内申点の出し方と計算方法|素内申・換算内申と都道府県ごとの違い

内申点の出し方と計算方法|素内申・換算内申と都道府県ごとの違い

「内申点ってどうやって計算するの?」「テストの点数だけで決まるの?」と気になっている中学生や保護者の方は多いと思います。内申点は、通知表の評定をもとに高校入試で使われる大切な点数です。

この記事では、内申点の出し方の基本、都道府県ごとの計算方法の違い、評定の決まり方を順に説明します。最後に、内申点を上げるために今日からできることも紹介します。

内申点とは?中学校から高校へ伝わる成績の点数です

内申点とは、中学校が作る調査書(内申書)に書かれた成績を、入試のために点数にしたものです。多くの公立高校の一般入試では、当日の学力検査の点数と合わせて合否の判定に使われます。

通知表の評定と内申点の関係

通知表には、各教科の成績が1〜5の5段階の「評定」で書かれています。調査書の評定も同じ成績をもとにしているため、通常は通知表の評定とそろっています。

ただし、どの時点の成績を調査書に書くかは都道府県ごとに決まっています。たとえば東京都立高校の入試では、中3の12月31日時点の評定が使われます。

調査書(内申書)に書かれること

「内申書」は調査書の通称で、どちらも同じ書類を指します。調査書の中心は9教科の評定で、地域によっては出欠の記録や特別活動の記録などを書く欄もあります。

何を書くかは都道府県によって違い、埼玉県のように2027年春の入試から記載内容を絞る県もあります。調査書の役割や記載内容は、調査書と内申書の違いや記載内容をまとめた記事で詳しく説明しています。

内申点の出し方の基本は9教科の評定の合計

内申点のもっとも基本的な出し方は、9教科の評定(1〜5)をすべて足すことです。この合計は「素内申」と呼ばれ、満点は5×9=45点です。

対象になる9教科

対象は、国語・数学・英語・理科・社会の5教科と、音楽・美術・保健体育・技術家庭の実技4教科です。実技4教科は「副教科」と呼ばれることもありますが、内申点では5教科と同じ1教科として数えます。

素内申の計算例

よくある成績のパターンで、素内申を計算してみましょう。

  • オール3なら、3×9=27点です。
  • 5教科が4で実技4教科が3なら、4×5+3×4=32点です。
  • オール4なら、4×9=36点です。
  • オール5なら、5×9=45点で満点です。

内申点の平均や学年ごとの目安は、中学の内申点の平均と高校受験で必要な目安で紹介しています。オール3で目指せる高校のレベルが気になる方は、通知表オール3の偏差値と行ける高校の目安も参考にしてください。

素内申と換算内申の違い

実際の入試では、素内申をそのまま使うとは限りません。実技教科や中3の成績に倍率をかけたり、複数の学年の合計を足したりして計算し直す地域が多くあります。

こうして入試用に計算し直した点数を「換算内申」と呼びます。換算の仕方は都道府県ごとに違うため、次の章で代表的な例を紹介します。

都道府県で違う内申点の計算方法(換算内申)

換算内申の計算方法は、都道府県によって大きく違います。違いが出るのは、主に「どの学年の成績を使うか」と「どの教科や学年に倍率をかけるか」の2点です。

2027年春に行われる公立高校入試(一般入試・共通選抜)の計算方法を、代表的な地域について表にまとめました。

都道府県使う学年満点計算のしかた
東京都中365点(300点に換算)5教科の合計に、実技4教科の合計を2倍して足す。
神奈川県中2・中3135点中2の合計に、中3の合計を2倍して足す。
埼玉県中1〜中3135〜225点(200〜400点に換算)学年の比率を1:1:1、1:1:2、1:1:3から高校ごとに選ぶ。
大阪府中1〜中3450点中1と中2の合計を各2倍、中3の合計を6倍して足す。
愛知県中390点9教科の合計を2倍する。

表は、2026年9月時点で各教育委員会などが公表している内容をもとにまとめたものです。制度は年度ごとに見直されることがあるため、受験する年度の実施要綱で必ず確認してください。

東京都は実技4教科の評定が2倍になる

東京都立高校の一般入試では、5教科の評定はそのまま、実技4教科の評定は2倍にして合計します。満点は65点で、これを300点満点の「調査書点」に換算します。

たとえばオール3の場合、5教科は3×5=15点、実技4教科は3×4×2=24点で、換算内申は39点です。調査書点は39÷65×300=180点になります。

実技教科の評定が1上がると換算内申は2点上がります。そのため東京都では、実技4教科の成績が合否に大きく響きます。

神奈川県・埼玉県・大阪府は中1や中2の成績も使う

神奈川県の共通選抜では、中2と中3の評定を使い、中3の合計を2倍にして135点満点にします。埼玉県や大阪府、千葉県などは、中1から中3までの3年分の評定を使います。

埼玉県では2027年春の入試から制度が変わり、共通選抜では学年の比率を3種類から高校が選ぶ形になりました。あわせて、すべての受検生に面接が行われ、自己評価資料の提出も求められます。詳しくは埼玉県教育委員会の「令和9年度入試についてのQ&A」で確認できます。

こうした地域では、中1・中2の成績もそのまま入試の点数に入ります。「中3から頑張れば間に合う」とは言い切れないので、早い学年から定期テストや提出物に取り組むことが大切です。

中3の成績だけを使う地域もある

東京都や愛知県のように、中3の評定だけを使う地域もあります。ただし、中3の成績は中1・中2で身につけた基礎の上に成り立つものです。それまでの学習が無関係というわけではありません。

内申点と当日の学力検査はどちらが大事?

どちらが大事かは、受験する地域と高校によって変わります。内申点と学力検査の点数をどんな比率で合わせるかが、地域や高校ごとに違うためです。

東京都立高校は学力検査7対調査書3が基本

東京都立高校の一般入試では、学力検査700点と調査書点300点を合わせた1,000点満点が基本です。これに英語スピーキングテスト(ESAT-J)の結果20点が加わり、1,020点満点で判定されます。

一部の高校では、7対3と10対0の両方で得点を出し、高い方を本人の得点にする方法も取り入れています。東京都教育委員会の令和9年度入学者選抜実施要綱では、この方法を行う高校が新たに2校増えることが示されました。

神奈川県は高校ごとに比率が違う

神奈川県の共通選抜では、調査書と学力検査の比率を高校ごとに決めています。それぞれ2以上で合計10になるように設定されるため、内申点を重く見る高校もあれば、当日点を重く見る高校もあります。

内申点が思うように取れていなくても、当日点の比重が大きい高校なら挽回の余地は広がります。志望校の比率を確かめたうえで、勉強の力の入れ方を決めましょう。

私立高校の推薦や併願優遇でも内申点が使われる

私立高校の推薦入試や併願優遇では、「内申点がいくつ以上」という出願の目安を設けている学校があります。基準に届くかどうかで受けられる入試が変わるため、公立志望の人にとっても内申点は大切です。

併願優遇の仕組みや単願との違いは、単願と併願の違いと併願優遇の仕組みでまとめています。

評定(1〜5)はどう決まる?3つの観点で評価されます

評定は、定期テストの点数だけで決まるものではありません。中学校では各教科を3つの観点で評価し、その結果をまとめて5段階の評定をつけています。

3つの観点と主な評価の材料

  • 知識・技能は、定期テストや小テスト、実技テストなどで評価されます。
  • 思考・判断・表現は、記述問題やレポート、発表、作品などで評価されます。
  • 主体的に学習に取り組む態度は、課題への取り組み方や学習の振り返りなどで評価されます。

各観点はA・B・Cの3段階で評価されます。評定の「5」は、十分満足できるもののうち、特に程度が高いと判断された場合につけられます。

3観点がすべてAでも、必ず5になるとは限りません。観点の評価を評定にまとめるときの細かな基準は、学校ごとに決められています。

「主体的に学習に取り組む態度」は挙手の回数では決まらない

「授業中にたくさん手を挙げれば評価が上がる」と聞いたことがあるかもしれません。しかし、中央教育審議会が2019年にまとめた「児童生徒の学習評価の在り方について(報告)」は、この考え方をとっていません。

報告では、挙手の回数やノートの取り方のような形式的な活動ではなく、学習への向き合い方を見るとしています。具体的には、粘り強く取り組もうとしているかと、自分の学習を調整しようとしているかの2つです。

たとえば、テストの間違いを見直して次の勉強のやり方を変える、といった姿勢がこれに当たります。

テストの点が良いのに評定が上がらないとき

定期テストの点が高くても、提出物が出ていなかったり、作品やレポートが未完成だったりすると、ほかの観点の評価が下がります。その結果、評定が思ったほど伸びないことがあります。

理由がわからないときは、「何を直せば評価が上がりますか」と担当の先生に聞いてみるのが近道です。

内申点を上げるために今日からできること

内申点を上げるには、3つの観点すべてで評価の材料をきちんとそろえることが大切です。特別なことをするより、毎回のテストと提出物を丁寧に積み重ねる方が結果につながります。

定期テストは範囲が出たらすぐに計画を立てる

定期テストは「知識・技能」と「思考・判断・表現」の両方の評価に使われます。範囲が発表されたら、教科ごとにワークを何周するかを決めて、計画的に進めましょう。

評定5を目指すための具体的なコツは、中学校の通知表で5を取る方法でも紹介しています。

提出物は期限を守り、振り返りを具体的に書く

提出物は、期限内に出すことが基本です。ワークの丸つけや間違い直しまで終えておくと、どう学んだかが先生に伝わりやすくなります。

授業の振り返りシートがある場合は、「楽しかった」だけで終わらせないようにしましょう。わかったことと、次に気をつけることを書くと、自分の学習を調整する姿勢が伝わります。

実技4教科も5教科と同じように準備する

実技教科では、実技そのものに加えて、ペーパーテストやレポート、作品も評価の材料になります。運動や歌が苦手でも、知識を問うテストで点を取ったり、作品を丁寧に仕上げたりすることで評価を補えます。

東京都のように実技4教科を2倍にする地域では、実技の評定が1上がるだけで換算内申が2点上がります。テスト前には、実技教科の復習時間も確保しておきましょう。

保護者ができるサポート

保護者の方は、お子さんと提出物の期限を一緒に確認したり、テスト前の予定を整理したりするだけでも十分な手助けになります。

評定が下がったときは責めるのではなく、どの観点で伸び悩んだのかを一緒に振り返ってみてください。原因がわかれば、次の学期に向けて何をすればよいかが見えてきます。

まとめ

  • 内申点の基本は9教科の評定の合計で、素内申は45点満点です。
  • 入試では、学年や教科に倍率をかけた換算内申が使われることが多くあります。
  • 計算方法や学力検査との比率は、都道府県や高校ごとに違います。
  • 評定は3つの観点で決まるので、テストと提出物、振り返りの積み重ねが大切です。

まずは受験する地域の実施要綱で計算方法を確かめ、今の自分の内申点を計算してみることから始めてみてください。