英検準1級を目指している方なら、Z会の「速読英単語」シリーズを一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。速読英単語(必修編・上級編)、速読英熟語、そして学研の速読探究と、シリーズは複数に分かれており、「どれを使えばいい?」「本当に準1級対策になるの?」と迷う方も多いはずです。この記事では、各教材のレベルと英検準1級との相性を整理したうえで、学習ステップ別のおすすめの使い方をわかりやすく解説します。
英検準1級に求められる語彙力とは
英検準1級を突破するには、どの程度の語彙力が必要なのかをまず正確に把握することが大切です。感覚だけで単語帳を選ぶのではなく、数字と資格の位置づけを知ることで、正しい教材選びができるようになります。
準1級の語彙レベルを数字で理解する
英検準1級は大学中級程度に相当し、CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)ではB2レベルと位置づけられています。必要語彙数の目安は7,500〜9,000語とされており、TOEIC L&Rに換算すると785〜940点相当というハイレベルな資格です。
英検2級で必要な語彙数はおよそ4,000〜5,000語であることを考えると、準1級では2級からさらに3,000語以上の上乗せが求められます。日常会話の域を超え、社会的・学術的な語彙が中心となるため、高校の授業や共通テストで扱う単語だけでは太刀打ちできません。
単語力以外に問われる力
英検準1級では語彙だけでなく、長文読解・リスニング・ライティング(英作文・要約)・スピーキングという4技能すべてが問われます。リスニングは英検2級に比べてスピードが速く文章も長いという特徴があり、単語を文字で知っているだけでは対応しきれません。長文の中で語彙を覚え、速読力や聴解力も同時に鍛えられる教材が準1級対策には特に有効です。
速読英単語「必修編」は準1級に使えるか
速読英単語のラインナップの中でも、最もメジャーな一冊が必修編です。多くの高校生が大学受験で使う定番教材として知られていますが、英検準1級という視点では、どのように位置づければよいのかを整理しましょう。
必修編のレベル・収録語数
速読英単語必修編(改訂第8版)は70本の長文を通じて約1,945語の英単語を習得できる構成です。対象レベルはMARCH〜東大程度とされており、英検の水準に置き換えると準2級から2級相当の語彙力が身につく教材です。共通テストから中堅〜上位私大まで対応できる語彙を長文の文脈の中で自然に覚えられる点が最大の特長です。
また、必修編には音声がWebから無料で提供されており、長文・単語・例文を繰り返し聞くことでリスニング力の底上げも期待できます。
準1級対策での必修編の位置づけ
必修編単体で見ると、英検準1級の語彙レベルには直接届きません。しかし、準1級の勉強をゼロからスタートする人や、英検2級をすでに取得した段階から取り組む人にとっては、まず必修編でしっかり基礎固めをすることが重要です。
特に「速読で覚える」という学習スタイルに慣れるために必修編を活用し、英文を読みながら語彙を定着させる習慣をつけておくことが、上級編や速読探究への橋渡しになります。準1級を目指すなら、必修編は入口・土台として活用する教材と考えると整理しやすいでしょう。
速読英単語「上級編」は準1級に使えるか
必修編の次のステップとして位置づけられる上級編は、英検準1級対策という視点では非常に注目度の高い一冊です。そのレベル感と具体的な活用法を見ていきましょう。
上級編のレベル・収録語数
速読英単語上級編は48本の長文を通じて約1,255語の英単語を学べる構成です。対象レベルは早稲田・慶應・東大・京大・難関国公立医学部に対応しており、偏差値でいえば72.5程度まで到達可能とされています。
英検の観点から見ると、上級編に収録されている語彙は英検準1級〜1級の範囲と大きく重なっており、準1級の語彙問題で出題される抽象的・学術的な単語をカバーしています。収録テーマも「ジャンクフードと経済格差」「プラスチックが健康に与える影響」など、英検準1級の長文テーマと近い社会的・環境的なトピックが多く採用されています。
準1級対策での上級編の使い方
上級編は必修編を終えてから取り組むことが前提の教材です。必修編→上級編の順番で段階を踏むことで、無理なく実力を伸ばすことができます。
取り組み方としては、長文を繰り返し音読することを軸に、文脈の中で語彙を自然に定着させていくのが速読英単語本来の使い方です。上級編には単語ページに例文がない形式のため、長文の中で語彙を確認しながら音読する習慣を丁寧につくっていくことが重要です。また、上級編の語彙だけでは英検準1級の全語彙をカバーしきれないため、「でる順パス単」など英検専用の単語帳と併用する形が効果的です。
なお、必修編をまだ終えていない段階で上級編に手を出すのは逆効果になります。語彙と英文レベルが一段階上がるため、基礎が固まってから挑むことを意識しましょう。
速読英熟語は準1級に使えるか
単語だけでなく、熟語力も英検準1級では重要なカギを握ります。速読英熟語はZ会「速読」シリーズの熟語版として位置づけられており、準1級対策での役割を正しく理解しておくことが大切です。
速読英熟語の特徴と収録内容
速読英熟語は74本の長文を通じて800語以上の英熟語を覚えられる構成です。過去の入試で実際に出題された重要熟語が網羅的に収録されており、長文の中で熟語が自然な文脈で登場するため、意味やニュアンスが身につきやすいのが特長です。
難易度的には必修編と上級編の間に位置しており、松濤舎の学習ルート分析では偏差値62.5相当(必修編が偏差値67.5、入門編が偏差値57.5)として位置づけられています。英検の目安としては2級レベルとの相性が高く、準1級の直前対策というよりは準1級を目指すための土台固めの段階で取り組むのが効果的です。
準1級の熟語・語法問題への対応力
英検準1級のリーディングやライティングでは、熟語・慣用表現の知識が得点を左右する場面があります。単語の意味を個別に知っていても、熟語として組み合わさったときの意味がわからないと長文の内容を正確に把握できないケースも少なくありません。
速読英熟語を通じて熟語力を鍛えておくことは、長文読解のスピードと精度を上げる効果があります。また、音声を使った音読練習を取り入れることで、リスニングにおける熟語の聴き取り力も同時に高められます。Z会のWebサイトによれば、速単・速熟シリーズは全て音声がWebからダウンロード・ストリーミングできるため、リスニング対策としても活用可能です。
速読探究は準1級に使えるか
速読探究(英検準1級 速読で覚える英単語)は、「速読英単語」とは別の出版社(学研)から刊行されている教材ですが、「速読」という共通コンセプトを持ちます。英検準1級に特化した作りになっているこの教材の特徴と活用法を整理します。
速読探究の特徴
速読探究は、実際に英検準1級で扱われるテーマに沿った長文を通じて、語彙力・速読力・要約スキルの3つを同時に鍛えることを目標に設計されています。2024年6月から英検に導入された英作文の要約問題にも対応しており、最新の試験形式に合った内容になっています。
テストで役立つ重要語句・類義語を選び抜いて掲載しており、英検準1級の語彙問題を意識した設計が特長です。英検専用教材として作られているため、出題されるテーマや問われる語彙の方向性が準1級の過去問と近い点も大きなメリットです。
準1級対策における速読探究の活用場面
速読探究は英検準1級の受験を具体的に見据えたタイミングで使うのが最も効果的です。速読英単語の必修編または上級編と並行して、あるいは仕上げ段階の1冊として組み合わせることで、試験特有の語彙やテーマに慣れることができます。
Z会の速読英単語上級編で大学受験レベルの語彙を固めつつ、速読探究で英検準1級特有の語彙・テーマ・要約問題に慣れるという組み合わせは、特に試験本番が近い時期に有効な戦略です。速読探究単体で1冊仕上げれば、準1級の読解スピードと語彙レベルへの対応力が総合的に高まります。
シリーズの組み合わせと学習ステップ
各教材の特長を踏まえ、実際にどの順番でどの教材を使えばよいか、学習レベル別に整理します。自分の現在地に合わせたルートを選ぶことが、最短距離での合格につながります。
学習レベル別のおすすめルート
英検2級合格済み・これから準1級を目指す方には、まず速読英単語必修編で長文の中で語彙を覚えるスタイルに慣れ、その後速読英熟語で熟語力を補強し、仕上げに速読英単語上級編で難度の高い語彙と長文に取り組むルートがおすすめです。受験まで余裕があれば、最後に速読探究を加えて英検特有のテーマと要約対策を行うと、より完成度が高まります。
英検2級すら取得しておらず英語力全体を底上げしたい方は、速読英単語入門編から始めることを検討してください。入門編は約1,400語を収録しており、共通テスト〜日東駒専相当のレベルで英語の基礎固めに適しています。段階を飛ばして上級編や速読探究に挑戦しても、語彙・英文のレベルに対応できず効果が半減する可能性があります。
英検準1級を短期間で狙いたい方(英検2級合格済みで一定の語彙力がある方)は、速読英単語上級編と速読探究を中心に据え、「でる順パス単 準1級」などと組み合わせて集中的に語彙を強化するのが効率的です。
速読シリーズだけで準1級は合格できるか
速読英単語・速読英熟語・速読探究を丁寧に仕上げれば、英検準1級に必要な語彙力・読解力・速読力の土台は十分に築けます。しかし、英検準1級の語彙問題に特化した対策という点では、速読シリーズの収録語だけですべてをカバーするのは難しいと考えておくほうが現実的です。
英検準1級の語彙問題では、日常会話や大学受験ではほとんど登場しない高難度の単語が出題されます。そのため、速読シリーズで長文読解力と基礎語彙を固めつつ、旺文社「でる順パス単 準1級」のような英検専用単語帳で出題頻度の高い語を補完するという「速読シリーズ+英検専用パス単」の二刀流が、最もバランスのとれた準1級対策になります。
また、リスニング・ライティング・スピーキングの対策は速読シリーズだけでは不十分です。過去問演習や4技能対策教材と組み合わせながら、総合的に仕上げていく計画を立てることが合格への確実な道です。