基本は、今の状況を正確に知り、学校が用意している挽回の機会を逃さないことです。
追試・補習・課題には必ず取り組む
赤点を取った科目に追試や補習、課題があるなら、最優先で取り組みましょう。単位を認めてもらうための大切な機会なので、欠席や未提出は評価に直接響きます。
追試の範囲や形式は先生に確認し、間違えた問題の解き直しから始めると効率的です。短い期間で最低限の点を取る進め方は、テスト勉強が間に合わないときの最低限の対策も参考になります。
科目ごとの欠課時数を自分で数えておく
欠課時数は、自分でも記録しておくと安心です。手帳やスマホのメモに、科目ごとに休んだ時間数を書いておきましょう。上限まであと何時間かが分かれば、休み方を考えられます。
年度の途中で上限が近いと分かったら、担任の先生に相談し、どんな対応ができるかを確認しましょう。体調や気持ちの不調で休みが続くときは、無理をせず、担任やスクールカウンセラーに相談してください。症状が続く場合は、医療機関に相談することも大切です。
早めに担任・教科の先生に相談する
留年が心配になったら、一人で抱え込まずに先生へ相談しましょう。どの科目が危ないのか、何をすれば単位が認められるのかを具体的に聞くと、やるべきことがはっきりします。
授業についていけず成績が下がり続けているなら、勉強のやり方そのものを見直す時期かもしれません。進学校で落ちこぼれたと感じたときの原因と立て直し方では、つまずきの原因ごとに対処法を紹介しています。
保護者ができるサポート
お子さんが赤点を取っても、それだけで留年が決まるわけではありません。まずは責めずに、どの科目がどんな状況なのかを一緒に確認しましょう。
欠席が増えている、学校から成績の連絡があったという場合は、早めに担任との面談を申し込むのがおすすめです。学校と家庭で情報をそろえておくと、お子さんに合った手立てを選びやすくなります。勉強のやり方が分からない様子なら、学習塾や家庭教師など外部のサポートを検討するのもひとつの方法です。
留年が決まったときの選択肢
留年が決まっても、それで将来が決まるわけではありません。考えられる道はいくつかあります。
同じ学校で同じ学年をやり直す
いまの学校に残り、同じ学年をもう一度学ぶ方法です。転校の手続きが要らず、慣れた環境で学び直せます。
一方で、年下の生徒と同じクラスになるため、気まずさを感じることもあるでしょう。留年の原因が欠席なら、翌年に同じことが起きないよう、原因への手当てを先に考えておくことが大切です。
通信制・定時制などへ転校する
全日制の生活が合わないと感じるなら、通信制や定時制の高校へ移る方法もあります。高校で修得した単位は、全日制・定時制・通信制のどの課程でも共通して有効です。転校の際は、それまでに修得した単位に応じた学年に転入できる仕組みがあります。
単位制をとる高校では、学年による区分を設けないため(学校教育法施行規則第103条)、学年ごとの進級判定がありません。自分のペースで単位を積み上げやすい反面、自分で学習を進める力が求められます。定時制には、夜間だけでなく昼間に授業を行う学校もあります。
転校先を選ぶときは、単位制か学年制か、通学の頻度や学び方、費用を説明会などで確認しましょう。学校選びの考え方は、高校選びに失敗したと感じたときの立て直し方も参考になります。
気持ちの整理は一人で抱え込まない
留年が決まると、落ち込んだり自分を責めたりするのは自然なことです。けれども、留年はその人の能力や将来を決めるものではありません。
なぜ単位を落としたのかを振り返り、次の1年の過ごし方を考えていきましょう。つらい気持ちが続くときは、家族や信頼できる人、スクールカウンセラーに話してみてください。
まとめ
- 高校の留年は、テストの赤点の数そのものではなく、学年末に認められた単位と出席の状況で決まる。
- 「何個で留年」の基準は学校ごとに違うため、生徒手帳や担任の先生に確認する。
- 追試・補習・課題への取り組みと、科目ごとの欠課時数の管理が留年を避ける基本になる。
- 留年が決まっても、同じ学校でやり直す、転校するなど道は一つではない。
不安を感じたときほど、早めに学校へ相談することが、状況を好転させるいちばんの近道です。