「学校の授業についていけているか心配」「苦手な教科だけ見てほしい」と考えたとき、候補に挙がりやすいのが個別塾です。とはいえ、集団塾や家庭教師と何が違い、費用がどのくらいかかるのかは分かりにくいものです。この記事では、個別塾の仕組みと指導形式の種類、ほかの学習サービスとの違い、費用の目安、選び方のポイントを順に整理します。
個別塾とは?講師1人が少人数の生徒を教える塾
個別塾とは「個別指導塾」の略で、講師1人が生徒1〜3人程度を受け持って教える塾のことです。生徒ごとに教材や進むペースを決められる点が、クラス単位で授業をする集団塾との大きな違いです。
授業では、講師が要点を説明し、生徒が問題を解いて、分からないところをその場で質問する流れが一般的です。学校の教科書やワークを持ち込み、授業の復習や定期テストの範囲に合わせて進めてくれる塾もあります。
通う曜日や時間を生徒の都合に合わせて選べる塾が多く、部活や習い事と両立しやすいのも特徴です。1回の授業時間や通う回数の設定は塾ごとに違い、回数を増やすほど月謝も上がります。
運営元は、全国に教室を持つ大手チェーンから地域の小さな塾までさまざまです。講師も、大学生のアルバイト講師が中心の塾もあれば、社会人のプロ講師が担当する塾もあります。
個別塾にはどんな種類がある?指導形式の違い
個別塾は、講師1人が何人の生徒を見るかと、授業の進め方によっていくつかの形式に分かれます。形式によって指導の手厚さと費用が変わるので、最初に確認しておきたいポイントです。
1対1のマンツーマン指導
講師が授業の間ずっと隣について教える形式です。説明と質問のやり取りを多くでき、どこでつまずいているのかを丁寧に探ってもらえます。
手厚い分、同じ回数で比べると1対2や1対3より授業料が高く設定されているのが一般的です。
1対2・1対3の少人数指導
講師1人が2〜3人の生徒を交互に見る形式で、個別塾ではよく見られるスタイルです。講師がほかの生徒に説明している間は、演習問題を解いて待ちます。
自分で問題を解く時間が自然に確保できる一方、質問したいときにすぐ聞けない場面もあります。費用を抑えつつ個別に見てもらいたい場合に選ばれやすい形式です。
自立学習型・オンライン型の個別指導
講師が付きっきりで教えるのではなく、生徒がタブレットなどの教材で学習を進め、講師が進み具合を管理する形の塾もあります。自宅からビデオ通話で授業を受けるオンライン個別指導も、選択肢の一つです。
オンライン塾には個別指導のほか、集団授業や学習管理型などの形もあります。種類ごとの特徴や選び方は、オンライン塾の種類とメリット・デメリットで解説しています。
同じ「個別指導」という名前でも、講師が説明してくれる時間の長さは形式によって大きく違います。パンフレットの言葉だけで判断せず、体験授業で実際の流れを確かめるようにしましょう。
集団塾や家庭教師とは何が違う?塾の種類を比べる
大きな違いは、一緒に授業を受ける人数と、教わる場所です。代表的な学習サービスを表で比べてみます。
| 種類 | 授業の受け方 | 向いている子 |
|---|---|---|
| 個別塾 | 教室で講師1人に生徒1〜3人程度。 | 自分のペースで苦手を埋めたい子。 |
| 集団塾 | クラス単位で同じ授業を受ける。 | 周りと競い合うと頑張れる子。 |
| 映像授業の塾 | 録画された授業を教室や自宅で見る。 | 自分で計画を立てて進められる子。 |
| 家庭教師 | 自宅やオンラインで1対1。 | 通塾が難しい子や、家で学習習慣をつけたい子。 |
集団塾との違い
集団塾は、学年や学力ごとのクラスで、決まったカリキュラムに沿って授業が進みます。受験までの計画があらかじめ組まれていて、周りの生徒の存在が刺激になるのが強みです。
その一方で、分からない単元があっても授業は先に進みます。授業中に質問しにくいと感じる子や、学校の進度から遅れている子には、個別塾のほうが合いやすいでしょう。集団塾が合わないときのサインは、集団塾に向かない子の特徴で詳しく紹介しています。
家庭教師との違い
家庭教師は、講師が自宅に来て1対1で教える形が基本で、オンラインで指導を受ける方法もあります。通塾の時間がかからず、家での勉強の様子まで見てもらえるのが利点です。
個別塾は、勉強のための場所に通うことで気持ちを切り替えやすく、自習室を使える塾もあります。家では集中しにくいお子さんには、この点が大きな助けになります。
料金はどちらも講師の経歴や指導時間によって幅があるため、両方の見積もりを取って比べるのが確実です。家庭教師の探し方や比べ方は、家庭教師の比較ガイドも参考にしてください。
家庭教師ならではの良い点と注意点は、家庭教師のメリット・デメリットで詳しくまとめています。
個別塾のメリット・デメリットと向いている子
個別塾の強みは、一人ひとりの理解度に合わせて進められることです。反対に、費用の高さや講師による差は、入塾前に知っておきたい弱点です。
個別塾のメリット
- 分からない単元までさかのぼり、自分のペースで学び直せる。
- 人前で質問するのが苦手でも、その場で聞きやすい。
- 苦手な教科だけ、定期テスト前だけなど、目的を絞って使いやすい。
- 曜日や時間を選びやすく、部活や習い事と両立しやすい。
個別塾のデメリット
- 講師1人が見る生徒が少ない分、集団塾より授業料が高くなりやすい。
- 周りと競う場面が少なく、緊張感が薄れることがある。
- 講師の教え方や相性によって、授業の満足度が変わりやすい。
- 講師に頼りきりになり、自分で考える時間が減ることもある。
講師と合わないときに担当を替えてもらえるかは、塾によって対応が違います。入塾前に確認しておくと安心です。
個別塾が向いている子・向いていない子
向いているのは、学校の授業についていけず基礎から学び直したい子や、特定の教科の苦手をなくしたい子です。人前で質問するのが苦手な子や、部活が忙しく通える曜日が限られる子にも合いやすいでしょう。
反対に、ライバルと競うことでやる気が出る子や、決まったペースで多くの教科を進めたい子には、集団塾のほうが合う場合があります。迷うときは、両方の体験授業を受けてお子さんの反応を比べてみてください。
個別塾の費用はどのくらい?料金が決まる仕組み
個別塾の月謝は、学年、指導形式、通う回数によって大きく変わります。同じ塾でも条件次第で金額が変わるため、自分の条件で見積もりを取り、年間の総額で比べることが大切です。
公的な調査で見る塾の費用
文部科学省の「令和5年度子供の学習費調査」では、学習塾に費用を払った家庭の年間の平均額が公表されています。個別塾と集団塾を分けた数字ではありませんが、全体の目安として参考になります。
- 公立小学校に通う子どもは約19万3千円です。
- 公立中学校に通う子どもは約34万9千円です。
- 公立高校(全日制)に通う子どもは約38万1千円です。
この金額には、授業料のほか入会金や講習会費、教材費、塾の模擬テスト代、通塾の交通費も含まれます。公立中学校では、年間30万円以上を学習塾に使った家庭が全体の約3分の1にのぼりました。
調査の詳しい内容は、文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」の結果で確認できます。
月謝を左右する4つの条件
- 学年が上がるほど、授業料を高く設定している塾が多く見られます。
- 1対1か、1対2〜3かで、1回あたりの授業料が変わります。
- 週に何回、何教科受けるかで、月謝が決まります。
- 大学生講師か社会人のプロ講師かで、料金を分けている塾もあります。
月謝のほかにかかる費用
月謝とは別に、次のような費用がかかるのが一般的です。
- 入会金は、入塾するときに一度かかります。
- 教材費は、年度や学期ごとに請求されることがあります。
- 施設費や管理費を、授業料とは別に毎月集める塾もあります。
- 春・夏・冬の季節講習は、通常の月謝とは別料金のことが多いです。
- 模擬テストの受験料が、別にかかる場合もあります。
受験学年では講習の受講数が増え、年間の負担が大きくなりやすいです。入塾前に、これらを含めた年間の見積もりを出してもらいましょう。学年別・形式別の料金相場は、個別指導と集団塾の料金相場を学年別に比べた記事にまとめています。
個別塾の選び方は?入塾前に確かめたい5つのポイント
個別塾選びでは、まず通う目的をはっきりさせ、その目的に合った講師とサポートがあるかを確かめます。候補を2〜3校に絞り、体験授業を受けてから決めるのがおすすめです。
通う目的に合った塾か?
学校の授業の補習が中心なのか、高校受験や大学受験の対策をしたいのかで、選ぶべき塾は変わります。受験対策が目的なら、志望校の入試や地域の受験の仕組みに詳しいかを面談で聞いてみましょう。
中学生の塾選びで見ておきたい点は、中学生の塾の選び方と塾の種類で詳しく紹介しています。
講師の質と担当の決め方は?
担当講師が毎回同じかどうかで、指導の一貫性は大きく変わります。講師を固定してもらえるか、相性が合わないときに交代できるかを確認しておきましょう。
講師の研修の仕組みや、授業の様子を保護者に報告してくれるかどうかも判断材料になります。
授業以外のサポートはあるか?
授業の時間だけでは、勉強量が足りないこともあります。自習室を使えるか、宿題の量や学習計画の管理をどこまでしてくれるかも見ておきたい点です。
学校の定期テストの時期に合わせて、対策授業や範囲の確認をしてくれる塾もあります。
体験授業で何を見るか?
体験授業では、説明の分かりやすさに加えて、お子さんが質問しやすそうかを見てください。授業のあとに「今日はどんなことを習ったの?」と聞き、自分の言葉で説明できるかを確かめるのも一つの方法です。
教室が落ち着いて集中できる雰囲気か、講師がほかの生徒にどう声をかけているかもチェックしましょう。
契約と解約のルールを確認したか?
期間が2か月を超え、金額が5万円を超える学習塾の契約は、特定商取引法の「特定継続的役務提供」にあたります。契約書面を受け取った日から数えて8日以内なら、クーリング・オフができます。
その後も中途解約ができ、請求される解約料には上限があります。授業が始まる前は1万1,000円まで、始まった後は2万円と1か月分の授業料相当額のうち低いほうが上限です。
すでに受けた授業の料金は、これとは別に支払います。詳しくは消費者庁の特定商取引法ガイドで確認できます。
通い始めてしばらくたっても手応えがない場合は、授業と家庭学習のどちらに原因があるのかを親子で整理してみましょう。見直し方は、塾に通っても成績が上がらない理由と勉強の見直し方で紹介しています。
まとめ
個別塾は、講師1人が少人数の生徒を教え、一人ひとりのペースに合わせて学べる塾です。
- 1対1、1対2〜3、自立学習型など、形式によって手厚さと費用が変わる。
- 集団塾より費用は高くなりやすいため、講習費を含めた年間の総額で比べる。
- 目的、講師、授業以外のサポート、契約条件を確かめ、体験授業を受けてから決める。
お子さんが「ここなら続けられそう」と思える塾を、親子で話し合いながら選んでください。