英検準1級のライティングで新しく登場した要約問題に、戸惑っている方は多いのではないでしょうか。従来の意見論述だけを対策していたのに、急に「要約してください」と言われても、何から手をつければよいのか分かりにくいものです。この記事では、英検準1級の要約問題の解き方ややり方、すぐに使えるテンプレート、採点基準、そして0点を回避するためのポイントまで、順を追って分かりやすく解説します。要約問題を苦手だと感じている方も、この記事を読み終える頃には取り組み方のイメージがつかめるはずです。
英検準1級の要約問題とは
まずは、英検準1級の要約問題がどのような問題なのか、その全体像を押さえておきましょう。仕組みを理解することが、対策の第一歩になります。
2024年度リニューアルで新設された背景
英検準1級の要約問題は、2024年度第1回の検定試験からライティングパートに新しく加わりました。それまでのライティングは意見論述のみでしたが、リニューアルによって要約問題が追加され、ライティングセクションの比重が大きくなっています。この変更にともない、時間配分を調整するためにリーディングの設問数が減らされました。読解力だけでなく、読んだ内容を自分の言葉で再構成する力まで測られるようになったのが、この新形式の大きな特徴です。
出題形式と語数指定
英検準1級の要約問題では、200語程度のアカデミックな英文を読み、その内容を60〜70語で要約します。出題される英文は、新聞記事や論文で見られるようなテーマを扱っており、多くの場合「テーマの提示」「メリット」「デメリット」という3段落構成になっています。以前は語数が目安として示されていましたが、現在は「60〜70語でまとめてください」という形で語数が明確に指定されるようになりました。原文の一部を書き写すのではなく、できるだけ自分自身の言葉に置き換えて要約することが求められます。目標となる解答時間は20分程度とされているため、時間内に読解と作文の両方を終える練習も欠かせません。
要約問題の採点基準を理解する
要約問題で得点するためには、何が評価されているのかを正しく理解しておく必要があります。ここでは採点の観点を具体的に見ていきましょう。
内容・構成・語彙・文法の4つの観点
英検準1級の要約問題は、内容、構成、語彙、文法という4つの観点から採点され、それぞれ4点満点で合計16点となっています。内容の観点では、原文をそのまま書き写したような答案になっていないか、具体的な表現を適切に抽象化できているかが確認されます。構成の観点では、原文と同じ論理展開になっているか、パラグラフ同士のつながりが分かりやすいかが見られます。語彙の観点では、あまりに簡単な単語ばかりを使っていないか、また抽象的な言い換えができているかが重視されます。文法の観点では、文構造にバリエーションがあり、それらを正確に使えているかが評価対象です。この4項目の配点は、既存の意見論述と同じ比重になっているため、要約問題も決して軽視できない存在になっています。
0点になってしまうケースに要注意
要約問題でもっとも注意したいのが、0点評価を受けてしまうケースです。最も重要視されるのは「きちんと要約になっているかどうか」という点で、原文から単語を適当に抜き出して並べただけの答案は、文法的に誤りがなくても要約として認められず、0点になることがあります。また、課題の趣旨とは異なる内容を書いてしまった場合も、英語自体は正しくても大きく減点される可能性があります。要約問題は自由に意見を述べる場ではないため、自分の考えや感想を書き加えてしまうことも避けなければいけません。まずは「求められていることに正確に答える」という基本を徹底することが、0点回避の第一歩です。
英検準1級 要約問題のやり方
採点基準を理解したところで、実際にどのような手順で要約文を作成すればよいのか、具体的なやり方を見ていきましょう。
原文の構成を読み取る
要約問題に取り組む際は、まず原文全体をパラグラフごとに読み、それぞれの段落が何を伝えているのかをつかむことから始めます。英検準1級の要約問題の原文は「テーマの提示」「メリット」「デメリット」のような3段落構成になっていることが多いため、この型を意識しながら読むと要点を見つけやすくなります。各パラグラフのトピックセンテンスに注目し、そこにサポーティングセンテンスがどうつながっているかを整理すると、要約すべき骨子が自然と見えてきます。読解に時間をかけすぎないよう、パラグラフごとに一言でメモを取りながら読み進める練習をしておくとよいでしょう。
パラフレーズで自分の言葉に置き換える
原文の要点をつかんだら、それを自分自身の言葉で言い換えていきます。原文の単語や表現をそのまま使う、いわゆるコピペのような要約は、内容の観点で大きく減点される対象です。具体的な数字や固有名詞は残しつつ、抽象的に言い換えられる部分は積極的にパラフレーズしましょう。たとえば頻度を表す表現であれば、原文と同程度のニュアンスを保ったまま別の単語で表現する工夫が必要です。語彙のバリエーションを普段から増やしておくことが、このパラフレーズ力を高める近道になります。
ディスコースマーカーで論理をつなぐ
要約文を組み立てる際は、パラグラフ同士のつながりを示すディスコースマーカー(論理マーカー、つなぎ語とも呼ばれます)を適切に使うことが欠かせません。原文がメリットとデメリットを対比する構成であれば、howeverやon the other handといった逆接の表現を使い、論理の転換を明確に示します。理由や結果を述べる際にはbecauseやas a resultなどを使い分けましょう。こうした表現を正しく使うことで、構成の観点での評価が高まるだけでなく、読み手にとって分かりやすい文章に仕上がります。
すぐ使える要約テンプレート
要約問題は形式がある程度決まっているため、テンプレートを用意しておくと本番でも落ち着いて取り組めます。ここでは実際に使いやすいテンプレートを紹介します。
導入文のテンプレート
要約の冒頭では、原文が扱っているテーマを簡潔に示す一文を置くのが基本です。「The article discusses〜」や「According to the passage, 〜」といった書き出しは、原文の主題を過不足なく伝えるのに便利な定型表現です。ここで原文の一文をそのまま使うのではなく、テーマを自分の言葉で言い換えて示すことを意識してください。
譲歩・対比を表すテンプレート
メリットとデメリットの両方に触れる原文が多いため、対比を示す表現をあらかじめ用意しておくと安心です。「While there are some advantages such as 〜, critics point out that 〜」のような形は、賛成意見と反対意見の両方をコンパクトにまとめるのに役立ちます。このテンプレートを使うことで、構成の観点で求められる論理展開を自然な形で再現できます。
まとめのテンプレート
要約の最後には、原文の結論や全体を締めくくる一文を置きます。「Overall, 〜」や「In summary, 〜」といった表現を使い、それまで述べてきた内容を簡潔に総括しましょう。ただし、ここで新しい情報を付け加えたり、自分の意見を述べたりしないよう注意が必要です。あくまで原文の内容を要約する枠内にとどめることが大切です。
要約問題のサンプルで解き方を確認する
テンプレートを理解したら、実際のサンプル問題を使って解き方の流れを確認してみましょう。
サンプル英文の構成分析
たとえば「フィンランドは世界でもっとも幸福な国の一つである」というテーマの英文が出題されたとします。この場合、第1段落でテーマが提示され、第2段落では平等性の高さや充実した社会保障、豊かな自然環境といった幸福度の高さを支える理由が述べられ、第3段落では高い税金や物価、長く暗い冬といった負の側面が挙げられる、という3段落構成になっていることが想定されます。このように段落ごとの役割を先に整理しておくことで、要約文の骨格を組み立てやすくなります。
模範解答の要約例
上記のような原文であれば、要約文はおおよそ次のような流れになります。冒頭でフィンランドが幸福度の高い国であることを示し、続いてその理由として平等性や社会保障、自然環境の豊かさを挙げます。そのうえで、howeverなどを使って高い税金や生活費、長く暗い冬という負の側面へと話を転換し、最後にフィン人がそれでも長期的な幸福のためにそうした環境を受け入れているという形で締めくくります。このように、テーマ、理由、対立する視点、まとめという流れを60〜70語の中に収めることが、模範的な要約の型になります。
要約問題が難しいと感じる理由とよくある失敗
要約問題を難しいと感じる方には、いくつか共通した失敗パターンがあります。自分の答案を見直す際のチェックポイントとして参考にしてください。
原文をそのまま写してしまう
もっとも多い失敗が、原文の表現をほぼそのまま使ってしまうケースです。パラフレーズが不十分な答案は、内容の観点で評価が下がるだけでなく、要約として成立していないと判断されれば0点になるおそれもあります。原文を読んだあとは一度本文から目を離し、記憶している内容を自分の言葉で書き出す練習をすると、この失敗を防ぎやすくなります。
自分の意見を書いてしまう
意見論述の問題に慣れていると、つい自分の考えや感想を付け加えてしまうことがあります。しかし要約問題はあくまで原文の内容を客観的にまとめる課題であるため、自分の意見や新しい情報を書き加えると、課題への応答として不適切だと判断されます。原文に書かれている内容の範囲を超えないよう、常に意識しておきましょう。
語数オーバー・不足で減点される
現在の英検準1級の要約問題では、60〜70語という語数が明確に指定されています。語数が多すぎる場合は、形容詞や副詞を削ったり、関係代名詞を使って複数の文を一つにまとめたりすることで調整できます。反対に語数が足りない場合は、理由を示す表現や具体例を一つ加える、あるいはまとめていた文を二つに分解するといった方法が有効です。普段からいくつかの言い換え表現を持っておくことで、語数調整にも柔軟に対応できるようになります。
効果的な対策方法とおすすめの学習法
最後に、要約問題の実力を伸ばすための具体的な学習法を紹介します。日々の練習に取り入れてみてください。
パラグラフリーディングを鍛える
要約問題では、英作文の力以上に、原文をすばやく正確に読み取る力が重要になります。各パラグラフの主張とその根拠を素早く見分けるパラグラフリーディングのトレーニングを積んでおくと、本番でも要点を落とさずに読み進められるようになります。日本語のコラム記事で段落ごとの主題を書き出す練習をしてから、同じことを英語の記事で行うと、読解力と要約力を同時に高められます。
添削を受けて客観的な視点を得る
要約問題は明確な採点基準が公表されているとはいえ、自己採点だけで自分の答案の弱点に気づくのは簡単ではありません。文法的な不備やパラフレーズの質、内容の過不足は、第三者に添削してもらうことで初めて見えてくることが多くあります。英検の採点基準に精通した講師や添削サービスを活用し、客観的なフィードバックを受ける機会を定期的に設けることをおすすめします。
英検準1級 要約・英作文50日マラソンを活用する
独学で対策を続けていると、毎日何をどれだけ書けばよいのか迷ってしまうこともあります。そうした場合は、要約と英作文をセットで日々コツコツ取り組める、いわゆる英検準1級 要約・英作文50日マラソンのような継続型の学習方法を取り入れるのも一つの方法です。決まった期間で段階的にテーマや難易度を上げながら練習することで、無理なく要約問題への対応力を積み上げていくことができます。要約問題は一朝一夕に上達するものではありませんが、正しい手順とテンプレートを押さえたうえで継続的に練習すれば、着実に得点力を伸ばすことができます。今回紹介した解き方とコツを参考に、自信を持って本番に臨んでください。
