英検準1級を受験しているものの、なかなか合格できずに「自分は何回受ければ受かるのだろう」と不安になっていませんか。あるいは、これから受験を考えていて「一発合格は現実的なのか」と気になっている方もいるかもしれません。

この記事では、英検準1級の合格率データや受験回数の実態をもとに、何回目で合格する人が多いのかを解説します。さらに、複数回受験になりやすい理由と、再挑戦で確実に合格をつかむための戦略まで詳しく紹介します。合格までの道のりをリアルに把握して、次の挑戦に活かしてください。

英検準1級の合格率と受験回数の実態

英検準1級がどれほど難しい試験なのかを正確に理解することが、戦略を立てる第一歩です。まず、公式データや各種調査から見えてくる合格率と受験回数の傾向を整理しましょう。

英検準1級の合格率はどのくらいか

英検準1級の一次試験合格率は**約15〜16%**とされています。これは、受験者のおよそ7人に1人しか一次試験を通過できない計算になります。英検2級の合格率が約25%前後であることと比べると、その難易度の差は一目瞭然です。

一方、一次試験に合格した後の二次試験(面接・スピーキング)の合格率は**約80〜90%**と非常に高く、一次試験さえ突破できれば最終合格までは大きな壁は少ないといえます。つまり、英検準1級において最大の関門は一次試験であり、そこに合格するための準備に集中することが重要です。

なお、英検協会による公式の合格率データは2016年度以降は非公開となっているため、現在公開されている数値は過去データをもとにした推計値です。ただし、試験の難易度水準は大きく変わっていないと考えられているため、この数値を参考にすることは十分に意味があります。

一次試験の合格スコアはCSEスコアで1792点(満点2250点)、二次試験は512点(満点750点)です。各技能で7割程度の正答率を目標にすることが合格への目安とされています。

何回目で合格する人が多いのか

英検協会は受験回数別の合格データを公式に公表していないため、「平均何回目で合格する」という確定的な統計はありません。しかし、受験者の体験談や各塾・スクールによる調査から、いくつかの傾向が見えてきます。

まず、しっかりと対策をして臨んだ受験者であれば、1回目や2回目での合格例は十分にあるという点です。一方で、ある程度英語力がある社会人や大学生でも、3回以上受験して合格するケースも珍しくありません。英検準1級の受験者層は、英語に対して高い意欲を持つ方が中心であるにもかかわらず、一次試験合格率が15%前後という現実からも、多くの方が複数回の受験を経ていることがうかがえます。

重要なのは「何回目で合格したか」という回数そのものよりも、不合格になったときに適切な分析と改善ができているかどうかです。同じ弱点を放置したまま再受験しても、合格率は上がりません。次のセクションで、一発合格できる人の特徴と、複数回受験になりやすい理由を順に解説します。

1回目で合格できる人の特徴

英検準1級に1回目で合格する人が全くいないわけではありません。どのような英語力・学習背景を持つ人が一発合格を果たしているのかを知ることで、自分の現状と照らし合わせることができます。

どんな英語力・背景を持っているか

英検準1級に1回目で合格している人の多くは、英検2級にすでに合格している、または2級水準以上の英語力が定着しているという共通点があります。語彙力については4000語以上が一つの目安で、速読英単語や速読英熟語を終えているレベルが求められます。

TOEICスコアで換算すると、英検準1級の難易度は740〜840点レベルに相当するとされています。TOEICスコアが700点台後半の方で合格可能性は約60%、800点以上であれば約80%というデータもあります。ただし、TOEICと英検では試験の出題形式や評価基準が異なるため、あくまでも参考値として捉えてください。

また、海外経験がある帰国子女や留学経験者、英語ディベート大会への参加経験がある学生なども、一発合格しやすい傾向があります。これらの方々は、特にスピーキングや文章の論理構成において強みを持っているためです。

1回目合格に必要な学習量

一発合格を狙うには、まとまった学習期間と十分な総学習時間が必要です。英語力がゼロの状態から準1級を目指す場合ではなく、英検2級合格レベルの英語力がある状態からのスタートとして、一般的には数百時間単位の学習が必要とされています。

学習期間の目安は、英語力の初期水準によっても変わりますが、英検2級合格水準から準1級を目指す場合、6か月〜1年程度のしっかりとした対策期間を設けている受験者が一発合格に多く見られます。

また、学習量だけでなく学習の質も重要です。語彙・リーディング・リスニング・ライティング・スピーキングの全技能をバランスよく強化し、過去問演習で本番形式に慣れることが、一発合格の確率を高めます。

複数回受験になりやすい理由

英検準1級を何度か受けて合格する方が多い背景には、いくつかの共通した壁があります。自分がどの壁に当たっているかを把握することが、次の合格につながります。

英単語・語彙の壁

英検準1級で最も多くの受験者が苦労するのが語彙・単語の難しさです。準1級では約7500語から9000語の単語知識が必要とされており、これは英検2級に必要な語彙数の約2倍にあたります。

一次試験の大問1は短文の語句空所補充で、ここで出題される単語の難易度は非常に高く、知らない単語が並ぶと一気に得点が下がります。語彙問題は1問ずつの配点も大きいため、単語力の不足は合否に直結します。

英検準1級のパス単(でる順パス単英検準1級)などの単語帳に収録されている語彙をしっかりと習得できていない状態で受験しても、語彙問題での失点が大きくなりがちです。複数回受験になっている方の多くは、この語彙の定着が不十分な場合があります。

リーディング・ライティングの難しさ

英検準1級のリーディングは、文章量が英検2級よりも大幅に増加し、内容の難易度も上がります。社会問題・環境・テクノロジー・歴史など、幅広いテーマについての長文を素早く正確に読み解く力が求められます。

ライティングは2024年度から新形式となり、英文要約(1問)と意見論述(1問)の2問構成になりました。特に意見論述では、社会的なテーマに対して自分の意見を論理的にまとめる力が問われます。型(テンプレート)を使って書くことは有効ですが、それだけでは得点が伸び悩みます。内容の具体性や論理の一貫性が採点基準として重要であるため、書き方の練習量が不足していると安定した得点が取れません。

二次試験(面接)のハードル

一次試験を突破した後に待ち構えるのが二次試験(スピーキング)です。前述の通り合格率は80〜90%と高いですが、一次試験から二次試験まで間が短いため、十分な準備時間が取れないという受験者も多くいます。

英検準1級の二次試験では、4コマのイラストをもとにナレーションをおこない、その後社会的なテーマについて面接官と英語で意見交換を行います。日常会話ができるレベルとは異なり、社会問題に関する意見を論理的に英語で述べる力が求められるため、練習なしに本番に臨むと高得点が難しくなります。

不合格だったときの分析と立て直し方

英検準1級で不合格になったとき、ただ「もう一度受ければいい」と思うだけでは成長が見込めません。次の受験で合格を手にするために、不合格の原因を正確に把握することが最も重要です。

一次試験で落ちた場合の見直しポイント

一次試験で不合格になった場合、まず英検協会から届くCSEスコアの各技能別スコアを確認することが最初のステップです。リーディング・ライティング・リスニングのどの技能でスコアが低かったかを把握することで、優先して強化すべき分野が明確になります。

スコアが全体的に低い場合は、語彙力の不足が根本原因であることが多いです。準1級の語彙問題で安定した得点を取るには、単語帳を一周するだけでなく、繰り返し復習して定着させることが必要です。

一方、リーディングやリスニングは語彙力がある程度ついてきても、時間配分や解答テクニックの問題で失点することがあります。過去問演習を通じて本番の時間感覚を身につけることも、次の受験に向けた重要な準備です。

ライティングのスコアが低い場合は、自分の英作文を英語を教えている先生や添削サービスで確認してもらうと、自分では気づけない弱点が明確になります。

二次試験で落ちた場合の対策

二次試験で不合格になるケースは全体の中では少ないですが、不合格になった場合は**次の一次試験を免除された状態で二次試験だけに専念できる制度(一次試験免除)**が1回に限り適用されます。この制度をうまく活用することが大切です。

二次試験で落ちた主な原因としては、英語で意見を述べる際の語彙の少なさ、沈黙が続いてしまうこと、ナレーションの構成が不自然であることなどが挙げられます。毎日短時間でも声に出して英語を話す練習を積み、面接本番に近い環境でのシミュレーションをしておくことが効果的です。

再受験で合格するための戦略

英検準1級に受かった人の多くは、闇雲に勉強を続けたのではなく、自分の弱点に合った学習法を選択して取り組んでいます。再挑戦で確実に合格をつかむための具体的な戦略を紹介します。

語彙・単語の効率的な強化法

英検準1級合格のために語彙力強化は最優先事項です。代表的な単語帳として、旺文社の**「でる順パス単英検準1級」**が広く使われています。この単語帳に収録されている約1800語を確実に習得することが、語彙問題での得点安定につながります。

効率的な暗記のポイントは「間隔をあけた反復学習」です。一度覚えた単語も、時間が経つと忘れてしまいます。単語帳を何週もくり返し、忘れた単語を何度もチェックすることで長期記憶として定着させましょう。また、単語を単体で暗記するだけでなく、例文とセットで覚えると文脈理解力も高まり、リーディング問題にも活きてきます。

リーディング・リスニングの得点を上げるコツ

リーディングの強化には、英検準1級の過去問を繰り返し解くことが最も効果的です。準1級のリーディングは問題の構造が毎回ほぼ同じであるため、どの大問をどの順番・どの時間配分で解くかを決めておくだけで、本番での安定感が大きく変わります。

長文読解では、全文を読もうとするのではなく、問いの選択肢と照らし合わせながら必要な箇所を素早く拾い読みするスキャニングのスキルも有効です。また、日ごろから英語の長文記事(BBCやThe Japan Timesなど)を読む習慣をつけることで、読解スピードと内容把握力が向上します。

リスニングは、スクリプトを見ながら音声に合わせて発音するシャドーイング練習が効果的とされています。単にリスニング問題を解くだけでなく、音と意味を同時に処理する力を鍛えることが、本番での得点につながります。

英作文(ライティング)の得点を安定させる方法

ライティングで安定した得点を取るには、まず意見論述の基本構成(型)を習得することが第一歩です。「導入→理由1→理由2→理由3→結論」という5段落構成、もしくはそれをコンパクトにした構成を使いこなせるようになれば、何のトピックが出ても対応できます。

ただし、型を覚えるだけでなく、そこに具体的な根拠や事例を盛り込むことが高得点につながります。社会問題・環境・テクノロジー・教育・経済といったよく出るテーマについて、日本語でも英語でもよいので自分の意見と根拠を整理しておくと、本番で考えに詰まることが少なくなります。

2024年度から加わった英文要約問題については、元の文章の主要ポイントを自分の言葉でコンパクトにまとめる練習を積むことが対策の中心です。原文をそのまま写す(コピー)と減点対象になるため、言い換えの表現を増やすことも意識しましょう。

二次試験突破のための準備

二次試験対策は、一次試験合格後から始めるのでは遅い場合もあります。一次試験の勉強と並行して、スピーキングの練習を日常的に組み込んでおくことが理想的です。

4コマイラストのナレーション練習は、英検準1級の過去問や問題集に収録されているイラスト問題を使って繰り返しおこないます。2分間でスムーズに話せるように、ストーリーの流れをつかむ練習をしましょう。

意見交換パートでは、「私は〇〇だと思います。なぜなら〜」という意見表明の基本フレーズを使いこなせるようにしておくことが大切です。オンライン英会話を活用して、日本人講師や英語ネイティブと実際に話す練習をすることで、本番での緊張が和らぎます。

英検準1級に受かったらどんな未来が開けるか

英検準1級合格は、取得するまでの苦労に十分見合うだけのメリットをもたらします。合格後にどのような可能性が広がるのかを知っておくことは、学習のモチベーション維持にも役立ちます。

大学入試・大学受験での優遇

英検準1級を持っていることで、大学入試において大きなアドバンテージが得られます。近年、文部科学省が推進する英語4技能重視の方針のもと、多くの大学が英検のスコアを入試で活用するようになっています。

具体的には、英検準1級を持っていると共通テストの英語が満点換算になる大学や、英語の試験そのものが免除になる大学も存在します。たとえば、広島大学では英検準1級の取得によって共通テストの英語が満点扱いになる制度があり、この仕組みを活用して合格した受験生の事例も報告されています。

早慶・MARCHをはじめとする難関私立大学でも、英語外部試験利用入試の導入が進んでおり、英検準1級のスコアが試験得点に換算されたり、出願資格として認められたりするケースが増えています。法政大学では英語外部試験利用入試で英検準1級を持っていると、多くの学部において1科目(国語または数学)だけで受験できる制度もあります。受験を検討している大学の最新の入試要項を必ず確認することをおすすめします。

就職・転職・キャリアへの影響

英検準1級は、就職活動においても評価される資格です。英検準1級はCEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)のC1レベルに相当する英語力の証明となり、ビジネスや学術の場面での高度なコミュニケーションが可能なレベルとされています。

外資系企業や英語を使う職種では、英語力の証明として英検準1級の取得を評価している企業も少なくありません。また、公務員・教員採用試験・金融・通訳・翻訳など、英語力を必要とする職種の選考でも有利に働く場合があります。

すでに社会人として働きながら英検準1級を取得した場合も、社内での昇進・昇格や海外勤務へのアサイン、転職活動での自己PRなど、キャリアの可能性を広げる要素になります。

1級へのステップアップ

英検準1級に受かったら、次のステップとして英検1級を目指す方も多くいます。英検1級は準1級よりもさらに難易度が高く、一次試験の合格率は10%前後とされています。

ただし、英検準1級の合格で培った語彙力・読解力・ライティング力・スピーキング力はすべて英検1級対策の土台になります。準1級の学習を通じて身につけたスキルは無駄にならず、1級合格への道を大きく前進させるものです。

英検準1級に受かったら、まずその合格を喜びつつ、自分の英語力がどこまで伸びたかを振り返ってみましょう。そこから1級を目指すのか、ビジネス英語や会話力の強化に転換するのかを決めると、次の英語学習の方向性が明確になります。