部活の翌日、階段を下りるだけで脚が痛い。そんな朝は「今日の練習、休んだほうがいいのかな」と迷いますよね。この記事では、部活の筋肉痛で練習を休むかどうかの判断の目安と、回復を早めるために家でできることを紹介します。けがとの見分け方もまとめたので、痛みが気になるときの参考にしてください。
筋肉痛のとき、部活は休むべき?
動かすと痛いけれど日常生活は普通に送れる、という程度の筋肉痛なら、休むより練習の強さを調整して参加するのが一般的です。一方で、歩き方が変わるほど痛い、動かさなくてもズキズキするといった場合は、無理をせず休むことも大切です。
軽い筋肉痛なら強さを調整して参加する
筋肉痛は、体を軽く動かすと一時的に和らぐことが多いものです。ウォームアップをいつもより長めにして、体が温まってから練習に入りましょう。痛む部位に強い負荷がかかるダッシュやジャンプ、筋力トレーニングは量を減らし、ほかの部位の練習やフォームの確認に時間を回すのも一つの方法です。
注意したいのは、痛みをかばってフォームが崩れるときです。いつもと違う体の使い方をすると、別の筋肉や関節に負担がかかり、けがにつながるおそれがあります。
休んだほうがよいのはこんなとき
次のような状態のときは、練習を休んで体の回復を優先しましょう。
- 痛みが強く、歩く・階段を上り下りするといった普段の動作がつらい。
- 動かしていなくてもズキズキ痛む、または腫れや熱っぽさがある。
- 練習中に、急に強い痛みが出た。
- 痛みが1週間以上続く、または日に日に強くなっている。
- 疲れがたまり、体のだるさが何日も抜けない。
こうした場合は、筋肉痛ではなくけがや体調不良の可能性もあります。痛みが強いときや長引くときは、整形外科などの医療機関を受診してください。
顧問やコーチには早めに正直に伝える
「筋肉痛くらいで休むとは言い出しにくい」と感じる人もいるでしょう。けれども、体の状態を伝えることは甘えではなく、けがを防ぐための大切な行動です。
たとえば練習前に「脚の筋肉痛が強いので、ダッシュの本数を減らしてもいいですか」と伝えてみましょう。どこがどのくらい痛いのか、どうしたいのかを具体的に話すと、相談に乗ってもらいやすくなります。
体の痛みよりも、練習に行くこと自体が気持ちの面でつらいと感じるときは、部活がだるいと感じる理由と気持ちの立て直し方も参考にしてください。
部活で筋肉痛が起きるのはなぜ?
部活の筋肉痛の多くは、慣れない動きや強い負荷のあとに遅れて出る「遅発性筋肉痛」です。運動の直後ではなく数時間から1日ほどたってから痛み始め、翌日から翌々日ごろに痛みが強くなることが多いとされています。
慣れない運動で筋肉の線維やその周りの組織に小さな傷がつき、それを修復する過程で起こる炎症が痛みに関わっていると考えられています。ただし、詳しいしくみはまだはっきりとは分かっていません。多くの場合、数日から1週間ほどで自然におさまります。
なお、筋肉痛が強いほど筋肉が鍛えられている、というわけではありません。練習を続けて体が動きに慣れてくると、同じ練習でも筋肉痛は出にくくなります。これは体が負荷に適応してきたサインと考えられ、筋肉痛がないから練習の効果がない、ということでもありません。
筋肉痛が出やすいのはどんな動き・どんな時期?
筋肉痛は、筋肉が引き伸ばされながら力を出す動きで特に起こりやすいことが知られています。これを「伸張性収縮(エキセントリック収縮)」といいます。坂道や階段を下るとき、ジャンプの着地、ダッシュからの急ブレーキなどが代表的な例です。
部活ごとに見ると、筋肉痛が出やすい部位にはおおまかな傾向があります。
- ダッシュや着地の多い陸上・サッカー・バスケットボール・バレーボールなどでは、太ももやふくらはぎに出やすくなります。
- 投げる・振る動きを繰り返す野球・ソフトボール・テニス・バドミントンなどでは、肩や腕、背中に出やすくなります。
- 剣道の踏み込みや柔道の投げ技・受け身などでは、脚や腰まわりに出ることがあります。
また、動きそのものより「いつもと違う負荷」がきっかけになることもよくあります。入部したばかりの時期や、テスト期間・長期休み明けで久しぶりに練習したとき、合宿で練習量が急に増えたときは、特に筋肉痛が出やすくなります。
部活の筋肉痛を早く治すためにできること
筋肉痛を一瞬で治す方法はありません。ただ、食事や睡眠を整えることで、体が回復しやすい状態をつくることはできます。練習後から寝るまでの流れにそって、できることを見ていきましょう。
練習後は軽く体を動かしてから帰る
練習が終わったら、軽いジョギングやウォーキング、ストレッチなどのクールダウンで体を落ち着かせてから帰りましょう。気持ちよく練習を終えられ、体の張りに気づくきっかけにもなります。
ただし、ストレッチだけで筋肉痛を防げるわけではありません。コクラン(医療研究の検証を行う国際団体)が2011年に公表したストレッチと筋肉痛に関するレビュー(英語)は、健康な成人を対象とした研究をまとめたものです。その結論は、運動の前後にストレッチをしても遅発性筋肉痛ははっきりとは減らない、というものでした。
ストレッチは体をほぐす習慣として続けつつ、筋肉痛対策の決め手とは考えすぎないのがよいでしょう。
食事でたんぱく質と炭水化物をとる
筋肉の回復には、材料になるたんぱく質と、エネルギー源になる炭水化物の両方が必要です。肉・魚・卵・大豆製品・乳製品などのおかずと、ごはんやパン、麺類などの主食を、毎食そろえることを意識しましょう。
練習後は、なるべく早めに栄養を補うのがよいとされています。夕食まで時間があくときは、おにぎりやバナナ、牛乳やヨーグルトなど、手軽なもので補うのも一つの方法です。
汗で失った水分も、忘れずにとりましょう。特定の食べ物だけで筋肉痛が早く治るわけではないので、野菜や果物も含めて主食・主菜・副菜がそろった食事を続けることが大切です。
睡眠とお風呂で体を休める
体の回復にとって、睡眠はとても大切な時間です。眠りについてすぐの深い眠りのときに、体の修復に関わる成長ホルモンが多く分泌されることが知られています。
寝る直前までスマートフォンを見ていると寝つきが悪くなりやすいので、部活のある日こそ早めに画面を閉じましょう。中高生に必要な睡眠時間の考え方は、受験生に必要な睡眠時間をまとめた記事でも詳しく紹介しています。
お風呂はシャワーだけで済ませず、熱すぎないお湯にゆっくりつかると体がほぐれ、リラックスして眠りにつきやすくなります。お風呂上がりに、痛みが強くならない範囲で軽くさするのもよいでしょう。
部活のあとは疲れて家で勉強が進まない、という人は疲れていても無理なく続けられる勉強法も取り入れてみてください。
筋肉痛を繰り返さないための予防策
筋肉痛を完全になくすことはできません。それでも、体をいきなり強い負荷にさらさない工夫で、出方を小さくすることはできます。
- 練習前はジョギングや、腕や脚を大きく動かす動的ストレッチで体を温めてから本練習に入る。
- 休み明けや入部直後は、練習の量と強さを少しずつ上げていく。
- 同じ部位に強い負荷がかかる日が続かないよう、休養日を含めて体を休める日をつくる。
休養の大切さは、国の指針でも示されています。スポーツ庁は2022年12月に、部活動の運営の目安をまとめた学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関する総合的なガイドラインを公表しました。そこでは、学期中は週2日以上を休養日とすることが示されています。
休養日は平日と週末にそれぞれ1日以上とし、1日の活動時間は長くても平日2時間程度、休日3時間程度が目安です。同じガイドラインは、過度の練習がスポーツ障害・外傷のリスクを高め、体力や運動能力の向上に必ずしもつながらないことにも触れています。
主な対象は中学校ですが、高校の部活動にも原則として適用されます。実際の休養日の決め方は学校や自治体によって違うため、所属する部の方針も確認しておきましょう。休養日は、体を回復させて次の練習の質を上げるための大切な日です。
筋肉痛と肉離れはどう違う?
いちばんの違いは、痛みが出るタイミングです。筋肉痛は運動のあと、時間がたってからじわじわと出てきます。一方、肉離れは運動中に筋肉が傷つくけがで、ダッシュやジャンプの瞬間などに突然強い痛みが出るのが特徴です。
| 比べる点 | 筋肉痛 | 肉離れ |
|---|---|---|
| 痛みが出るとき | 運動の数時間〜1日ほどあとから。 | 運動中に突然。 |
| 痛み方 | 動かしたり押したりすると、じんわり痛む。 | 鋭い痛みがあり、力が入りにくい。 |
| 見た目 | 目立った腫れはないことが多い。 | 腫れや内出血が出ることがある。 |
| その後 | 数日〜1週間ほどで自然におさまることが多い。 | 無理をすると悪化し、復帰が遅れることがある。 |
| 対応 | 練習の強さを調整しながら回復を待つ。 | 練習を中止し、医療機関を受診する。 |
練習中に「ブチッ」という感覚とともに急に痛みが出た、腫れや内出血がある、力が入らないといったときは、けがの可能性があります。すぐに練習をやめて顧問や保健室の先生に伝え、整形外科などの医療機関を受診してください。
筋肉痛だと思っていても、1週間以上痛みが引かない、日に日に強くなるという場合も受診をおすすめします。保護者の方は、お子さんが痛みを我慢していないか、歩き方や表情にも気を配ってあげてください。
体の痛みだけでなく、部活での人間関係やプレッシャーで心が疲れているときは、部活で精神的に疲れたときの対処法も読んでみてください。
まとめ
- 軽い筋肉痛なら、練習の強さを調整して参加するのが基本です。
- 痛みが強い、腫れがある、長引くといったときは休み、必要に応じて受診しましょう。
- 回復を早める土台は、たんぱく質と炭水化物をとる食事と十分な睡眠です。
- 休養日も練習の一部と考え、負荷は少しずつ上げていきましょう。
体の状態を正直に伝えて練習を調整することは、長く部活を続けるための大切な力です。無理をしすぎず、自分の体と相談しながら練習に向き合ってください。