「英検準1級は最近難しくなったって本当?」そんな疑問を持っている方は多いのではないでしょうか。2024年度の大幅リニューアル以降、受験者の間では「難化した」という声も「思ったより変わらない」という意見も飛び交っています。
この記事では、リニューアル前後の変更点を具体的に整理しながら、難化・易化それぞれの見方を客観的に解説します。「今の準1級はどれくらい難しいのか」をしっかり把握して、効果的な対策につなげていきましょう。
2024年リニューアルで何が変わったのか
英検準1級は、2024年度第1回検定より大幅にリニューアルされました。変化の内容を正確に把握することが、難化・易化を判断する第一歩です。主な変更点は一次試験と二次試験の両方に及んでいます。
ライティングに要約問題が追加された
最も大きな変化は、ライティング問題が1題から2題になった点です。従来から出題されていた「意見論述問題(エッセイ)」に加え、200語程度の英文を60〜70語に要約する「要約問題」が新設されました。
要約問題は「内容・構成・語彙・文法」の4観点で採点され、16点満点が与えられます。元の文章の表現をそのまま使わず、自分の言葉で言い換えることが求められるため、単なる英作文力だけでなく、読解力と言語運用力が同時に試されます。
なお、2025年度第1回からは「Summarize it between 90 and 110 words.(90〜110語でまとめなさい)」という形式に変更され、語数が目安から厳格な指定になっています。
リーディングの問題数が減った
ライティングの増加に伴う試験時間の調整として、リーディングの設問数が41問から31問へと10問削減されました。試験時間自体は変わっていないため、1問あたりにかけられる時間は増えています。ただし、削減されたのは問題数であり、難易度そのものが下がったわけではありません。
二次試験(スピーキング)に話題導入文が追加された
準1級の二次試験(面接)では、受験者自身の意見を問うNo.4の質問文に「話題導入文」が追加されました。話題導入文とは、質問テーマの背景を説明する1〜2文のことで、受験者が質問の意図をつかみやすくなるよう配慮されたものです。
答え方自体には変更がなく、従来どおり30〜35語程度で意見を述べる形式が維持されています。
「難化した」と言える理由
リニューアルの内容を踏まえると、準1級が「難しくなった」と感じる受験者が多いのには、明確な理由があります。
ライティングの負担が実質的に増加した
最大の難化ポイントは、ライティングのボリュームが増えたことです。以前は意見論述1題だけだったものが、要約問題が加わって2題になりました。
試験時間は変わっていないため、制限時間内に2種類の異なるライティングタスクをこなさなければなりません。要約問題に慣れていない受験者は、時間配分に苦戦することも多く、試験全体としての処理負荷が増した点は難化と評価して差し支えないでしょう。
要約問題は対策しにくい新形式だった
意見論述問題であれば、過去問をもとにある程度テンプレートを組み立てることができます。一方、要約問題は「英文を読んで把握し、自分の言葉で短くまとめる」という複合的なスキルが求められるため、従来の勉強法だけでは対応しにくい面があります。
初めて要約問題が出題された2024年度第1回は、対策書籍も過去問もほとんど存在しなかったため、多くの受験者が手探りで本番に臨むことになりました。これは実質的な難化要因のひとつといえます。
ライティングの配点が大きい
一次試験では、リーディング・リスニング・ライティングにそれぞれCSEスコア850点が割り当てられています。つまりライティングは、試験全体の3分の1を占める高配点のセクションです。そこに難易度の高い要約問題が追加されたことで、ライティングの対策が合否をより左右しやすくなったといえます。
「難化していない」「易化した」という見方もある
一方で、試験全体の難易度が大きく上がったわけではないと考える意見も根拠があります。合格基準スコアの変化にも注目する必要があります。
合格基準スコアは変わっていない
日本英語検定協会は、2024年リニューアルにあたって「合格基準スコア(英検CSEスコア)に変更はなく、資格としての価値に変わりはない」と公式に明記しています。
準1級の一次試験合格に必要なCSEスコアは2024年前後を通じて1792点のままであり、合格ラインそのものが引き上げられたわけではありません。
リーディング問題が10問減ったことによる負担軽減
41問から31問に削減されたリーディングは、受験者によっては「時間に余裕ができた」と感じるポイントでもあります。準1級のリーディング問題には高度な語彙や複雑な英文が含まれており、問題数の削減は時間的プレッシャーの緩和につながっています。
要約問題は「慣れれば解きやすい」とも言われる
要約問題は、最初こそとっつきにくく感じるものの、段落ごとに要点を1文にまとめるという明確な手順が確立されています。英文の表現を言い換えて60〜70語でまとめる練習を積めば、意見論述よりも解き方がパターン化しやすいという声もあります。実際、対策書籍が充実してきた2024年度末以降は、受験者の準備環境が大幅に改善されています。
難化と易化をめぐる「真相」
ここまでの情報を整理すると、「難化した」「易化した」どちらか一方が正解とはいえないことがわかります。
要約問題が加わったことにより、試験全体の処理量と要求されるスキルの幅は確かに広がりました。特にリニューアル直後の2024年度は、対策リソースが不足していたため、多くの受験者が実質的な難しさを感じたのは事実です。
一方で、合格基準スコアは変わっておらず、リーディングの問題数も削減されています。難易度の総量が劇的に上がったというより、必要なスキルのバランスが変わったというのが正確な見方でしょう。語彙・文法・読解のベースをしっかり固めた上で、要約問題に特化した練習を加えれば、合格ラインは十分に狙えます。
リニューアル後の準1級対策で押さえるべきポイント
難化の実態を踏まえ、現在の準1級合格を目指すにあたって重視すべき対策ポイントを整理します。
要約問題の練習を早めに始める
要約問題は過去問の蓄積が少ないため、公式のサンプル問題や新形式対応の問題集を積極的に活用することが大切です。段落ごとの主要メッセージを読み取る練習を日常化し、元の表現を言い換えるパラフレーズ力を養いましょう。
また、2025年度第1回からは語数が「目安」から「明確な指定」へ変更されているため、語数管理にも気を配る必要があります。
意見論述問題の対策も並行して続ける
要約問題が追加されたからといって、従来の意見論述(エッセイ)の比重が下がったわけではありません。ライティング全体がCSEスコアの3分の1を占める構造は変わっていないため、両方の問題形式にバランスよく対応できる力をつけることが合格への近道です。
高度な語彙力と読解力は依然として土台になる
どれだけ出題形式が変わっても、準1級レベルの高度な英語力そのものが求められる点は変わりません。要約問題でも意見論述でも、語彙・文法・読解力がすべての土台になります。単語帳や多読を通じた語彙の底上げは、引き続き最優先で取り組むべき学習です。
二次試験は「話題導入文あり」の形式に慣れておく
二次試験対策においては、No.4の質問文に話題導入文が加わった新形式に慣れておくことが重要です。質問文の前に背景文が追加されるとはいえ、回答の仕方は従来と変わりません。社会問題や時事トピックについて、英語で短く意見をまとめるトレーニングを積んでおきましょう。
まとめ
英検準1級は、2024年度のリニューアルによって出題形式が大きく変わりました。ライティングに要約問題が追加されたこと、リーディングの問題数が削減されたこと、二次試験に話題導入文が加わったことが主な変更点です。
「難化した」という実感は、特にリニューアル直後に対策リソースが少なかった点や、ライティングの処理負荷が増えた点から生まれています。一方で合格基準スコアに変更はなく、試験の構造的な難易度が急激に上がったわけではありません。
変化したのは試験内容の「バランス」であり、要求されるスキルの幅が広がったのが現在の準1級の特徴です。リニューアルの内容を正確に理解した上で、要約問題や新形式の二次試験に対応できる準備を進めることが、合格への最短ルートといえるでしょう。